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分水嶺

残り279日!87日目!

 世の中の多くが妄想する事柄にあの時に戻れたらと言うものがある。


 それは単純に若返って昔をもう一度やり直したいという意味で妄想する事もあるだろうが、ほとんどの場合はその妄想をするに当たって心の中に浮かんでいる感情は後悔の念であると思う。


 あの時、頑張っていれば。あの時、あの子に告白していたら。あの時、必死に勉強していれば。あの時、誘いを断らなかったら。あの時、あの時、あの時……。


 多くのあの時こうしていればと言う後悔が世界中の人々の妄想を生む。その中でも、最も深い後悔が現れるのが人生の『分水嶺』となる道を選択した瞬間の事であろう。


 あの時、目の前に現れた二つの分かれ道に意を決し選び飛び込んだ人生の先に現在の自分が生きている。そこに満足していても、不満足であったとしても、その時に選んだ別の道に行った先がどうなるのか気になるだろう。


 本来その道は選んだ先でしか見る事が出来ない。選ばれなかった先を確認する事は不可能であり、妄想という非現実に頼るしか出来ない。


 だからこそ人生の分水嶺のもう一方に繋がる道と言うのは、後悔のしがいがあり、妄想のしがいがあるのだ。


 もしも、妄想ではなく本当にもう一方の人生を体験出来るとしたら、人々はどうするだろうか。


 あくまで体験するだけであり、これまで歩んできた人生が変わるわけではない。そうだとしても、選んだ人生もしくは選ばなかった人生を体験してみたいと思うのだろうか。


 知らぬが仏という言葉がある。


 もしあの時に別の道を選んでいたらという妄想は現実世界の後悔と共に言い訳の材料にもなる。しかし、実際に体験してみると、妄想通りには行かず全く想像していなかった結果が待ち受けているかもしれない。


 その妄想に寄り掛かっていたなら間違いなく支えを失う事になりメンタルが崩壊する事だろう。いや、もし妄想通りに行ったとしてもやっぱりあっちが正解だったのかと後悔する事になってもおかしくはない。


 現実が変わるわけではない為にもう一方の人生を体験するデメリットも多いだろう。それでも、自分の可能性を知る事は何よりも代えがたいメリットと考えそうなものだが。


 それにもう一つの人生を体験するなんてチャンスは二度と自分の前にやってこないかもしれない。そう考えれば、この体験を「する」か「しない」かの決定こそが今後の人生の分水嶺になりかねない重大事件になってもおかしくない。


 単純な興味でも十分に体験する理由に成りえる。ゲームのシナリオがルート分岐しているのであれば全部のルートが気になるのも道理であるだろうから。


 ただ分かりやすい分水嶺ばかりが人生ではないだろう。誰もが劇的な選択をしているとは限らないのだがら。


 そんな人間はまずどこが自分の人生最大の分水嶺となるのかを探らなければいけない。


 年が経てば経つほど、分かれた先の人生が大きく変わっていくはずの為、若い時代の選択を変えれば今とは全く別の人生の体験を出来るはずである。


 では、俺のようなまだ成人もしていない人生の序盤を生きている人間はどうすればいいだろうか。


 何が最大の分水嶺であるのか全く想像がつかなかった。


 友達に誘われて野球クラブに入った事だろうか?


 結局、疲れるからと言う理由ですぐに辞めた事だろうか?


 塾のチラシを渡されて紙飛行機にして飛ばした事だろうか?


 イジメられていた田中君を助けなかった事だろうか?


 もっと背伸びして高校受験をするべきだった事か?


 どれもこれも変えたとしても、結局は今の自分と変わらない人生を送っている気がする。


 選択を変えても根本は変わらないのだから、同じ道の近くに戻ってくる気がしてならない。もしかすると、自分が選ばなかった先で劇的な変化があるかもしれないが、それはもう運としか言いようがない。


 意外な才能ここにありと言った所だ。そんなものが見つかる方が幸運である。


 もういっそ見ない方が賢明かもしれないと考えたが、こんなチャンスはもう二度とないだろう。


 目の前の神かよくわからない存在はコチラを見てずっと微笑んでいる。


「決まりましたか?」


 低く渋い声がする。


 自分の人生の可能性を見る事が出来る絶好の機会であるのに、人生の分水嶺がどこにあったのか分からない。どの選択を変えれば人生の可能性を見る事が出来るのか。


「あ」


 簡単な答えが頭に浮かんだ。これが自分の人生にどれだけの影響を与えるかは分からない。さっきも考えたように、この選択を選んだ事こそが人生の分水嶺にしてしまうかもしれないが、今の自分に一番効果的な使い方かもしれないと思った。


「決まりましたか」


 俺が意思を決定したのを感じてさっきとは違う口調で聞く。


「昨日の夕方、終礼後の教室にいた時でお願いします」


「心得ました、選択はどうされます?」


「好きな子に告白を「する」でお願いします」






 そして不思議な体験をした次の日、俺は自信を持って好きな子を放課後に呼び出したのであった。


今回は秋のなろう歴史テーマが分水嶺になるとの事なので書いてみました!

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