5分間で意外な話 短編集
1 あなたの言葉
2 名無しの日記
3 短期バイト
4 呪い
5 浮いている女
6 システムメタ
7 路面電車
8 日本征服
9 いつかその時まで
10 ルッキズムへの対処法
11 ???
12 全てへの謝罪と補填
EX 著者のあとがき
1 あなたの言葉
ーーーあな☓達☓けが知っ☓いる☓法で ☓☓いと...
そんな言葉を私は夢で何度も聞いてきた。いつも目覚めるとどんな夢だったかですらも忘れる。夢とはそういうものだ。結局私はいつも変わらない日常を送っている。学校に行くのが楽しみとも思わない私は、いつも洗面所で棒立ちになって、自分の顔を見ている。
「いっそ鏡の中の私と入れ替われたらな。」
そんなばかみたいな話も虚しく、いつものテレビの音で時間が過ぎていることに気づく。
私の家から学校はあくびをする暇もないほど近い。遅刻をしないとわかってながらも、時計を見ていないとハラハラしながら自分の席につくことになる。私の左には冴えない男子。右にはいつも男子に媚びているぶりっ子女。私はその間に挟まって、ゆっくりとうたた寝を打つ。そんないつもと変わらない日常が一変して変わった今日は転校生が来るらしい。しかも左の席の男子は今日に限って、空席になっている。席替えをしたからだ。
「まためんどくさいやつが来るんだろうな。」
そんなことを思いつつ、扉が開くのを待った。開けたのは金髪の男の子。別にヤンキーってわけでも性格が悪そうとも思わない。青いビー玉のような目を持った、いかにも西洋という感じの男の子だ。私は別に人間に興味がない。隣に来ようが、話しかけられようが、徹底的に私は私のスタイルを崩さない。彼はやはり私の隣りに座った。
「日本語が話せないらしいから、多分あんまり話せないな...。」
そんなことを思っていると急にその男の子は私に向かって言った。
「真菊 愛と」
は...?なんだ。意味がわからない。きっとなんか君は花のように美しいとか、仲良くしようねとでも言いたいんだろう。それにしても菊って...。
私は彼にありがとうと言って、無視することにした。
私の顔に夕日が差す頃。私が学校から出ようとしたとき、彼は私を呼び止めて、オレンジ色のハンカチをくれた。
そして彼はまたあの言葉を口にした。
「真菊 愛と」
本当に意味がわからない。私は彼を避けるように全速力で帰った。
そしてその夜、私はまた同じ夢を見た。それは女神様だった。
「私は人類に裁きを下します。人類は人と人で仲良く暮らそうとしない。いつも争ってばかり。さて、あなた達が知っている魔法を唱えなさい。私は彼に魔法をもうすでに教えました。その魔法が成功すれば、あなた達人類を見逃してあげましょう。」
私はそんなものを知らない。どうしようと困った時、私は隣に誰かいることに気付いた。私の仲間だ。隣りにいる私の仲間はいつもはよく顔が見えなかったが、今なら見える。あの男の子だ。彼なら知っているはず。すると、彼は私に言った。
「真菊 color 愛と」
私はようやく分かった。彼は真菊などと言いたいわけではない。magicだ。愛と...つまりI とmagicを唱える。私と魔法をいうために、彼は現実にまで現れて魔法を教えてくれた。いつかお礼をしなくっちゃ...
つまり魔法は色。そういえば彼は私にオレンジ色のハンカチを見せてくれた。つまり答えはオレンジ。そうして彼と目を合わせ、女神にこう言った。
「オレンジ」「愛と」
「それが答えなのですね。」
そして人類は滅びてしまった。
2 名無しの日記
なつやすみのにっき
7月24日 天気:晴れ 今日わおとおさんとおかあさんといっしょにおでかけしました。そしたらみちに犬がいたので、かわいそうだとおもったので、ひろってうちでかうことにしました。おとなしくて、すぐになついてくれたので、おとおさんもおかあさんもにっこりしてました。
<図 省略>
7月26日 天気:くもり 今日わ犬のちゅうしゃをうちにいきました。犬はわんわん鳴いていたけどぼくがいいこいいこしてみまもったので、すぐになきやみました。これでまたいっしょにあそべるね!
<図 省略>
7月29日 天気:晴れ 今日わ犬のさんぽにでかけました。とっても犬ははやくておいかけるのがたいへんでした。でもおとおさんがいっしょにいてくれたので、犬をみうしなうことはなかったです!たくさん走ったみたいで犬はすやすやねむってます。
<図 省略>
8月1日 天気:晴れ おとおさんとおかあさんが今日わけんかしました。たばこがどーたらこーたらといっていました。ぼくはたばこはわるいとおもうので、おとおさんがわるいとおもいます。犬も二人のけんかにこわがってわんわんないています。
<図 省略>
8月4日 天気:雨 今日わおとおさんとおかあさんがとてもよろこんでいました。なぜならいもうとができたからです。ぼくもいもうとができることがうれしくてメロンにだきつきました。(犬のなまえはメロンです!)
<図 省略>
8月6日 天気:くもり 今日わメロンといっしょにへやのなかでボールあそびをした。
うるさくしすぎたみたいでおかあさんにおこられた。うるさいとはおもわなかったからこんどからきをつける。
<図 省略>
8月7日 天気:晴れ 今日わおとおさんとおかあさんさんといっしょにゲームしました。ひさしぶりにかぞくとあそぶのでたのしかったです。
<図 省略>
8月9日 天気:晴れ 今日わおとおさんがおこった。おかあさんのおなかのなかのあかちゃんにさわったからみたい。でりけーと?なぶぶんだったから、よけいにおこられた。しょぶんするとかいわれた。メロンをすてないでってないた。
<図 省略>
8月13日 天気:雨 今日わへやのでんきがきれたせいで、へやのなかがまっくらになっちゃった。なにもみえなかった。おひるごはんをたべていたから、びっくりした。おとおさんがあとからきて、でんきをなおしてくれた。
<図 省略>
8月15日 天気:晴れ わんわんメロンがうるさいです。なんかあったみたいだけどぼくはいらいらしてメロンをたたいちゃいました。わるいことだとおもったけどメロンにそのあとよしよししにいきました。ごめんね、
<図 省略>
8月17日 天気:晴れ おとおさんがずっとぼくにおこってくる。メロンがわんわんないていた。ずっとないていた。ぼくがねにいくときまで。
<図 省略>
8月18日 天気:晴れ 今日はお父さんとお母さんといっしょに遊園地に遊びに行きました。ジェットコースターが一番楽しかったです。
<図 省略>
8月19日 天気:晴れ 今日はお父さんとお母さんと一緒に山で死んでしまった犬を埋めに行きました。メロンもたくさん泣いていた。短い間だったけど、たくさん思い出があったから、残念だけど、僕達は次こそ頑張ります。
速報です。今朝、◯◯県の山奥で子供の遺体が見つかりました。逮捕されたのは◯◯県在住のーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3 短期バイト
俺ってまじでついてるわぁ。そう思ったのは夏休みが終わる頃のバイトの時だ。少し時間を遡る。俺は金欠で夏休みが始まるときにバイトを始めることにした。俺は難しいことは苦手だ。だからできれば楽して稼ぎたい。そんなときに出会ったのが、このバイトだ。
「☓☓者を観察する簡単なお仕事 初心者募集中 電話090‐☓☓☓☓‐〇〇〇〇」
字が霞んで見えないが、話を聞くと人を観察するという。人をじっと見ているというのは気持ち悪いが、2万円ももらえるなんて俺にはもってこいの仕事だった。やり方は簡単だ。よく詐欺である名前などの個人情報の聞き取りもなく、ただその会社の担当に挨拶して、その日のターゲットを観察して、結果を報告する。それだけで2万円だ。俺は詐欺を最初は疑ったが、俺が基本報告するのは、その人物の特徴やよく行く店、購入品などだ。ターゲットの年齢層は20歳の青年や48歳の主婦、14歳の子供、89歳のご老人など多種多様だ。しかも、そのターゲットは一度観察したら、もういいそうだ。俺はなにかそのターゲットの身になんかあるかと心配になって、次の日もその人を見に行くが、見に行ったときには普段通りの生活をしていたか、その時にはいなかった。そんなことを繰り返していき、今に至る。今日のターゲットは、20歳くらいの女性だ。俺は一目見ただけで惚れてしまった。その女性を俺は1日、今までよりはるかに細かく観察した。何時何分に外出し、〇〇店でーーを注文した。昼ご飯は何時何分に〇〇を食べていた。そんな観察が終了時刻まで続いた。俺はその結果の報告を終わりにバイトを辞めた。ついに夏休みが終わり、学校生活がまた始まった。そんなある日、ふと後ろからだれかがついてきているような気がした。道がただ同じなだけかと思ったが、そうでもないようだ。なぜなら俺はもうすでにこの道を3回も歩いている。歩くにつれ、足音が大きくなり、俺はスピードを上げる。もう無理だと思い、後ろをそっと振り返ると俺が一目惚れした女性が立っている。いやそれだけじゃない。俺が今まで観察していた人がほとんど俺の後ろにいる。俺は彼女に恐る恐る訪ねた。
「なんでついてきているんですか。」
「許された代わりに私達が裏切ったあなたを「観察」するためです。」
4 呪い
私は好きな子と結ばれるおまじないを毎日かけている。
ここに方法を記す。
あるホームページより抜粋
~女子向け 好きな子と結ばれる呪い!~
① ♡用意するもの♡
四葉のクローバー 好きな子の髪の毛や爪などの一部分 水(100ml) 人間の血(400ml) 鏡 お椀
② ♤準備しよう♤
お椀に水を入れる
↓
四葉のクローバを一枚ずつちぎっていれる
↓
好きな子の一部分を入れる(お勧めは爪)
↓
血をお椀にいれる
③ ♢好きな子への呪文を唱えよう♢
「エニスカヤハ エミスルエキネイエ」を3回鏡の前で唱えよう!
④ ♧その液体を好きな相手に飲ませよう♧
その液体をどんな方法でもいいから飲ませよう!一日に全部飲ませてね!
⑤ 15日続けよう! おしまい!
好きな子と結ばれるには、縁が大切だよね....。
5 浮いている女
夜の公園は静かだった。街灯の明かりがぽつぽつと並び、風が木々を揺らしている。池の水面は鏡のように静かで、時折小さな波紋が広がるだけ。そんな中、会社帰りのOL――佐藤は、ふと池のほとりに目をやった。
そこに、白い服の女が浮いていた。
水面に仰向けで浮かぶその姿は、まるで眠っているようだった。髪は長く、黒く、池の水に溶け込むように広がっている。顔は見えない。佐藤は一瞬、幽霊かと思ったが、すぐにスマホを取り出して警察に通報しようとした。
画面をつけると、インカメラが起動していた。
そこに映っていたのは、自分の背後に立つ女の姿だった。
白い服。長い黒髪。顔はぼやけて見えない。
佐藤は振り返った。誰もいない。池の方を見ると、女はまだ水面に浮いている。心臓がドクンと鳴った。スマホをもう一度見た。インカメラには、また女が映っている。今度は、少し近づいていた。
「なんだこれ…」
佐藤は震える指でカメラを切り替え、池を映した。そこには、女の姿はなかった。
「え…?」
もう一度振り返る。誰もいない。スマホを見ても、何も映っていない。
気のせいかもしれない。疲れてるだけだ。そう思いながら、佐藤はその場を離れようとした。だが、足元に水の跡が続いていることに気づいた。池から自分の立っている場所まで、濡れた足跡が続いている。
その瞬間、背後から水音が聞こえた。振り返ると、そこには誰もいない。
でも、スマホの画面には、女がすぐ後ろに立っていた。
佐藤は叫び声をあげて走り出した。公園を抜け、家まで全力で走った。ドアを閉め、鍵をかけ、息を整える。スマホを確認すると、何も映っていない。やっぱり疲れていたんだ。そう思いながら、シャワーを浴びてベッドに入った。
夜中、目が覚めた。
部屋の隅に、白い服の女が立っていた。
動けない。声も出ない。女はゆっくりと近づいてくる。顔は見えない。ただ、髪が水に濡れているように滴っていた。
「池に…浮いてたはずなのに…」
佐藤の意識はそこで途切れた。
翌朝、ニュースで報道された。
「昨夜、○○公園近くのアパートで女性が死亡しているのが発見されました。死因は心不全と見られていますが、部屋の床には水の跡が残されており、不可解な点が多いとのことです。」
そのニュースを見ていた男――田村は、思い出していた。
十年前、あの池で女の遺体が見つかったことを。
それ以来、あの池では「浮いている女」が目撃されるようになった。誰かが見るたびに、数が増えているらしい。最初は一人だったのに、今では三人、五人、七人と…。
そして、見た者の元へ、必ず“ひとり”が訪れる。
田村はスマホを手に取り、画面をつけた。
インカメラには、誰も映っていなかった。
ほっとして、池の方を見た。
そこには、白い服の女が“二人”浮いていた。
まだ書き終えていないです。随時更新していく予定なので楽しみにしてほしいです。




