プロローグ
ここは魔王城。
昼間にもかかわらず、魔王の覇気による影響で空は薄暗く、辺りには草木が一本も生えていない。
魔王は水晶を見つめていた。
そこには魔王を倒す者の姿が映る。だが、かれこれ百年、水晶には人影が映らなかった。
しかし今、一人の男が浮かび上がっていた。
魔王は笑った。
「フッ、こやつがこの私を倒すだと! まったく考えられぬ。おもしろい。前回水晶に映ったものは十秒も持たなかったが、この者はどれ程耐えられるか。きっと、三秒も持たないだろう。フハハハハハハハ!!!」
「そうです、魔王様! こんな雑魚が魔王様に敵うはずありません!!」
周りの者も笑い、城中に魔王達の笑い声が響き渡った。
「こやつを倒したら私は長年の夢である世界征服を完遂させる!!」
魔王の配下達はその言葉と共に発せられた覇気に一気に勢いづいた。
「さすがだぜ、魔王様!!」
「そんな奴、瞬殺しちゃえ!!」
手下達に鼓舞され、魔王はさらに興奮して口を早めた。
「私の必殺魔法:魔神・地獄炎はこの者の魂まで焼き尽くし、無限の苦しみを与える!!! そして、私の奥義:極界獄炎こやつのトドメを刺すのだぁ! まだ、他にもあるぞ!! 魔神撃・死滅極光は対象の内蔵まで破壊して……」
「あれ、これやばいんじゃね…」
ひとりの幹部が何かに気づいてそう呟いたが、悲しいことにその声が魔王の耳に届くことはなかった。
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