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第1章 聖ジェファールズ豪華客船事件 挿話1-2-2 カズル・ライーマの日常

貧民の出の俺が、彼女に最初に抱いたのは嫌悪感だった。

それは、俺を救ってくれたファズ少尉が彼女のことを気に入っているらしいと聞いたからだ。


「なんで軍なんだよ、お前」


俺はたまらず、そう彼女に言い放った。


「みんなを、人を、守りたいからです」


彼女は全く臆せず、そう答えた。

だが、俺はそれが嘘であることがすぐに分かった。

その緑の瞳は、研磨され尽くした宝石のように、隙なく輝いていた。

そんな甘ったるい理想が入り込む余地などないほどに。


「貴族として残る道はなかったのか?」


「親族はみな、殺されました。私の家族だけでなく」


「怖くないのかよ」


「怖い?どうしてですか?」


最後には冷たい目をして、彼女は俺から離れていった。

俺がなんで彼女に苛立っていたのかは分からない。

だが、事あるごとに俺は彼女に食ってかかった。

それは銃による対適合者戦闘訓練の際、


「足、引っ張んなよ、お前」


震える手で銃を抱えるノランに、俺はそう言った。


「大丈夫です、頑張ります」


だが、ノランの動きはおそろしく鈍かった。

彼女は真っ先に適合者の兵士に居場所がバレ、戦闘不能になった。


「お前、さっさと軍やめろよ、習い事と勘違いしてんのか?」


「いえ、してません」


「鬱陶しいんだよ、お前みたいなやつ。ここはな、第三騎兵師団は、兵士になるしか食い扶持がねぇ奴らが大半なんだよ。飯を食うために命を賭けてんだ。お前みたいなやつ、居るだけでむかつくんだよ」


「、、、」


「お姉ちゃんが適合者で軍に入ることになったから、1人になるのは寂しかったのか?あ?そんなやつと一緒に戦場になんて出たくねぇんだよ、失せろ」


俺はそう言って、訓練場を出た。

ムカつく奴だった。

俺の意地悪な言葉を聞いているときも、彼女のその美しい瞳に、俺のことなんて1つも映ってなかったから。


それから一緒に任務に出ることもあった。

適合者の上官1人に、俺とノラン含めて4人の歩兵。

農奴を含む貧民たちがゲリラ的に通行する車を銃撃しているとのことだった。

もしかすると適合者もいるかもしれないとの事前情報に、歩兵たちは緊張の面持ちだった。


敵が潜伏しているとされた廃墟が並ぶエリアについた瞬間だった。

まず銃声が乱れる。

俺とノランは道の左右に別れて、壁に身を隠す。

適合者の上官が1人先陣を切って特攻する。


「妹、動くなよ。あくまで俺らは補助だ」


その言葉は聞こえているのかどうか、反応がない。

緊張しているのか、銃を握り締めて動かない。

その時、上官の攻撃に炙り出された敵が道に出てきた。


「適合者だ!敵に適合者」


上官の通信が耳に届く。

この場合のセオリーは、こちらの適合者が戦闘に集中できるように、他の銃所持者を殲滅すること。ただし、敵の適合者にこちらの位置は知られないようにしなくてはならない。常に潜伏位置を変えての狙撃が重要だ。

だが、


「おい馬鹿!!ノラン!」


敵の適合者の腹部に、ウーシア兵器が突き刺さる。

まだ適合して日が浅いのか、拒絶に時間がかかっている。

確かにチャンスだ。

ノランの銃口は敵の適合者に向いている。

でも、その分、体の半身が壁から出てしまっている。


「くそがっ、、、、!!!」


俺は道に飛び出し、ノランの方に駆ける。

と同時に、ノランは発砲した。

俺は走りながら敵の適合者を見る。

ノランの銃弾は的を外れるが、それに驚いた敵は拒絶に失敗したらしく、腹に刺さった鉄槍に呻く。あとは上官がなんとかしてくれるだろう。

だが、


「死ねっ!!」


廃墟の中、割れたガラスの向こうに銃口が見える。

それは明らかにノランを狙っていた。


「間に合えっ!!」


俺はノランに飛びついて、壁の奥に押し込むが、


「がぁああああ!!」


太ももを撃ち抜かれながら、俺はそのままノランに覆いかぶさった。

彼女はその時も銃を固く握りしめて、その強さに手が震えたままだった。


▲▽


「本当にごめんなさい」


ノランがベッドの脇で頭を下げる。


「お前は自分が英雄にでもなったと勘違いしてんのか?あ?」


返答はない。

彼女の行動は、正しいといえば正しかった。

適合者同士の戦闘において、歩兵が拒絶時や転移直後を狙うのはセオリーだ。

そのタイミングであれば、銃弾は通る。

ただ、それは自分の居場所を知らせることと同時だ。

だから熟練した技術が必要になる。

自分も、もちろんノランも、まだその域にない。


「もういい、どっか行けよお前、そして辞めてくれ」


俺は脚の痛みに苦悶しながら、ノランの下げた頭を押しのけた。

だが、


「今回のことは謝ります。毎日、お見舞いにきます。でも、わたしは辞めません。二度とこうならないように、死ぬ気で訓練します」


俺は思い出した。

自分が軍に入ったときのことを。

ここしか居場所はないと、そう覚悟を決めたときのこと。

その覚悟は、俺のものだ。

お前みたいな、貴族のお嬢様のそれとは違うんだ。

俺はノランが持ってきた花が活けてある花瓶を乱雑に持ち、中身を彼女に向けてぶちまけた。

頭を下げたままの彼女の髪が濡れ、花が床に落ちる。


「二度と来んな」


俺がそう言うと、彼女はゆっくりと顔をあげる。

濡れた髪が顔に張り付く隙間から、あの緑の綺麗な瞳が俺をまっすぐに見つめる。

ぞっとするほど美しく、強い瞳。


「____明日も、来ます」


彼女はそう言って、顔を拭うこともなく部屋を出た。


▲▽


「おう、カズル。やる気のないお前が、何やら後輩イビリに忙しいみたいだな」


モチャ・ファズ少尉が声をかけてきた。

脚の経過観察に向かう途中だった。


「ファズの姉貴、お疲れ様です!」


「おい、姉貴って言うな。少尉と言え」


ファズ少尉は、俺の命の恩人だ。

俺の家に金はなかった。

両親は農家だったが、土地の所有者である貴族と、一帯を取り仕切る中間の農地管理者が結託して金を巻き上げた。そして、その農地管理者も排除され、貴族が直接管理するようになってからはもっと酷かった。

家の手伝いで精一杯で、他の選択肢なんてなかった。

農奴を雇うとしても、彼らの管理費を考えれば、子供である自分たちが手伝う方が割が良かった。

俺はそのうち、似たような境遇の奴らで結成された強盗集団の使いっ走りをするようになった。それは自然の流れだった。いずれは貴族の奴らも潰しに行く、というリーダーの思想に感銘を受けたからだった。

その集団が野良の適合者と手を組んで、より大々的に活動をし始めた時、ファズ少尉がそれを制圧しにきた。俺の人生はそこで終わるはずだった。


『なぁ、悪いことをして非難されて飯を食うか、良いことをして感謝されて飯を食うか、どっちが良い?選べ』


ファズ少尉は俺の首根っこを掴んでそう言った。

それはほとんど脅迫に近かったが、


『俺が軍隊に行ったら、家の仕事を手伝う奴がいない』


俺は家の事情を、なぜか素直に話してしまっていた。

誰かに、聞いて欲しかったのかもしれない。


『へぇ、田舎はそんなことになってんのか。じゃぁ、その下級貴族をぶっ潰せば済むって話だな?』


それからの展開は忙しなかった。

ファズ中尉は知り合いの巡察官に、その下級貴族とパミドール州の高等弁務官の癒着を暴き伝え、代わりの弁務官が来た。土地を管理する貴族も変わった。

俺の、俺の家族の悩みなど、吹いて飛ぶ綿毛のような軽さだとでも言うように。


『ったく、皇帝の野郎もまともな弁務官を寄越せってんだよ、な?』


ファズ少尉が軍服を着た俺を見に来たときにそう言った。


『なんで俺を軍に、、、?』


『そんなの簡単だろ。命を懸けるなんてことはくだらねぇ。でもな、そんなくだらないことができる人間は少ないんだぜ。お前は家族のために、捕まるの覚悟であんなことしてたんだ。素養があるとしか言いようがねぇ』


その言葉に、俺は救われた。

金もなく、盗みぐらいしかできることがないと思っていた自分。

そんな自分にも、期待され、できることがある。

そのことが何より嬉しかった。

だから、俺はまず第一に家族のため。そのためにはなるべく長く軍に勤める必要がある。だから死ぬわけにはいかないし、そのために身の丈にあった勤務態度を心がける。

でも、ファズ少尉と仲間のためなら、命を賭けてもいい。そう思った。


「ノラン・イミノルは、仲間じゃないですから」


俺はファズ少尉の背中にそう言った。

だが、彼女はそれを一笑に付して、


「ははっ。いや、違うな、お前はもう分かってるはずだ。あいつの目は、お前と同じだよ」


「そんなわけ、、、」


「お前を認めたのは、別に貧困に喘いでいたからじゃねぇぞ。お前と同じ境遇でも使えない奴は使えねぇ。それは貴族でも同じだ。元貴族でも、覚悟が決まった奴は使える、それだけだ。自分と、自分らの専売特許だと思うなよ?」


その言葉は正しかった。

恵まれた境遇のやつが、自分と同じようにファズ少尉に認められているのが悔しかったのだ。それは自分のような奴の特権だと思っていたから。

俺は、甘えていたのだ、少尉に。


「夜、第二射撃場に行ってみろ」


ファズ少尉はそれだけを言って去っていった。


▲▽


そこに何があるか、誰がいるかはもう分かっていた。


「私は、ああいうのはあまり好きじゃないけどな」


そこにいたのはユト・クーニア大尉だった。

彼女もまた、ノランの自主練習を覗きに来たらしかった。

銃声がまだ治りかけの脚に響く。


「ファズは、困った奴だ。あいつはすぐに死にそうな奴ばかり気に入る。そのくせ、本当に死んだら自分のせいだと落ち込むんだ、やめて欲しいよな。死に場所は自分で選ぶものだが、それは自分のために選ぶもので、もっと欲深い行為であるべきなんだ。あれは、高潔すぎる」


思わぬ上官の登場に驚きながらも、俺は、


「俺は死にませんよ」


「気に入られている自覚はあるんだな。でも、お前も死ぬよ」


「なんでですか?」


「英雄の覚悟を持った、凡人だからさ」


クランツェルの英雄。

その幼なじみの彼女が言う言葉には信用があった。


「俺にはそんな覚悟ありません」


「馬鹿か、当たり前だろ。英雄っていうのは常に蕾なんだ。誰かに水をかけられて、咲いたときにようやくそうと分かるものだ。それで生き残れれば本物だが、死ねば凡人だ」


「大尉は、テミナルで生き残りました」


「あぁ、そうだな。だからお前とは違う。お前は多分、その時が来たら死ぬ」


「逃げますよ、俺は、そんな状況なら」


「だといいけどな」


クーニア大尉は、一体どちらに会いに来たのだろう。

俺か、ノランか。あるいは両方か。

大尉は松葉杖をつく俺の脚を一瞥して、それから射撃場を出た。

それからどれくらいの時間、俺は彼女の背を見つめていただろう。


「あれ、あなたは、、、」


ノランが休憩なのか、銃を下ろしてこちらに振り返った。

やはり、彼女の瞳には寸分の余白もない。

射撃の訓練をしすぎて焦点が合わないのか、こちらに歩み寄ってくる。


「カズル・ライーマだ」


「知ってますよ。わたしのことが嫌いな人です。そして、わたしのせいで怪我をしてしまった」


「お前が、じゃねぇよ。弱い奴が嫌いなんだ」


「じゃぁ強くなれば、仲良くしてくれるんですね?」


「別に仲良くなりたいとか思ってないくせに」


「そんなこと、、、」


言い淀む彼女に、俺は苦笑する。


「練習、付き合ってやるよ」


「それは、、、ありがとうございます」


いつか、その美しい瞳に自分が映ることはあるのか。

それは分からないが、その時には大尉が言うような覚悟が本当になるのかもしれない。

俺は、最初から彼女に惹かれていた。

その、誰も寄せ付けない瞳に。


▲▽


帝国の東方では、婚約する時に二人で川に入るという慣例がある。

それはジシュア新派の宗教が広まるずっと前からのことだ。

農業従事者の多い東方では、土に塗れた足と手を山脈の雪解け水が流れる川で互いに洗い合い、それから掬った水を飲ませ合う。

大地は罪の重なり。

それを一度互いに洗い流し、また二人で踏み締めていく。


「こんなに寒いのによくやるわ」


行軍訓練に行く前の日のこと。

ユト・クーニアを囲う会を行った店で、いつもの4人で決起会をした日の帰り。

桟橋から見下ろせば、暗がりの中、男性兵士と1人の女性が膝まで水に沈めて川の真ん中に立っていた。

月光の中、それは神秘的な光景だった。


「クランちゃんは、ああいうの憧れないんだ?」


マキローはクランが零した言葉に対してそう言う。

彼は行軍訓練には参加しないが、俺たちに付き合ってくれていた。


「興味ないかな。だって、あんなんで罪が流れるわけないし。ああやっても、本当に信じ合って、愛し合ってるとは限らない」


その表情はひどく強張って、まるで殺人の現場を見るようにその男女の光景を見ていた。


「じゃぁ、ノランちゃんは?」


「わたしは、どうだろう。本当に川の流れが罪を流してくれるなら、それなら、良いかな」


ノランの表情もまた、決して明るいものではなかった。

俺は知っている。

彼女の覚悟。

おそらく彼女は、誰か復讐したい人間がいて、軍にいる。

誰かを守りたいわけではない。誰かを殺したいんだ。

それがなんとなく、最初に出会った日から分かっていた。

だから、その罪を背負ったとき、その手で相手の体を洗い、水を飲ませることに躊躇いがあるのだろう。


「カズルは?」


マキローは、なぜ順番にそんなことを聞くのか。

もしかしたら、彼は自分に一生縁のないその行為を、その意味を、誰よりも知りたかったのかもしれない。


「俺は、そうだな。好きな奴がいたら、無理くり川に投げ込んでやるし、じゃばじゃば洗ってやる」


「最低」

「それはちょっと」


と、双子が言う。


「なんだよ、どうせ綺麗にすんなら全身がっつりやった方がいいだろうが」


「そういう問題?」

「絶対違うと思うよ、カズル君」


「女はちょっと強引な方が好きだろ?違うのか」


「ぜんっぜん違う。それにカズル君、弱いから普通に投げ込む前に倒されそう」

「確かに。わたしでも逃げられそう、カズル君なら」


川の中の二人は、儀礼が終わったのか、抱き合いながら河岸に登って、それから去っていった。

その表情は見えなくても幸せそうな光景を見て、俺は、くすくすと笑うノランの手を取り、


「ほう、言ったな、妹」


「____え?」


俺はノランの手を引っ張り、桟橋を渡りきる。

皆が何かを言っているが、気にしなかった。


「い、いきなりどうしたの?カズル君、怒ったの?」


そしてそのまま土手を駆け下り、わーわー言っているノランを抱え上げ、川に投げ込んだ。


「ちょっと!カズル君!なにしてんの!?」


クランが桟橋の上から叫ぶ。

見上げれば、マズローも手を額にあて、空を仰いでいる。

川の方では、ノランがなんとか立ち上がり、ぶるぶるを顔を振ってから、


「うぅ、、、冷たい、、、やったなっ!カズル君!!」


と、水を手で掬い俺の方に掛けようとする。


「ばーか、届かねぇよ!」


「お姉ちゃんっ!!」


ノランが姉に助けを求めると、桟橋の上にいたはずのクランはすでにそこに居なく、


「よくもうちの妹を物みたいに投げてくれたな」


と、背中から声がする。


「お前、自分の転移、苦手なんじゃ」


「これぐらいはできるっての!!」


クランの足が俺の背中を強く蹴飛ばす。

俺はそのまま、顔から川に突っ込んだ。

思ったより川は深く、四肢をばたつかせてなんとか立ち上がると、すぐ目の前に濡れそぼったノランがいた。

黒く短い髪が顔に張り付いて、怒り顔に水が滴る。

月が照らす中、緑の瞳が俺を見上げる。

いつかと同じその顔。

でも、あのときより幾分柔和な。

神様がひっくり返した、その宝石が、ここにある。


「絶対、許さないからね、カズル君!!」


そう言って、また両手で川の水を俺にかける。

大丈夫だ、ノラン。

お前が、誰に、何のために復讐したいのかは知らない。

おそらく家族の仇だということは分かるが、その先まで知ろうとは思わない。

でも、俺が許すから。

この冷たい冬の水に、きっと、流れていくから。

だから、全部が終わったら、戻ってきて欲しい。

ノランは、きっと、俺と違って、英雄だから。

生きて、戻って来れるから。


冷たい。


___冷たい記憶。


____あれ、冬の川ってこんなに冷たかったけ。


体がその冷たさに凍っていく。

足先の感覚も、指先の感覚もない。

気温が急激に下がって、川が凍っていく。


『気に入られている自覚はあるんだな。でも、お前も死ぬよ』


大尉の予言は本当になりそうだ。

水は与えられた。

でも、俺の胸に空いた穴からは花は咲かない。

血だけが、雪を赤く染めて滲む。

英雄には、やはりなれなかった。


(身の丈、家族のために、、、でも、動いちまったな、、、)


あっち側には、なれなかったわけだ。

馬鹿だな。

これじゃ無駄死にだ。

ああ、ファズの姉貴は、泣いてくれるだろうか。

マキローも、クランも、、、ノランも、、、。

家族は、、、俺の収入がなくても大丈夫だろうか。

その辺は、姉貴がなんとかしてくれることを祈ろう。

くそ、もとを辿れば、エチカの野郎のせいだ。

ノランが、あんなに真剣に映画を見るから、それで変に意見が合っちまったから、それを本当にしたくて、こんな寒いところまで来ちまった。


血すら、冷たくなっていく。

永遠に、俺はここで凍っていくのだろうか。


『絶対、許さないからね、カズル君!!』


昨日のノランの怒り。

彼女の瞳。

そうか、春になれば、ここの雪も溶けて、川に流れる。

俺も、大地に沈み、溶け出ていく。

いつか彼女の罪を流してやろう。

そうしたら、彼女も、俺のことを許してくれるだろうか。


くそっ。

やだな。

そんときは俺の知らない野郎の足も洗ってやらないといけないらしい。

ふざけんなよ。

ほんとに。


でも、まぁ、、、よしとしよう。

俺の命は、出会った時から、ノランにあげていたのだから。

だから、それでいい。

後悔は、ない。


どうか、彼女の美しい瞳に映るすべてのものが、ずっと美しくあるように。

俺は流れる水になって、お前の罪を受け取り、また花を咲かせるように。



___そしてあなたの胸に、いつか一輪の花になって戻りたい。


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