死神おねえさんの営業日報を整理して小銭を稼ぐことにした件
我の名前はコウメ。
とある事情で、現世から旅立った。
一人で先に旅立つのは少し罪悪感があるので
あの人が追いついてくるのを待つことにした。
どのくらい待てばいいんだろう。
あと三十年くらいだろうか。
ここに座って、ぼーっと待っていてもいい。
でも、我もあの人も、わりと貧乏性だ。
何もしていないと、どうにも落ち着かない。
それに、旅には先立つものも必要だ。
待っている間、ちょっと働いてみるのも悪くない。
そんなことを考えていたとき、
船着場の近くで配られていたビラが目に入った。
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「バイト募集!
事務処理
経験・性別・年齢不問
リバース・ススメール保険」
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住所も書いてある。
とりあえず場所を確認しようと思い、
船着場の横で貸しボート屋をやっているおじさんに
道を聞いた。
「この道まっすぐ。歩いて三分」
地図の読めない我でも、迷うことはなさそうだ。
実際、三分もかからず着いた。
アポなし訪問だったのに、すぐに面接。
その場で即採用。
寮あり。
制服支給。
三食保証。
仕事内容は、
現世から届く営業日報の事務処理らしい。
久しぶりの仕事だけど、
これなら我にも何とかなりそうだ。
仕事は明日から、という話だったが、
今晩寝る場所がないと伝えると、
今日から寮に泊まれることになった。
それと、バイト代も少しだけ前借りできた。
初めての場所なのに、
驚くほどあっさり眠れたのは、
たぶん我の性格のおかげだと思う。
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そして翌日。
職場に案内され、席に着くと、
簡単な業務説明を受け、マニュアルを渡された。
我の仕事は、
現世の営業担当が書いた業務日報を
パソコンに入力すること。
……今どき、紙?
営業担当がクラウドでアップロードすればいいのに、
と一瞬思ったけれど、
それをやられたら我の仕事がなくなる。
なので、その疑問は考えないことにした。
我が処理する業務日報の作者は、
「カンナベ・ナナミ」さんというらしい。
どうやら、現世で営業活動をしている
元死神のおねえさん、らしい。
今日も日報が届いている。
まずは一件。
我はキーボードに手を置いた。




