表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お金の力で世界を救ってあげます!  作者: DP
2 交易都市パストラ
79/88

至福の時間の準備中


「おっふろ~、おっふろ~」

『かわいい』

『カズサちゃん、無意識な言動もだんだん可愛らしくなってるねぇ』

「……」

『あっ、スンッって顔になった』


買い出しから帰宅した後。とりあえず今日の夕飯を買ってきたお弁当で済ませてから、俺はアパートの共用となってる場所へと向かった。


その場所とは──お風呂である(ちなみにトイレも共用)。


今日はもうこれ以降は出かける予定もない。後はゆっくりお風呂に入ったあと、布団に直行できる時間だ。いよいよ至福の時間を俺は迎える事ができるのだ。


んで、出先で買ってきた新品のタオルと石鹸を抱えてお風呂に向かっていたら、知らず知らずのうちに変な鼻歌を口ずさんでしまっていたわけである。


だってさー、こっちの世界に来てから初めてのお風呂だよ?(温泉は入ったけどあっちは湯着きてたのでカウント外)。そりゃ心躍って鼻歌も漏れますよ、ええ。


確かにちょっと男の時だったら出さないような声の出し方しちゃったのは確かだけども……


『可愛い子ムーブ、だんだん体に染みついてきたねぇ』

「……いや、皆が喜ぶと思ってやってみただけだけど?」

『それなら、指摘された後に顔から表情消えたりしないんだよなぁ』

『完全に無意識で出ちゃった感じだよねぇ』

『意識してやってたRP、気が付いたら自然に出るようになっちゃうのあるあるだと思います』


あーそーだよ、受けがいいから最近ある程度恥ずかしいというか微妙な気分になるのを我慢して意識してそういった言動を偶にしていたせいで、無意識で出ちゃったんだよ。


そういや女の子的な話じゃないけど、VRC内とかでしている挨拶とかジェスチャー、気が付くと日常生活の中で無意識にそういう仕草しちゃってたことあったなぁ……それと一緒か。


……元の男の姿に戻った時、しばらくは人前での行動には細心の注意を払わないといけないな。現状捕らぬ狸の皮算用的な話になっちゃうけど。


『これは育成が捗ってますなぁ』

『でも完全に女の子になっちゃうとTS少女っていう売りが消えちゃうよね』

『やはり"やだ無意識に女の子の仕草が出ちゃう! でも俺は男の子なんだからねっ!"ってラインは維持して欲しいところ』

『なんでテンプレツンデレ口調?』

『でもそういう仕草とか出ちゃった後恥ずかしそうにするのはかなりクルものがあるので、その辺の心は忘れないで欲しい』

『そこら辺うまく調整お願いします』

「俺が調整するのか……」


無茶言うなと思う。RPとしてそういう言動をするのならともかく、無意識をそんなうまく調整するのは無理だろ。勿論、俺としてはあんまり女性的な仕草が自然に身に付きすぎるのは困るけどさー。


なんてそんな雑談をしている間に、お風呂場へついた。使用中の札はかかっていなかったので、それを掛けた上で俺は中に入る。


最初に目に入るのは脱衣場だ。それほどの広さはないが、ちゃんと風呂場とは区切られている。ただ先にすることがあるので、俺は服を着たまま更に風呂場への扉をくぐる。


風呂場の広さは4畳程度あり、そこそこ広い。そのうちの一畳分の広さで風呂桶があった。足が延ばせるくらいの大きさはあるのは非常に助かる。


ちなみにこの風呂場、一応窓があるけど位置自体が中庭向けな位置にあるので、外から覗かれそうな事がなさそうなのも非常に助かる。というか女ばかりのアパートだ、位置によっては間違いなく不埒者が現れるハズなので当然といえば当然だろう。


勿論この世界は魔法の世界だから空飛べば覗きはできるが、こんな街中で飛行していたら不審者ってレベじゃねーぞって話だし、姿消し系の能力もあるらしいけどそこまでできる術士だったらそんな事をしなくても女に苦労する事はないだろう。


まぁ世の中には成功者なのに覗く事が性癖になっちゃってる人とかもいるから、ないとは言えないけど……さすがにそこまで気にしてたら何も出来ないので考えるだけ無駄である。


ちなみに、湯舟には今はお湯は張られていない。


通常は井戸で水を汲んできて注いでいくんだよね。当然一回じゃ終わらないから何回も繰り返す必要がある。だけど、今の俺はそんな事しないでいいんですよふっふっふ。


ようやく俺の風呂沸かしスキルが火を噴くぜ!


俺は湯舟の上に手を伸ばし、能力を唱える。


「<<クリエイトウォーター>>」


俺の言葉に応じて、いつものように水球が現れる。実はこの術、間違いなくこっちの世界での利用頻度№1なんだよな。飲み水とか洗濯用とかいろいろ便利なんだよ。


出現した水球を叩き割って、風呂桶に水を注いでゆく。一回分では全然足りないので、それを複数回。


よし、いい量だ。次はっと。


俺は風呂桶に張られた水の上に手を翳して、さらに別の能力を使用する。


「<<ボイルウォーター>>」


おし、これで湯気が……上がらねぇな。手を突っ込んでみるとまだ全然ぬるかったので、更に繰り返し2回ほど繰り返すと今度は熱くなりすぎた。うわ、なかなか調整難しいな。


これらの能力、ちゃんと覚えた人はもっと出力制御できるっぽいんだけど、俺の場合ボタン一つで覚えたせいか出力固定なんだよな。練習したらもう少し制御できるようになるのかね。


しかしどうすっか。もう一回<<クリエイトウォーター>>を突っ込んじゃうと今度はぬるくなりそうなんだよな──あ、そうだ。


一つ閃き、俺は一度風呂場を出る。向かったのは中庭の井戸の所だ。ただし目的は水ではなくて洗濯用の大きな桶。この時間に洗濯をする人はいないだろうし、それを拝借して俺は風呂場に戻る。そしてその桶の上で改めて<<クリエイトウォーター>>を使い、そっから手桶で水を移して温度を調整する。


……よし、適温!


いよいよお風呂タイムだ! そう思って立ち上がった時だった、背後からドタバタという音が聞こえたのは。


音は脱衣場から聞こえてくる。カチャカチャと何かを外す音と「ふわっぁー!」という何か大きく息を吐くような女の子の声。


そして次の瞬間風呂場の扉が開くのと同時に──俺はカメラを風呂場の壁に押し付けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ