新しい自分
夜明けの光が部屋を満たすとき、私はふと思う。
――昨日までの私と、今日からの私は、本当に同じ「私」なのだろうか。
昨日の悔いや、過去の影を抱え込む心は確かにここにある。
けれど、時間は絶えず流れ、細胞さえも少しずつ入れ替わっていく。
「私」とは、何を指すのだろう。記憶か、体か、それとも意志か。
私は鏡に映る自分を見つめた。
「新しい自分になる」――その言葉を口にした瞬間、
私の中で何かが確かに切り替わった。
変わるとは、昨日を捨てることではない。
昨日を抱きしめながら、なおも歩みを進めることだ。
その選択をした今この瞬間に、「新しい自分」は既に始まっている。
私はノートに書いた。
――「朝、空を見上げること」。
たった一行の文字が、未来への扉の鍵のように思えた。
空を見上げる私と、そうしない私。
その分岐に立つのは、いま、ここ、この瞬間の私なのだ。
そして気づく。
新しい自分とは、遠くにある完成形ではなく、
「いま選んでいる私」のことなのだ、と。