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最終話 魔王死す

その海は冷たく白い霧の覆われていた。ゆっくりと進む小さな船の手すりに大粒の雫が滴った。


「久しく、来ていなかったな」


メガネを上げながら、彼は言った。


「そうか?この前来たばっかだぞ」


「すまない。私たちエルフは長命ゆえに少し時間感覚がおかしいのだ」


「いや、大分おかしい」


「うん。珍しくフラグがまともなこと言ってるけど、本当に来たの二週間前だからね」


「…なぜこの私がボケ役に回っているのダァー!!!」


その声は広大な海に長く響いた。辺りに鋭い風が吹き、肌が蝕まれる。


深い霧の中からだんだんと巨大な陸地のシルエットが見えてきた。

そう、そこがセンキ公国と魔王城のある大陸、

ヴァルムニア大陸だ。


「おいナレーション!!急にマジな感じにするな!!」




センキ公国に入って2日目。ノンストップとはいえ、ヤバの超高速化魔法のおかげで一万キロをたったこれだけで進むことができた。


「ここからは魔王の領地。気を引き締めていきましょう!!」


「「おー!」」


ツヨの一言に皆が一致団結する。そうして彼らは走り始めた。


こうして、魔王城に向かう彼らを妨げようとした。魔王だ。


「タヒね!!必殺魔法:魔神・地獄…!!(デーモンヘルフレ)


魔王は空の彼方へ吹っ飛ばされた。


当然だろう。高速移動中の彼らは時速二百キロメートルほど、新幹線に轢かれたのと同じなのだ。


そうしてまた一人、気狂い勇者パーティーとの正面衝突事故で命を落とすのであった。


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