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ピンボケ心霊写真

残り305日!64日目!

 旧校舎に女子高生の幽霊が出る。


 いつからか、そんなありきたりな噂が僕の学校では出回っていた。旧校舎の2階にある通常教室に彼女は現れる言われていた。概要はよくある怪談話ではあるのだが、この怪談特有である点も存在した。


 それは、彼女が写真の中でしか現れないという事である。さらに言えばその教室で撮った写真で彼女が写ったとされる写真は漏れなくピンボケしているらしく、彼女の姿はハッキリと見えないらしかった。


 この話を聞いて、ピンボケしてハッキリと姿が見えないのになぜ「彼女」である事が分かるのかと言う疑問がまず頭に浮かんだ。


 これは噂に噂の塗り重ねをしていくようにはなるのだが、元々その噂が流行った原因と言うのが、どこかのグループが肝試しとして旧校舎に侵入し偶々その教室で写真を撮った事がきっかけらしく、「旧校舎のこの教室だけ写真を撮るとピンボケする」という噂から、その旧校舎で学生時代を過ごしていた五十代の先生から「教室にいた女子生徒が亡くなった」と言う話を誰かが聞いたらしく、「旧校舎には女子高生の幽霊が出る」と言う噂がたったのである。


 それからと言うもの、いや、それ以前からも多かったのだろうが、旧校舎で肝試をする生徒がさらに増えてしまった。


 学校側も旧校舎におふざけで出入りされる事を問題視し、簡単には入れないように窓やドアに固く鍵をかけるようになった。おかげで気軽に肝試しをしようとする生徒はいなくなったが、それでも、あれやこれや方法を駆使して肝試しをする生徒は後を絶たなかった。


 噂の検証をするため肝試しの目的がその教室に行き、写真を撮って帰って来ると言う内容が多く、友達や先輩、後輩、至る所から撮った写真が回ってくる為、ピンボケ写真は学校中で出回っていた。


 とはいえ、ピンボケが酷すぎるため、ハッキリと人影が写っているかどうかも怪しい写真である。心霊写真としてのインパクトは薄く、撮ってピンボケを確認した瞬間しか感動の盛り上がりがなく、写真自体に興味を示される事は少なかった。


 しかし、僕はどうしても気になってしまった。


 もしそれが本当に心霊写真であるならば一体、彼女はどんな姿をしてそこにいるのか。ピンボケするその先が気になってしまった。


 そんな時に、僕は担任の教師から旧校舎掃除のお手伝いに任命されたのだった。この人選には教師側もかなり悩むらしく、下手に人選を間違えればひっそりと鍵を開けておいて、後から肝試しをしようと侵入するルートを確保しようとするからであった。


 だからあまり肝試しに興味が無さそうな僕が選ばれたのだが、その人選は合ってもいたが間違ってもいた。


 確かに他の生徒を引き連れて肝試しするような生徒ではなかったが、ひっそり鍵を開けて侵入するルートを生徒であった。


 興味のままに行動した僕は、忍び込んだ旧校舎で例の教室まできた僕はスマホのカメラを連写した。


 いくつも教室内を撮った写真の中に噂通り何枚かピンボケする写真が紛れていた。しかし、やはりハッキリと映る人影はなく、教室の写真を撮るとピンボケするという不思議な現象しか起きなかった。


 どうにか映っているものはないかと写真フォルダを見返すとある事に気づく。一定の場所が写った時にのみ写真がピンボケしているのだった。


 僕は少しずつカメラを移動させながらピンボケする位置を明確にしていく。そしてついに教室の一部、ちょうど人が一人分程のスペースを特定した。


「そこにいるのかな」


 肉眼では何も見えない。カメラ越しでもピンボケして何も見えない。


 試しにその辺りを触ってみても何もなく、かなり距離を近づけて撮っても何か変わる事もなかった。


 やっぱりどうしても確認出来ないかと背を向けて諦めようかとスマホを操作すると指がインカメ設定のボタンに触れた。


「…………!」


 驚きで叫び声も出なかった。インカメになったスマホの画面に制服姿の人影が僕の背後に写っていたのだった。


 暗くよく見えない彼女の写った顔をハッキリと認識した僕はシャッターを切らずにその場からーー逃げ出した。


 それは恐怖も確かにあったのだが、罪悪感が胸を打ちその場にいられなくなり逃げ出したのだった。

カメラに写った彼女の顔を見て僕は察してしまった。


 彼女の顔はとても酷かった。何度も殴られたかのようにパンパンに腫れており、鼻がひしゃげ、目もほとんど開いておらず傷だらけであった。


 彼女はそんな自分を見られたくなかったのだ。向けられたカメラに異常を起こしていたのは、そう言う理由だと悟ってしまった。


 彼女の腫れた顔でもわかる程に絶望に暮れた悲しい表情から僕に伝わってしまった。


――私を見ないで


 そんな思いが伝わってきて、なんとかして見ようとした自分を恥じ、旧校舎から出た瞬間にそれまでに撮った全部の写真を消去して心の中で彼女にずっと詫びるのだった。





 その教室で亡くなった生徒は学校一の美人であったらしい。しかし、それが災いしてか、教室に残った彼女を狙い暴行を働いた男がいたそうだ。


 きっと必死に抵抗したであろう彼女に男は力加減を考えずに殴り続けた。結果、彼女はその美貌を無惨なものに変え、そのまま亡くなったと、当時、旧校舎で学校生活を過ごしていた教師は語った。


 なぜ旧校舎に残っているのかは分からない。男への恨みか、彼女の未練がこの世に止めるのか彼女のみが知る所ではあるが、変わり果てた顔だけは見られたくない意思は伝わってきた。


 インカメに写ったのは彼女に生きていた時代がまだインカメなんて存在してない時だったから油断したのだろうか? 幽霊が油断するよ言うのもよく分からないが、ちゃんとした理由なんて分からない。


 僕が彼女に対する罪悪感も正しいのかは本当の所分からなかったが、一つの行動をとった。


「旧校舎の写真を持っている人間が最近次々と不幸になっている」


 という噂を流した。


 ピンボケで写ってないとしても、彼女が撮られた写真を消して貰えるように噂に噂を上書きしたのだった。

今回は「ピンボケ」「ひっそり」「任命」の三つの単語で書きました!

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