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お金の力で世界を救ってあげます!  作者: DP
2 交易都市パストラ
88/88

お出掛け準備中


「~♪」

『鼻唄とか出ちゃって、カズサちゃんご機嫌だねぇ』

「……え、マジで?」

『マジマジ』

『それひと昔前のボカロの曲だっけ?』

『あー、一時期こぞってVtuberが歌ってた奴な』

「マジか」


全然気づかなかった。完全に無意識で口ずさんでたのか……


──天候は、ここ数日の雨模様が嘘のような雲一つない青空。体調も完全に回復した俺は、朝早く起きてある事を行っていた。


料理である。


朝食、ではない。朝食は適当に済まそうと思って、パンを用意してある。


今作っているのはお昼だ。お弁当製作中というわけだ。


久々の快晴、ここ2~3日不安定だった体調も完璧に回復した。更には念願の<<ポイントテレポート>>を獲得して、行動範囲が格段に広がる。それで早速、ピクニック的な事をしようと思ったわけだ。当然ここ最近はずっと低空飛行していたテンションもこの状況で一気に急上昇したので、思わず鼻唄が漏れてしまったとしても仕方ないだろう。完全無意識だったので、普通に意識して歌うよりも恥ずかしさがあるけど。


俺はゲームと雑談の配信者だったから、大勢の人前で歌った事はないしなぁ。


てか、朝方だから人が少ないとはいえ、それでも軽く千人を超える視聴者がいるんだが。まぁうちの視聴者の特色として常時俺の配信つけっぱなしにしているのが一部いるらしいし、そこまで行かなくても寝落ち組が結構な数いそうだけど。


そんな人数を前に、音痴とはいわないまでも、決してうまくはない鼻唄歌ってたのか。うっわ、そう考えたら恥ずかしさが増してきてしまった!


顔を隠したいところだが、そんな事をしたらどうせリスナーに揶揄われるだけだし、そもそも調理中だからそんな事はできない。なので小さく深呼吸して手元の野菜に意識を向ける事で、顔が火照らないように対策する。


『ところでカズサちゃん』


なんだ!? もう速攻気づいたのか!?


『ちゃんとしたお歌配信とかやらないの?』


……


えっとぉ。


「機材どころかこっちじゃ音源もないんだし、無理でしょ」


この辺は何回も説明しているし、説明文にも載せてるんだけど。まぁご新規さんは直接聞いた事はないだろうし、説明文読まない人間なんていくらでもいるだろうしな。


『いや、その都合で歌配信してないのは知ってるけど』


いや、知っているのかよ! じゃあなんで聞いた!? でも知ってるって事は説明文はちゃんと読んでくれているんだねありがとう!


『声可愛いし綺麗だから、おうた聞きたい人多いんじゃね』

『ノ』

『ノ』

『ノ』


挙手早ぇ!


「だから環境があればやるけどさぁ、なしだと無理だって」


機材も音源もなければアカペラでやらなければならないわけで、それだと全くごまかしがきかない。声楽とか習ってた人間ならともかくとして、せいぜい仲間内で行くカラオケくらいでしか歌う事のない身としてはかなりしんどいと思うんだけど。


『えっ、カズサちゃん音痴なの』

「それはないけど。普通だけど」

『反応が早すぎる。怪しい』


怪しくないし。普通だし。


『まぁさっきの鼻唄聞く限り音痴って感じじゃなさそうだけどね』


ちゃんとわかってる奴いるじゃないか。


『だったら歌配信有りじゃないの? カズサちゃんのおうた聞きたい』

『Vtuberとかだと歌配信って視聴者集めれるコンテンツなイメージがあるけどね。カズサさんも目的を考えたらやれることは試しておいた方がいいんじゃない?』

「うっ、それを言われると……」


歌配信は音源をつかえないことを考えれば逆に著作権絡みでBANされるということはないだろう。念のためボカロ系に絞って商業に絡んでない曲を使えばまず問題ないハズ。不安ならリスナーに確認を取ってもらえばいい。そこを抜けれれば、後はリスクになる事はないんだよな……


あとは恥ずかしいのを耐えれればって話だが、これも冷静に考えるとRPでツンデレキャラやら妹キャラやるよりは全然恥ずかしくないよな、多分。


……ふむ。


「ま、試しに一回やってみるかな」

『お、やった』

『言ってみるもんだねぇ』

「あくまで素人レベルだから期待はしないでくれな?」

『音痴でもそれはそれでありだから平気よ』

「いや音痴じゃないからな」


そこは重要なので改めて否定しておく。後、やるのはいいけどもう一つ言っておかないといけないことがあるな。


「場所を考えないといけないな」

『え、いつも通りこの部屋でやればよくない?』

「歌うとなるとそれなりに声出さないと駄目だろ? そうなるとここではちょっと……」


このアパートメント、安普請ではないからそこまで防音性能が悪いわけではないけど、さすがに……


『となるとスタジオ借りて……って、ないかそんなもの』

「さがせばそういう使い方できる施設はあるかもしれないけど、それに予算を使いたくないな」


グリッドで稼いだ資金もパストラに来てからいろいろ私物を買ったのと生活費で大分目減りしている。新たな収入手段のない現状、近いうちにMPから変換する必要が出てくるだろう。なので出来るだけお金は使いたくない。


『それじゃ、街の中で歌う?』

「無茶言うな」


明らかな素人レベルでそんな事できるわけないだろ。


『あ、だったらそれこそ今日の出先で歌うのがよくないか?』

『成程、確か今日ちょっと街の外に行くっていってたよね? そこだったら気兼ねなく歌えるんじゃない?』

『あー、それ無理。今カズサちゃんが作っている弁当のボリューム見てみ?』

『……多いね。カズサさんそこまで大食いってわけじゃなかったよね。これ、二人前はある?』

『はっ……俺は気づいてはいけない事に気づいてしまったかもしれない』

『やめろばかいうんじゃない!』

『カズサちゃん、もしかしてこれからデート? これならさっきまで楽しそうにしてたのも理由がつく』

『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』

『テイルちゃんに引き続き、カズサちゃんまでNTR……!』

『いや二人とも俺達のものじゃないし、NTRではないのでは?』

『カズサちゃんだけはそんな事ないって信じてたのにぃ』

『でも胸の痛みのなか、ちょっとだけ感じるドキドキ……もしかしてこれは性癖の目覚め?』


いや、ずっと配信して皆に見られているのにいつそんな相手作るんだよ。


まぁ本気で思っている奴は極少数だろうが、ノリが良すぎるリスナーのせいでコメント欄が荒ぶりまくって突っ込みにくい。まぁいいや、楽しそうだし放っておいて料理に集中しよ。約束の時間もあるしな。



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