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ラクセイリアの一人と二人  作者: 轟 響
序章:これまでの彼らとその終わり
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商売人と三人の冒険者

副題は一人増えた

 目の前の二人がりんごを食い終わった後、へらへらしてた方が立ち上がる。


「さーてと。そーろそろかね」

「何がだ?」

「こ・ん・ら・ん」

「は?」


 って、上からなんか聞こえるな。怒声と悲鳴? 混乱してんのか? 盗賊たちが? こいつらの言ったとおりに?


「さーてと、さっさと出るかね」

「だね。あなたも一緒に行きましょう」

「え? どうやって?」

「こうやって【さーて風の精霊よ、邪魔なこいつを切ってくれっと】」


 そいつがそんなことを言ってすぐ、カターンという音とともに目の前の鉄格子が斜めに切れた。は? 精霊魔法か? あんな適当な文言で? そんな馬鹿な。


「行きますか」

「そうだね、それと他の人たちも助けようか【崩壊】」


 今度は優男が呟くとほかの牢屋の鉄格子がぼろぼろと砂のようになっていく。詠唱魔術? いったいどんな?いつの間にか二人とも手甲や剣を身につけているし。アイテムボックスか? それも隠していたのか?


「あ、あんたら何なんだ?」

「俺らは冒険者さ、この盗賊団の本拠地の解明及び戦力調査、可能ならば壊滅ってのが依頼でね」

「こうやってわざと捕まって見せたというわけです。ちなみに上の混乱はもう一人の仲間によるものでしょう」

「た、たったひとりでこんなに?」

「あいつにかかれば簡単な仕事さ。っと来たな」


 その言葉と同時に一人の男が階段から降りてきた。鋭い雰囲気でかなりの色男だ。こいつが一人で?


「ふむ。無事だったようだなナル、それに我が友」

「ああ、そっちも無事だねケイ」

「当然さね。状況は?」

「とりあえず13人斬ったが、まだいるようだ。そちらは?」

「このにいちゃんとほかにも十数名ってとこだね」

「どうする? 人質を抱えたままっていうのはきついと思うけど。ユウが道を作って

僕たちが敵の相手をするのがいいかな?」

「それでいくとしよう。我が友」

「へいへい、殿は俺がやりたかったんだけどね【そんじゃ地の精霊よ、俺の前に道を作ってな】」


 今度は壁にトンネルらしきものが出来た。これが外までつながっているのならすごいが…。


「さーて皆さん、ついて来てくれるかい?」

「おい、それは外までつながっているのか? それと安全なのか?」

「くっかか、当たり前じゃんよ。一切の危険無くガントの街まで連れて行って差し上げますよ」

「だったらいいんだが」


 どうにもこの男はよくわからん。しかし信用するしかないか。ここにいても無事ですむ確証は無い以上、ついていってもかわらないか。


「じゃ、僕達はとりあえず上がって対応しようか」

「そうだな、愚直に突っ込んできてくれると楽なのだがな。とはいえ、このアジトの周囲には私が反応型陣魔術を仕掛けてきたから逃げられる訳も無いが」


 そんな会話を後ろに聞きながら俺達はトンネルを通って脱出した。男の宣言の通り俺達はガントの街まで危険無くたどり着くことができた。やれやれ助かったよ本当に。

 門の横の兵士詰め所前で街から来たギルドの職員からいろいろと聞かれて答え終った後、他のやつらへの聞き取りを眺めていると残りの二人も帰ってきた。


「おう、ナルにダチ公。どーなった?」

「私が突入した時点でアジト内にいた面々は殲滅した。もっとも、盗賊の頭ほか数名は捕縛してきたが。結局反応型魔術はひとつも使わずに撤去することとなって少々拍子抜けだ」

「くっかか、そいつは阿呆で楽な相手だったね。こっちも事前手続きと聞き取りは済ませたからそいつら引き渡してギルドの調査を待って依頼完了だ」

「何とか無事に終わってよかったね。人質を盾にされるようなことも無かったし」


 やれやれ、どうなることかと思ったけれどこいつらのおかげでいろいろと助かった。そういやまだ礼を言ってなかったな。


「えーと、いまさらながらありがとう。あんたたちのおかげで助かったよ」

「かまわん、あくまで依頼のついでに処理したに過ぎん」

「それにあんたは俺らが何もしなくても無事に済む可能性があったしな。あいつらが紳士的だったらの話だがね」

「紳士的な盗賊なんていないと思うけどね」

「そりゃそうだっと」

「なんにせよあんたたちのおかげで助かったのは事実だ。なにかあったらダナン商会のロイル・ダナンを頼ってくれてかまわないぜ。そういやあんたらの名前は?」

「ケイだ」

「ユウ」

「ナルといいます」

「ケイにナル、ユウだな。助かったぜ冒険者」

「ではな、縁あらばまた会おう商売人」


 そして俺は三人と別れて故郷に戻ることができた。帰ってそうそう親父にしこたま怒られた、後無事でよかったとも言われた。で、親父にあの三人のことを伝えて驚かれたり、驚いたりしたのは別の話だな。また会いたいもんだ。


今後ここは本文で説明する気がない用語を説明していこうかと

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