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ラクセイリアの一人と二人  作者: 轟 響
第二章:ユウの契約
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午前の特訓

副題は剣を振りましょう


「…よし、少年君食い終わったか?」

「……おう」


 よっしゃ、食い終わった。マジで美味かったな。


「んじゃ、次は剣の振り方だな。とりあえずまっすぐ振り下ろしてみ」

「おう、こんなもんか?」

「んー、ちょっと貸してみ」

「ああ」


 ユウに剣を貸してみる。ユウは片手で二、三回振ったあと両手でまっすぐ構えたあと振り下ろす。…ん? なんかひっかかるな?


「やっぱ軽くて使いづらいな、それはともかく少年君? お前さんの振りと俺の振りの違いが分かるか?」

「んー、なんか違和感は感じるんだけどよくわかんねえ」

「まあ違和感感じるんだけいいか、じゃあ次は少年君の振り方と俺の降り方を交互にやってみるからわかったら言ってくれ」


 そういってユウは剣を何度も振り下ろす。それをじっと見ていると5回目でやっと気がつけた。


「あ、ユウの方は振り切らずに止めてんのか」

「そうそう、剣を振り切らずに途中でピタッと止めないといけないんだよ。へたに地面に刃が刺さったりすると刃が悪くなるからな。それに剣を止めないと次の行動に移るのが少し遅れちゃんだよね。剣を戻すのに少し硬直しちゃうからね」

「なるほど」


 今まで知らなかったことを知れていいな、こういうことを知って実行できていけば少しずつ地力もついていくだろうし。


「まあ、ぶっちゃけこれ適当なんだけどね」

「え?」

「あくまでこれは俺なりの考えだから正攻法をやってる人から教わったほうがいいぞい。俺の戦い方だとこの手のはあんまり使わないから経験則があんまりないんだよね。俺の戦い方はどうあがいても邪道だし」

「んー、じゃあソルのおっさんから改めて教わったほうがいいのか?」

「かもしれんね。ぶっちゃけ剣を振ってたらなんとなく振り方って見えてくるからな、何事も経験よ経験」

「うん、どうすりゃいいんだ?」


 さっぱりわかんなくなってきた。


「そうさね、明日以降でFカテゴリの依頼の中に討伐依頼があったらガンガン受けていこうかね。俺の教え方は実践に放り込んで野次飛ばすって物だし」

「うおい!!」


 なんつー教え方だよ!?


「まあ、さすがにそこまで放り出さんよ。実践あるのみってのは本当だけど」

「頼むぜ…」

「オーライ、それじゃとりあえず昼まで上段振り下ろしと横薙ぎを繰り返せ、振り切らずにちゃんと途中で止めろよ」

「わかった」


 …あれ、俺2時間近く振り続けんの?




「はーい、終わり」

「はあ、はあ」


 …まさか、2時間休み無しとか思ってなかったぜ。


「根性あるね、まさか休まないとか」

「…え?休ん、でよか、ったのか?」

「2時間休み無しとか効率悪いでしょ、普通に考えて」

「言えよ…」

「まあ、いいかなって」

「おい…」


 マジで肉体的にきついときに精神的にも来たぞ…


「まあまあ、とりあえず昼飯食うか。あー、今食えるか?」

「ちょっと休ませてくれ」

「あいよ。ほれ、水」

「ありがてえ」


 …ふう、人心地つけたぜ。やっぱ疲れてるときに冷たい水はいいな。


「昼飯なんだがな、とりあえず今日は前に俺がアイテムボックスに突っ込んだ分を食べることにしようかね。明日以降は自炊する時も作るかね」

「スープとサンドイッチか、美味そうだな」

「ああ、前になんかの出店で買ったもんだ。結構美味かったぞ、数ヶ月前に買ったもんだけど」

「数ヶ月前って大丈夫なのか?」

「アイテムボックスに入れたものは入れた段階で状態が固定されるから、どんだけ経っても変わらんよ。スープもあったかいだろ?」

「ああ、そうだな。…まあ美味いからいいか」

「そうそう」

「アイテムボックスが無かったら何を食うのが普通なんだ?」

「保存食だな、燻製肉とかクラッカーとか、場所によってはおにぎりとかもありかな。あとはせいぜいスープのもとを使ってスープ類を作ることぐらいかね、持てる水にも限りがあるから早々作れないけど」

「ふーん、やっぱアイテムボックスが有ったほうがいいのか」

「そうだな、こういった食料関係で楽になるし野営の設置、撤収も簡単に出来る。しとめた獲物をわざわざそこで解体する手間も省けるしな」

「獲物ってギルドに持っていくものじゃないのか」

「アイテムボックス持ってたらね。持ってなかったら運ぶの大変でしょ」

「そうか?」

「少年君、この間の上位種とか無理だろ」

「あ」


 そういや無理だな、見たことあるのに獲物イコール小さいものだと思い込んでたわ。


「ああいったものに限らず品質を落とさずに持って帰る術がないなら、獲物を解体して売買可能な部位のみを持って帰るものだよ」

「そっか、そうなのか」


 冒険者って戦うことばっかりじゃやっていけないんだな、改めて思い知ったぜ。


「それにアイテムボックスを持っていても、でかい獲物だと一人のアイテムボックスじゃ容量不足でそのままだと入らなかったりするから、それでばらしたりもするな」

「ふーん」

「もっとも俺は面倒だから解体はもっぱらギルドにぶん投げてるけどな、解体費用払うことぐらい問題ないし」

「じゃあユウは解体できないのか?」

「やらないだけで出来るよ、ちゃんと教えてやるから安心しろ」

「そりゃ良かった」

「解体費用ってのも低ランクの間は馬鹿にならんからな、きっちり教えて少年君の分け前が減らないようにしてやるよ。もっとも全ては少年君しだいだがね」

「はん、お前がきっちり教えてくれたら俺もやってやるさ」


 これでも言われたことをきちんとやるのには定評があるんだよ。…なんかあんまり誇れる感じじゃないな。


「くっかか、だったらきっちりかっちり、十全に教えてやるさ」

「おうよ」


またまた適当特訓、あくまでユウが言っているだけで合っているとは限りません。

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