砂場の修行
残り285日!81日目!
砂場にバケツでかたどられた山が盛り上がっている。
水で固められていないためボロボロと崩れ落ちていくその山を見ても男の子は嬉しそうに新しい次の山を作ろうと、先程も山を作るのに使ったバケツの中に砂場の土をどんどん入れて行った。
創作とも言えないその行為を五回程繰り返し行い、砂場の山を5つこしらえると満足そうに一息ついた。
そして砂場から外へ出たかと思うと、勢いよく走り出しその砂山の一つを蹴飛ばしたのだった。
勢いよく助走を付けた彼の蹴りはバケツで作った山を吹き飛ばす程の威力は見せずに、その形を少し崩す程度に留まっていた。
想像とは違う物足りない崩れ方をした山を何度も蹴り飛ばしてその形を崩していく。助走を付けて蹴った時よりも上手く力が入っているようで砂山は大きく崩れ、崩れた砂は砂場を超えて遠くまで飛んで行った。
一つの山が完全に形が崩れ少し土が盛り上がっただけになると今度は別の山に向かってパンチをし始める。
しかし、最初の一撃で拳が痛くなったのか、手をパーにして、チョップするように叩きつける。
縦から横から兎に角チョップしていたが、キャベツを千切りにするようにトントン上から叩きつける。
ただ上から殴りつけても大きく山が崩れないので痺れを切らしたのか下の方を掘り出して、土台を脆くしてから上を蹴りつけて山を崩した。
他の三つの山も簡単な崩し方を理解したと言うように足のつま先で下を削ってからパンチやキックで山を崩した。
全ての山が消え去ると男の子はバケツを持って砂場を後にした。
「お母さーん」
と、ベンチに座っている自らの母の元へ男の子が駆け寄っていくと母親もそれに応じて
「どうしたの? マー君?」
優しく答える。
「しゅぎょうした!」
褒めて貰いたいと母に報告するマー君の頬に泥が付いている事に気が付き、そっと頬から泥を取ってあげる。
「何をしてたの?」
「山を壊してた!」
「わーホントに! 凄いね!」
様子をずっと見ていたので何をしていたか知っている母はそれでも息子がとても凄い偉業を成し遂げたかのように褒める。
嬉しそうにするマー君は少し照れ臭そうに
「あの、あのね、お母さんを守る為にね、強くなったんだよ」
本当は照れ臭いのだろうが、まだまだ母に褒めて貰いたいマー君は母の為に頑張っていた事を教える。
「えーありがとうマー君!」
自分の子供はなんて優しい子なんだろうかと本気で愛しくなり、クシャクシャに頭を撫でる。
「あ、お父さんだ」
と、仕事帰りなのだろうかスーツ姿で帰宅した父親が二人を見つけて近寄ってきた。
父親が二人に近づく前にマー君が先んじて自分の父親に向かって駆けていった。
「おー」と飛びついて来るのだと思った父親は手を広げて自分の息子であるマー君を待ち構える。しかし、マー君は飛び込むのではなく、父親の靴をつま先で蹴り始めたのだった。
「えっ、なになにマー君、辞めてよ」
母が何故マー君がそんな行動を取ったのか分かってしまったので、その光景を見て苦笑した。
「修行の成果を見せてるのよねマー君、お母さんを守ろうとしてるんだよね」
頭に「?」を浮かべる父親だったが、母親は大変満足そうに二人のやりとりを見ていた。
今回は何故か砂場が頭に浮かんだので書いてみました!




