初めてのアイテム制作
ええと、布だから別に平面の四角形でちょっとだけ厚みを持たせればいいよな? うん、操作方法がFlenderとほぼ一緒だから秒でできた。それからボーンとウェイトは……いや、それ用のアイコン自体ないからできないのか。テクスチャ……はいらないな。マテリアルの色変更だけでいいか。白で……いや、用途を考えると黒にしてと。
後はマテリアルの指定項目に素材ってのは増えてるな。
「素材で選べるのは麻だけだな、これでいいか」
『いや、拭くのに使うなら麻は微妙じゃない? なんか固いイメージあるんだけど』
『ほかに素材何があるの?』
「布の素材っぽいのは麻、亜麻、皮、絹、綿、毛」
他にも鉄とか樫とかいろいろあるけどどう考えても手ぬぐいに使う素材じゃないのでこの辺は除外。
『毛は羊毛かな? 拭くのに使うのに皮はないから選ぶとしたらその辺り以外になるよね』
『麻以外で一番安いの何?』
「亜麻だな。300MPで指定できる」
『300か。確か今180あったよな、ちょっと待って』
『【200】カズサさん、新しいスパチャよ!』
『これで亜麻使えるだろ』
「まじ助かるっ……!」
いつまでも下半身露出状態なのも嫌なので、おれは即座に亜麻を選択する。そしてメニューを調べてたら"現実にエクスポート"というのがあったので、それを選択したら目の前に真っ黒い手ぬぐいが出現した。
俺はそれを即座に手を取り──ようやく露出状態から脱出することが出来た。
「はぁ……」
『お疲れ様』
本当に疲れたわ、無駄に。
あーでもこの手ぬぐいどうしよう。この状態でポケットにしまうわけにもいかないし……とりあえず乾くまで手に持って歩くしかないか。
さて、用も足したし進むか、と足を進めようとしたら、表示しっぱなしのメニューにコメントが流れた。
『しかし、そういった生理現象があるって事は急いで街とか探した方がいいな』
「ん、どうしてだ?」
『排泄があるってことは当然食べる方もしないといけないって事だろ、それに水も』
「あ……そうか」
普通に考えれば当然の事である。
そうか、食料と水を確保しないとヤバいのか。サバイバルじみて来たな……さっきのアイテム制作は見る限り素材の中に食料になりそうなものはなかったからアレで作るのは無理そうだし、だとしたら街かあるいは最低限人を探して譲ってもらうしかない。
「確かにそうなると急がないと不味いな。最悪メシは一日くらい食わなくてもどうとでもなるけど、水なしはしんどい」
『あー、それなんだけど。水は能力で作れるんじゃね? さっき表示した能力の中に《ウォータークリエイト》ってあったぞ』
「マジで?」
慌てて能力を獲得を開くと、頭からライト、クリアウォーター、ティンダーというのに続いて確かにウォータークリエイトという能力があった。そのアイコンを指すと、下枠に説明分らしきものが表示される。何々、"飲用可能な水を生成する"──ビンゴ!
「あーでも、MPが全然足りないわこれ」
一番安いライトとクリアウォーター、ティンダーが1000MP、その次に安いウォータークリエイトは3000MPかかる。それに対して俺の今のMPは20。お話になりませんわ。
『ここは俺たちにおねだりじゃね?』
『何か面白い事をしたらスパチャ投げてやんよ』
「面白い事っていってもなぁ」
現状手持ちが何もないし、能力的にもまだ何も覚えてないからそれを使った芸もできない。それに俺自身にトークスキルがあるわけでもないしなぁ。
『めちゃめちゃ媚媚で甘える態度で「お兄さんたち、スパチャお願いします」って上目遣いで言ってくれたら赤スパ投げるよ』
うわめっちゃ具体的な指定来た。