私の夢を笑わないで。改め、誰かを愛せた事に誇りをもって生きよう。
あなたは誰かを心から愛することができますか?
愛されたいと願ってしまいがちな
現代の若者に向けて
誰かを愛することができたことに誇りをもって生きよう
やまない雨はない。
明けない夜もない。
でも雨の夜って素敵じゃない?
やまない嵐
覚めない悪夢
それでもいつか私に幸運の流れ星が降るように
これは天才、不良品、そしてゴミクズ
二つ名は
永遠の笑い者
誰にも認められなかった天才の物語
おまえはダメな子だから、いっぱい努力しなきゃならないぞ?
今から37年前、この世に間違えて生まれて来た生命がありました。
地方の裕福な家庭に生まれたその子を
見た親は一瞬でさとります。
この子はダメっぽい
心配した両親は我が子のために英才教育をすることになり
しゆんはこれで勉強組エリートコースを
歩む事になります。
夜道を泣きながら走って帰る園児も男の子なので
涙は見せず
しゆんは我慢強い努力家へ成長します。
それでもまだ 夜道は彼には怖いものでした。
どんなに情けなくても、弱くても、
たとえみっともなくても
努力賞は皆に権利があります
どの習い事でも怒られてばかり
なぜあなたはもっと頑張らないの?
あなたならもっとできるはずよ?
頑張りなさい。
みんな同じ事言うけど私だってお友達と遊びたい。
みんなと同じように
好きな女の子とお話したい。
しゆんは
七夕の願いに医者になって人助けがしたいです。と書く狂気を持ちながら育ちます。
でも本当は違うことを
祈っていました。
その時どこかから笑い声がしましたが
誰のものかわかりませんでした。
それでも周りの大人は褒めてくれました。えらいわねえしゆんちゃんは頑張り屋でまじめで。
絵に描いたようなガリ勉ルート。
ゆくゆくは医学部なり東大へ行き世の中のために働くレールに乗った幸せな人生。
しかし17歳の時、しゆんは道を踏み外しました。
しゆんは恋に落ちました。
バスケ部の先輩に捨てられた同級生が泣いているのを見るとまだやさしさのあったしゆんは心を痛め
その想いは異常な高まりを見せ、熱い恋心に成長します。
ですが17年勉強ばかりしていた子に何ができるというのでしょう?
しゆんは散ります
はかなく散る秋のもみじのような美しさがあれば
物語はここで終了でしたが
しゆんは力r強く告げてしまいます。
絶対諦めないから。
ごめんなさいと言って去る彼女。
人生は選択の連続だから
しゆんは恋をする選択をし
数ヶ月粘った頃ちょっとした出来事が起きました。
あんなに一人を愛せる男は
珍しいわ。
私が貰っちゃおうかしら?
学年一位の美人
ごめんなさいすら言わなかったしゆん
ただ一言私好きな人いるんで
とだけ伝えます
しゆんは真実の愛を選択
ところがしばらくして
この世の厄災のすべてが彼を襲います
愛するあの子から
ありとあらゆる嫌がらせを受け始めました。
避けて歩かれる程度で済まない嫌がらせの数々
それでもしゆんは耐えます
気持ち悪いと笑われながら
彼女にはイケメンの彼氏ができ
嫌がらせはさらに激化する中で
少しずつ壊れ始めます。
半年後にはまわりの目から見てもボロボロな状態で
見ていられない姿でした
しかし最後に勝つのは愛でした。
まわりから
同情を受けるまでになり
ついにまわりが止めに入り
付き合ってあげなよ
とまで言われるようになります。
逆転の瞬間が近づきます。
しかし付き合うのは流石に
という事で勝手な話し合いの結果、彼女はしぶしぶ卒業式に記念撮影と寄せ書きを承諾
しゆんは幸せでした。
頑張れば最後は報われる。一等賞は無理でも努力賞は皆にチャンスがある。
ところで本当に敗者は勝者をたたえなければならないのでしょうか?
お前の顔なんか見たくもないんだって。
卒業式当日、言いにくそうな顔をした女の子がそう告げます。
しゆんは皆が見てる前だったので、わかった。とだけ答えますが
卒業式が終わった瞬間に帰宅し始めました
そこには見てはいけないものがありました。
心配した友人二人が家まで付き添ってくれ、そこまでは耐えましたが
家に帰り今頃学校では何を?と考えたらもう駄目でした
彼は静かにお祈りを始めます。
次こそ、かっこよく生まれますように。
そして彼は再び声を聴きました。
おまえはダメな子だからいっぱい努力しなきゃならんぞ?
嵐の中の雷鳴が如く
それは彼の脳裏に現れました。
次こそはかっこよい人間に生まれ変わってやる。
こうしてしゆんは物語の終焉を拒否。
生きる決断をします。
それが第二の悲劇の幕開けとなるとも知らずに。
そもそもなぜ彼はこんな目にあったのでしょうか?
恋愛小説を読む方ならわかるのではないかと思います。
しゆんが蹴り飛ばした美女はプライドが高かった。
彼女は私の愛する子に言い放ちます。
おまえのようなブスと結ばれるより私と結ばれたほうがいいに決まってるわ。
まだ未練があるようだからボコボコにしてきっちり振りなさい。
そして卒業式
美女も単独で最終手段を使いました。
幸せに浮かれてたらだめだわ。
地獄の底に落とさないと。
しかし不運なことに卒業式後のホームルームがしゆんのクラスが最初に終わり
美女はアタックするチャンスを失いました。
卒業式は大混乱に陥ります。
友人や擁護派は大激怒。
記念撮影など彼に見せられるわけもなく集合写真すらボイコット
教師も唖然とする中で
今すぐメアド教えるからメール入れてやれ。という話になりました。
しかしそこにいる全員なんて書けばよいかわかる人はいませんでした。
皆しゆんの未来の幸せを祈るしかできず
同時刻しゆんも祈りをささげていましたが
彼は生きました。
かっこいいって何なんでしょうか?
少なくとも私は全然ダメだったようです。
彼は第一歩として文系に変わり、県外の予備校を選択。
一年で失った学力を取り返し
未来は官僚を目指して名門大学法学部に入学します。
しかし彼にとって最大の誤算がそこにありました。
大学は人間しか受け入れておらず
虫けらにはなじめる空気などなく
3日と持たずに退学を決意します
そこには愛があふれていたように思います。
それを愛と呼ぶのならば。
彼はたまたま見つけた塾講師のバイトを始めました。
そして人間のふりをしながら
同僚を作り彼らから麻雀に誘われます。
そしてしゆんは麻雀に出会いました。
チー、ポン、誤ロン
最初は一通り初心者コースを歩みます
そして3日後再び集まった時
4戦3トップになったところで皆寝てしまいました。
まだ夜も浅いというのに。
そういえばその日も雨降る夜でした。
でも彼は少しだけかっこよくなれたような錯覚を覚えました。
その後塾内で、再び女性トラブルを引き起こし、事実上クビになり
彼はあてもなく
土木の世界に飛び込みます。
底辺のさらに下の世界。
しかし彼は体操教室、鉄棒で鍛えた運動能力と水泳での持久力
加えて彼らに足りなかった段取りの良さ
頭の良さを活かして
成果を大量にあげ始めます。
100人力のしゆんと呼ばれはじめるも
彼に人間の証である命綱がつけられることは一度もありませんでした。
しかし身体能力は人間だったので100倍動けばすぐに壊れます
1年ほどで彼は腰をつぶして
業界を去りました。
そして気づいたら雀荘に座っていました。
しゆんさん5連勝おめでとうございます。1024分の1の確率ですが
何度聞いたことでしょう
彼は類稀なる数学の使い手で
四色不完全対子場理論というものを生み出します。
それは当時の運任せおじさんたちには到底理解できず
彼は点数計算を覚えながら連勝を積み上げます。
麻雀が自分をかっこよくしてくれたような気がしました。
そんなある日
彼はこんな張り紙を見ます。
美人女流プロ来店
同卓希望者全員同卓可能。
ツーショット。サイン可。
どこにでもあるそんな張り紙に
いつも温厚な彼は激怒しました。
それただし人間にかぎるんだろ?
しかし彼にはもう自分はかっこいいという自覚が芽生えていました。そしてそこには私の夢が詰まっていました。
彼はひそかに憧れていたあの子の面影を残す女流プロの来店に合わせ
出かけていきます。
夢がかなう瞬間が近づいてきました。
当店のレートはピンになります。
ピン?
しゆんは雀荘経験は浅かったので知らなかった。
ノーレート雀荘は5000円で一日遊べました。
ピンの雀荘では1ラスで続行不可能に。
勝てばいいんだ。いつも通り。
こちらにコーヒー置いておきますね。
神様が自分を見放すわけがない
自分こそが選ばれた人間なんだから
運命的に絶対勝てる。選ばれるのは
絶対に神は私を神が神が
いうまでもなく彼は理論派でした。
せめて冷静でありさえすれば
せめて席が違っていれば
せめて目玉をくり抜いておけば勝てた勝負でした。
彼の席の目の前で
それは行われました
18000。12000。東2局終了。箱下ラスで大敗
彼は何も見えていませんでしたが
かろうじて言えました。
コーヒーおいくらですか?
あなたには言えますか?私にもサインくださいだなんて?
しゆんは逃げるように雨の中を傘もささずに去ります。
どうしてオレじゃないんだ。
なんでおまえらなんだよ。
ふと気が付くとショウウィンドウに光が見えました。
ウェディングドレス
彼は目の前の電柱を蹴り上げます。
そして骨折して倒れ
七夕を思い出しました。
雨の日に彼らは出会うことはできません。
医者になって人助けがしたいです。本当は自分もお嫁さんが欲しいです。
彼の目からは大粒の雨が滴っていました。
星のきれいな夜に電柱が雨降る彼をそっと見守ってくれていました。
誰かを愛することができたことに誇りをもって生きよう。
この閉ざされた世界の中で何ができるというのだろう。
彼はその後狂ったように徘徊し、
3か月ホームレスをし公衆トイレの水と廃棄弁当で生き延びた
が職質を受け
実家に送還。
精神病院への入院が決まる。
準保護病棟
端的に言って牢屋のなかで
それでも少しずつ医師の先生の力、薬の力で少しずつ理性を取り戻します。
そすして退院して
障がい者申請が通り障がい者福祉に興味を持ちます。
頭の良かった彼は
利用者として入館した場所でそのまま採用となり、最終的には5年後独立します。
障がい者として30代を過ごしながら
障がい者の気持ちがわかるのは当事者だけ
のフレーズが効いたのか
福祉法人の経営者となりました。
そこで他業種でも成功し40代で財を成しました。
そしてようやく自分の夢が終わっていることを思い出すことができました。
医師の先生の治療は話しかけ続け暗示をかけてくれるものでした
30代ずっと忘れていた自分の夢
彼は母子家庭向けに無料食堂を提供し始めました。
それがまたメディアで取り上げられ
慈善団体からも表彰されます。
なぜ母子家庭のみ?
だから
私の夢を笑わないでよ。
モチーフは太宰治の人間失格と同じです
自伝的小説を少し変えたもの
かつ恋愛小説で救いの無い話。読んだ人の心に残るような文章力が私にはないので