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お金の力で世界を救ってあげます!  作者: DP
2 交易都市パストラ
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理由が不明


おじさんはこちらの方へ歩み寄ってくると、言葉を続けた。


「嬢ちゃん可愛いから教えといてやるけどな、その辺の調味料は近いうちに値上がりするぜ。というかもうしているな、多分ここいらじゃウチが一番安いハズだ、なにせウチもまもなく値上げするつもりだったからな」


そういって笑うおじさんの視線や言葉の響きには、最近感じるようになったやらしさを感じるようなものは全くない。恐らく可愛いって言うのも多分、子供とかに対して言うようなものだろう。


「で、どうする、買うかい? 多分明日には値上げしちまうぜ?」


じゃねーと転売されるからな、とおじさんは続けた。俺が転売をすると思わないのかなと思ったけど、俺が元からそういう業者なら言われる前に確保しているだろうし、ギルドに登録していない業者でないならこの街では商売できないからその可能性はないと判断したんだろう。


俺はおじさんの言葉に、もう一度調味料の方を見る。そしておじさんに向けて首を振った。


「いえ、知らない調味料だったから見ていただけなので……」


さっき見ていたのが聞いた事のある香辛料の類だったら、当面購入不可能になるんだったらちょっと無理をして買っておくのもありだと思うけど……今目の前にあるのは軒並み全く知らないものばかりだ。しかも値上げ前だとしても結構お値段が張る。用途もわからないのに手を出すようなものではなかった。


おじさんもあくまで好意で教えてくれだだけだったらしく、俺がそう答えるとそうかいとそれ以上薦めてくるような事はなかった。


ただ、せっかくこうして声を掛けてきてくれたので、ついでと言ってはなんだけど値段が安くてかつお薦めの調味料をいくつか教えてもらった。その使い方も。それに塩や砂糖に胡椒など、聞き覚えのある調味料を加えて購入することにした。


それらを包んでもらいながら、ふと俺は気になった事を聞いてみる。


「そういえば、さっきの話ですけど。何か急に値上がりするような事あったんですか?」


緩やかに値段が変わっていくならともかく急に値上がりするとなったら、単純に不作だったとかそういう話ではない気がする。なんか理由になる出来事があるんだったら、知っておいた方がいいかなと思ったのだ。何せいつまでこの世界で暮らしていく事になるのか全くわからない状況なのだ。この世界の知識は図書館で徐々に身に着けていくつもりだけど、リアルタイムな時事情報も知っておくに越したことはない。


そう思ってした問いかけに、おじさんは快く答えてくれた。


「ああ。さっきの調味料はクウェントスのハズバーンって国で生産されているんだけどな? その国で最近未知の怪物が出現して暴れ回っていたらしい。んで、なんとかその怪物自体は退治されたらしいんだが、農地に結構な被害がでちまったらしい。んで、アレはそのハズバーンではいろんな料理に使われるらしくてな……」

「ああ、成程。国内での需要を満たすのが精いっぱいで、輸出に回す余裕がなくなってしまったんですね」

「そういうこった。ほれ、できたぞ嬢ちゃん」

「ありがとうございます」


いくつかの調味料まとめた包みを受け取り、それをパストラに来てから購入した(リスナーセレクト)ちょっとデザインが可愛い気がするけどまぁ恥ずかしいほどではない許容範囲……なデザインのショルダーバッグに放り込み、おじさんに礼を言って店を出た。


店主の印象も悪くないし、品揃えはめっちゃいいし、今後また調味料とか欲しくなったらここに来よう。


特に前者めっちゃ大事。男の時は気にしないというかそんな目でみられてなかったからだろうけど、妙にねちっこい目で見てくるような店はノーサンキューである。さすがにそんなにないけど、パストラでも1店舗だけあった。実は自分では最初気づかなかったんだけど、リスナーの指摘で発覚。背後チェックしてもらえるのは助かるね。


「♪」


さて、ちょっと予定外の買い物をしちゃったけど、次はっと。


『謎の生物かぁ……いつ頃出現したんだろうな』

「うん? どうした?」


確か食器の店がここから近かったよなと思いつつコメント欄を確認すると、さっきのおじさんの話に出て来た怪物の事を気にしているリスナーがちらほらといた。特に時期の事を気にしているのが多かったので聞いてみると、


『いやさ、このタイミングで未知の怪物ってさ。もしかしてって思って』

『あー、時期的にそっか』


そんなコメントが流れるのを見て、俺は彼らが何を言いたいのか理解し口にする。


「あー、もしかして俺の今の状況と関係しているのかと考えてる?」

『だってタイミング的には合ってる感じがしない?』

『それにカズサちゃんが今の状態になったのって、何か理由があるって考える方が普通だし』

「それはまぁ……確かに」


具体的な時期は聞いてないけど、別大陸の話だ、そこまで直近の話ではないだろう。それでいて最近とはいってたし、これから流通に影響が出るという話であれば半年前とかとそういった話でもないハズだ。だとするとそれこそ一か月や二か月程度。俺がこっちの世界に来た時期に近いタイミングになる。


更にはこっちの世界に来たのが俺だけなら何かの偶然だったともいえるかもしれないが、現在消息不明になってしまったものの俺と同タイミングで少なくとも二人こっちの世界にやってきているハズなのだ。だとしたら、そこに何かしらの関連性を見出してもおかしくない。


なんだけど……


「でもこの件に関しては気のせいな気がするなぁ」

『なんで?』

「いやだってもう討伐されてるし」

『あー』


こういうの俺が呼び出されデンセツノユウシャ的な奴だった場合、そんなあっさり討伐されないよな。


「だから少なくとも無関係な気がする」

『だなー』

『出現先も全然違う場所だしね』

「うむ」

『しかしそうなると本当にカズサちゃんがそっちに呼ばれた理由なんなんだろうな』

『現状カズサちゃん生活環境を築くのが目的になっちゃってるもんなぁ』

『異世界召喚者としては割とあるまじき状況だよね』

『俺らリスナーにとってはいつでもカズサちゃん見れるから最高ではあるけどな』

『思いっきりゲームみたいなUIのメニューがあるんだから、どうせならクエスト一覧みたいなのがあればいいのにね』


それはそれでお使いばっかりさせられるMMOゲームみたいな感じで微妙だなぁ。なんかあれしなきゃこれしなきゃって強迫観念にとらわれそうな気がするし。ただ最終目的だけははっきりして欲しいけども。


その後、しばらくの間その最終目的の話やら何やら雑談をしつつも買い物を済ませ、家に帰るころにはこの事はもう忘れていた。だって家ではとっても楽しみな事がまっているんだもの。





 

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