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お金の力で世界を救ってあげます!  作者: DP
1.5 はじめての旅路と温泉
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アキラ


銀髪ポニーテールの目の前で無双を見せた女性は、アキラと名乗った。見た目は美人さんなのに男みたいな名前だなと一瞬思ってしまったけど、よくよく考えたらここは日本ではない。普通にこっちでは女性名なんだろう。


そのアキラさんは「とりあえずゴミを放置も出来ないし、処理をお願いしてくるわ」といって俺を温泉の方に向かわせると、森の中に消えて行ってしまった。


……正直そこにさっきまで俺に対してあまり口にしたくない事をしようとしてきた連中が転がっているので不安があるんだけど、まぁ全員気絶している上に手足縛られているから大丈夫か……とお風呂に向かう事にする。いや、普通はとっととこんな所立ち去るべきでは? って事は頭に浮かんだし、心配やお叱りのコメントをしてくるリスナーの中にもそういう意見はあったんだけど、お礼もまともにまだ言っていないし、あと勝手に姿を消したら余計な心配かけるかもしれないし……と考えてしまい、あとさっき反射で頷いてしまった程度には風呂に漬かりたい気持ちも強かったため、俺は改めて風呂に向かう事にした。


幸いその後特に追加のトラブルが起こる事はなく、アキラさんは森の中から戻ってきた。


彼女曰く「この近くに住んでる温泉の面倒を見ている人物に処理をお願いして来た」とのこと。言われて男達のいた方を見てみたらすでに男たちの姿は消えていた。いつの間に!?


──というわけでだ。


今俺は、銀髪の美女と一緒に温泉に浸かっている。あ、勿論彼女も湯着を着ているのでそこは安心だ。そうでなければカメラは地面に向けておく必要があったし、何より俺の罪悪感が半端ない事になっていたと思う。よりによって恩人に対して痴漢行為をしている気分になるので……外見は完全に女の子になっているけど意識は男だからな。しかも女の体はこの一か月近い日常の中で完全に見慣れてしまったため然程見たいとも思わず、ただ本性を隠して覗き見る気持ちになりそうで俺にとっていい事がない。


ちなみにコメント欄では


『ううっ、この美女も湯着を身に着けるのかっ』

『着替えシーンもなかったし……視聴者サービスが足りないと思います』

『でも濡れて肌に張り付く布ってエロいよね』


とか流れていたけど、だから彼女が湯着を来てなかったらそもそも君達地面と睨めっこだったからな? あと最後のコメントを見た時、思わず反射で胸元に貼り付いていた湯着を剝がすように引っ張ってしまい、その結果皆に揶揄われる事になった。畜生。


ま、そんなこんなで今俺はアキラさんと一緒に温泉に浸かっている。温泉は狭いとはいわないまでも8畳間くらいの広さしかないので向かい合っている状態だ。


そして──俺は説教をされていた。


「貴女みたいに可愛らしくてか弱そうな女の子が一人で浸かりにくるのは、流石に無謀が過ぎるわね。確かにこういった場所は旅人は利用するけど、そういうのは私みたいに自力で対処できる人間だけよ?」

「はい、私の考えが甘かったです……」


アキラさんの言葉に俺は何の反論もできず、お風呂の中で縮こまる。


アキラさん曰く、この周辺は確かに治安がいいし、"根城にしている"強盗団のような悪党はいないそうだ。そういった連中は依頼を受けた冒険者や国の警備兵にとっとと駆逐されるので。ただ、だからこそ他所から来た人間が悪事を働く事が多々あるのだという。他所からやってきて、罪を犯し。そして別の地方へ立ち去る。例えば女を犯し、そして殺して埋めてまた別の場所へ向かってしまえば、犯罪を起こしたことすら気づかれない可能性も高いのだ。


この世界では日本のように戸籍の管理はしっかりしていない。いや、街に住居を持っている場合は税金の取り立てや公共サービスの提供もありきっちり管理されているが、根無し草のようなものも多いのだ。そしてそんな感じの人間が旅をしている際中に行方がしれなくなっても、どこかで恋人でも作ったか、あるいはダンジョンにでも潜ってくたばったか……そう思われるだけだ。特に俺の場合はこちらの世界に故郷なんてものはないわけで。途中で失踪しても本当に誰も気づいてくれず、気が狂いそうなひどい目に遭わされていた後、地面に埋められ異界の土へとなっていたかもしれないのだ。


そう気づかされれば、風呂で温かいお湯に身を包まれているというのに、ぶるっと体が震えるほどの寒気を感じてしまう。アキラさんが来なければ本当にそんな目に遭っていたのだと。そう思えば甘んじて説教は受けるしかない。まぁお説教というか言い聞かせる感じだけど。


ちなみに今当初はリスナーからも説教されていたが、風呂に入ってからは落ち着いていた。"水に濡れた姿いいよね"とかそんなコメントが流れて、いつもの雰囲気に戻っている感じだ。アキラさんに任せる感じかな。


『あ、あとで当然カズサちゃんお説教だからね?』

『今来ていない連中も後で話聞いたら説教するだろうなぁ』

『カズサちゃんに正座させて、今は可愛い女の子だって事ちゃんとわからせなきゃ……』


……


今日の俺の残りの時間、説教だけで終わりそうな気がします。

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