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お金の力で世界を救ってあげます!  作者: DP
2 交易都市パストラ
105/106

残念ながら


『まってまってまって』

『今"も"っていったよなアキラさん!?』

『ここでまさかの地球人!』

『こんな美人なら間違いなく配信してれば話題になってそうなもんだけど』


アキラさんのちょうど横辺りに配置されているコメント欄が荒ぶっているのが目に入る。


同様に、俺の頭の中も混乱していた。


なんで彼女に気づかれたのかという思いもある。だがコメント欄のみんなが言っている通り、アキラさんは"貴女も"と言った。


その言葉から考えれば、彼女も俺と同じ地球人ということだ。であれば、俺がカメラをいじっているときの動きとかで気づいたのかもしれない。


同じ能力を持っているとしたら、何をしているのか大体予想はつくもんな。


こっちの世界に来たのが俺だけじゃないのは解っている。少なくとも二人──内一人はなくなった可能性が高いが、もう一人はチャンネルがBANをくらっただけで、その後の消息は不明だ。生きていてもおかしくない。もしかして、その生き残ったのがアキラさん……?


え、ということはアキラさんがえっちな配信した可能性があるってこと? この銀髪の格好いい美人さんのアキラさんが……?


……


『カズサちゃん顔赤い?』

『これはえっちな妄想をしていますね』

『何を考えているかわかっちゃうなぁ』

『ちなみにBAN配信俺見てたけど、アキラさんじゃなかったからね?』


!!


ウンソウダヨネ、ワカッテタヨ。


……今ばっかりは男じゃなくて良かったと思います。理由は具体的にはいわないけど、もし男だったらアキラさんに呆れられてた可能性があるので……


てか話を戻してよく考えればチャンネルBANされてたらMP稼ぐ手段がない訳で、先の一件で使ったようないくつもの強力な術を覚えられるわけがない。


……もしかすると日本じゃない別の国の出身かもしれない。そもそも外見からして日本人の物じゃないしな。名前は日本人ぽいけど、海外の配信者ならウチのリスナーが気づいていないだけかもしれないし。


まぁそれも聞いてみればいいか。


相手が同じ異世界転移者なのであれば、今更俺の正体を隠す必要はない。だから俺はストレートに聞くことにした。


「アキラさん」

「うん」

「貴女は、日本から来たんじゃないんですか?」

「ニホン? 何それ」


あー……やっぱり海外の人か。てか日本をしらないって事はアメリカとかの人じゃないのかな?


「じゃあどこから来たんですか?」

「パストラだけど」


……そうじゃなくて!


「アキラさんはどこの国の出身ってことですよ!」

「だからアストラ王国だけど?」


アストラ王国はパストラやグリッドの街などのある国の名前である。


「え、待って? アキラさんは異世界転移者じゃ、ないんですか?」

「ああ、やっぱり貴女"は"他所の世界からやって来た娘なのね」

「アキラさんも、ですよね?」

「私は生まれも育ちもこの世界よ?」

「……え?」


あっけらかんと返されたアキラさんの返事に俺が呆けた声を上げたちょっと後。コメント欄に「えええええええええええ!」というコメントが大量に流れる。


『アストラ王国なんて国あったっけ?』

『まさかの現地人!?』

『さっき貴方”も”っていったじゃん!』


だよね! だよね!


大混乱である。俺も、リスナーのみんなもだ。


アキラさんの言い方からてっきり同じ状況にある相手だと思ったら、彼女はこの世界の生まれだという。どういうこと?


と思った所で、俺は一つの事に気づいてそれを口にする。


「アキラさん、貴女もしかして別の異世界転移者を知っているんですか?」


そう、あの言い方をしたからといって、彼女が俺と同類と決まったわけではないのだ。他の同類を知っていれば、ああいう言い方をしてもおかしくない。ただどうやって俺がそういった存在だと気づいたのかっていうのは謎だけど……


「……そうね、知ってはいるわ」


そんな俺の問いに、彼女は小さく頷いた。やっぱり! ということは、配信をしていない人がいるのか、それとも例のBANされた人だろうか?


……BANされた人はともかく、別の人がいれば情報交換が出来るかもしれない。あってみたいと思い、彼女にそれを告げると、だが彼女に首を振られてしまった。


「無理よ、知ってはいるけど知り合いではないもの。そもそも生きてないしね」

「え……」

『もしかして、最初にぶっ殺された奴の知り合いだったとか……?』

『でもあそこの映像、パストラとは全然景色が違ったけど……もっと南国ぽかったし』

『配信してない別の人がいたのかな』


皆がコメント欄でいろいろ予想を語る中、俺は肩を落とす。


せっかく同類が見つかったと思ったのに、アキラさんは現地の人で、そのアキラさんが知る同類はすでにこの世の者ではなくなっている。"仲間"が増えることを一度期待してしまった分、落ち込むわ……


うーん……でもやっぱり情報としては聞いておきたい。その相手はもう会えないとしても、何かしらの共通項とか見つけられるかもしれない。訳も分からずこっちの世界に連れてこられた俺だ、ほんのわずかでも新しい情報が欲しい。それに、どうして俺がそういった存在だということに気づいたかも聞きたかった、何かしら見分ける方法があるなら、仲間を見つけやすくなるし。


その旨を伝えると、彼女はいいわよと薄く笑みを浮かべて頷いてくれた。


それからそのままだと風邪ひくわね、髪とか拭きながら話しましょうかといってくれたので、そっちに対して俺も頷く。正直ちょっと体が震えてきてるし。


そうしてとりあえず髪を拭くために荷物の中からタオルを引っ張りだすと、アキラさんが拭いてくれるというのでその言葉に甘えることにした。


アキラさんは俺からタオルを受け取ると、まずはゆっくりと水気を吸い取るようにタオルを俺の髪に当てつつ、ゆっくりと語りだした。


「そうね、明確に記録に残っているのは確か300年位前の話になるかしら」


……何の話?



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