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お金の力で世界を救ってあげます!  作者: DP
2 交易都市パストラ
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おててつないで


「あ、そこぬかるんで滑るから気を付けてね。ほら、掴まって」


確かに足場はちょっと滑りやすくなってはいるけど、そこまでドジじゃないんだけどなぁ。彼女には俺はすぐ転びそうな子に見えているんだろうか? まぁ心配してくれているのはありがたいので、俺は差し出された手を取った。


こうやって手を引かれて歩くのって、ほんと小さな子供の時以来じゃなかろうか。しかも完全に女の子扱いで手が引かれている気がする。実際今の姿は女の子なんだけど。


『ああ、いい……』

『女の子同士のデートっていいよね』

『相手が男じゃなくて本当に良かった……』


お前らずっと俺の姿見てるけど、そのどこに親しくしている男の姿があったんだよ? ある程度親しくなったといえるのはグリッドの街の同じ宿に泊まっていた何人かだけど親しくっていったって食堂で会話を交わす程度だったし、グリッドを離れてからは当然全く会っていない。パストラに来てからは住んでいる所に女性しかいないため、ある程度会話する男の相手は店の店員とせいぜい近くの詰め所の警備兵くらいしかない。


それから一緒に出掛けるだけでデート扱いすんな。テイルさんは可愛い娘だけど、さすがに俺はあって日も経たないうちに惚れる程チョロくはない。


そう、俺は今彼女と一緒に外出していた。


テイルさん、年齢が近いせいか(外見年齢は今の俺と多分同じくらい。実年齢は勿論俺の方が上だけど)話しやすいらしく、あれ以降アパートメントではよく親しくしてもらっていて部屋で話したりしてるんだけど(今受けている仕事がパストラの街の中での仕事らしくて、最近はよくアパートにいるのを見かける)その中でいろいろパストラの街の事を聞いたりしていたら、「だったらお薦めの場所教えてあげる!」となったわけだ。


んで、今日ちょうど俺の体調の回復と天候の回復、それにテイルさんの一日休みが重なったので昨日の夕方に外出の約束をしていたのである。


『ワイらの視線気にせずにもっとイチャイチャしてもええんやで』


だからそういう相手じゃないだろうが。


『解ってないなぁ。露骨にイチャイチャするんじゃなくて、あくまで友達みたいな関係だけど、想定外にちょっと近づき過ぎちゃってお互いちょっとだけなぜかドキドキしちゃったりするのがいいんじゃないか』

『そもそもアニメとかで最近人気の奴って百合っプルじゃなくて女の友達グループがわちゃわちゃしてる奴だしな(諸説あります)』


なんかソムリエが湧いてきた……うちのチャット欄、いろんなソムリエがいるよね……


『てか、元気っ娘美少女と清楚系美少女のコンビって最高だよね』


どう考えてもテイルさんの方が元気系だろうから、俺が清楚系扱いかよ。正気か?

最近どっと新規の人が増えているんだけど、俺の中身が男だってこと忘れてたり知らなかったりする奴いるんじゃねーかなー。チャンネル名に思いっきりTSって入れているわけだけど、世の人間すべてがTSとは何なのかしっているわけじゃなかろうし。


まぁ、今日の俺の恰好は白ワンピなので清楚系といってもいいのかもしれないけど。ちなみにリスナーの要望である。『やっぱりピクニックなら白ワンピでしょ』だそうだ。夢見すぎでは? 無理な要望じゃないから着て来ましたけどね。


『ほら、ほら、もっとくっついて!』


無理な要望じゃないなら聞くけど、他の人間が絡むなら別! 何もしらない相手を巻き込むわけには行かないでしょ。そもそもカメラに映っちゃってるのだって申し訳ないんだから。さすがに常にカメラに映らないようにするのは無理なので諦めているけど。そもそも歩きにくいだろ? 今俺達小山を上っている最中なんだからさ、しかも地面がところどころぬかるんでるし。


とまぁ、思いっきり脳内では突っ込みをしてるんだけど、口には出せないよね。テイルさんはカメラもコメント欄も見えてないわけで、そんな中虚空に向かって突っ込みを入れていたらドン引きされるか心配されるだろう。なので、突っ込みは我慢──ああもう、突っ込みたくてむずむずする!



「……どうしたの?」


気が付けば、テイルさんが俺の顔を覗き込んできていた。しまった、突っ込みたくて意識がコメント欄の方に飛び過ぎていた。手は相変わらず握られたままだったので、それでも問題なく歩けてたけど。


大丈夫、なんでもないと答えると、テイルさんはそっかと言って向き直り再び手を引いて歩きだした。……なんかずっと手を繋いだままだとちょっと照れ臭くなってくるな。


そんな俺の気持ちには当然気づかず、だけどスカートの俺が歩きやすいペースで歩いてくれるテイルさんに手を引かれて歩いていくと、やがて開けた場所が見えて来た。青々とした空が広がるのが見えるその場所に、テイルさんは俺を連れ出してくれる。


「到着! どう、すごいでしょ!」

「わぁ……」


振り向いて満面の笑みを浮かべるテイルさんの向こう側に広がる光景に、思わず俺は感嘆の声を漏らした。



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