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両極端な双子

残り326日!40日目!

「茜ちゃん、上通るよ」


 洗濯物が一杯詰まった洗濯カゴを両手でガッシリと持った少女が床に寝そべっている少女に声を掛ける。


「ハイハイー」


 と、特に気にすることなく適当に返事をする茜と呼ばれた少女は手を休めること無く手元の漫画のページをめくる。


「茜ちゃんも洗濯物をたたむの手伝ってよ」


「洗濯は葵ちゃん担当だから」


 と言われ、葵と呼ばれた少女は頬を膨らませる。


「じゃあ、茜ちゃんの担当は何なの? 家事は一切手伝わないし」


「勉強、スポーツ、音楽よ」


 葵はそれを聞いてムスっとしながら洗濯物を干し始めながら言う。


「担当って、それ茜ちゃんが得意な事じゃん」


「葵ちゃんが苦手な事でもあるね。私達は双子なんだから二人で苦手を克服するのよ」


「それって、ただ私に面倒事を押し付けてるだけじゃん……」


 もう諦めたというように洗濯物をたたみ始める葵。


「そんな事ないわよ。私は手先が不器用だから葵ちゃんみたいに上手く家事は出来ないし、料理なんてもっての他だし。バランスを取っているのよ私達は、出来る事と出来ない事をハッキリ別れる事でね」


「双子だったら普通は出来る事も出来ない事も同じになると思うんだけどな。体の作りだってほとんど一緒のはずなのに」


「神様のいたずらね。一人だと才能に恵まれ過ぎたから二人に分けたのよ。もしくは恵まれなさ過ぎたから分けたのかも。まぁ私はどっちでもいいんだけど」


「そりゃ茜ちゃんはどっちでもいいよ、家じゃ手伝いしなくていいし、学校じゃ人気者で皆からチヤホヤされるし」


「いやいや、葵ちゃん。私ばっかりいい思いしてるような言い方して、私だって葵ちゃんの事が羨ましいっておもってるんだからね」


「茜ちゃんが私を?」


 残り少なくなった洗濯物をたたむ手を止めて茜の方に葵は目を向ける。


「そうよ、同じ顔なのに葵ちゃんの方がモテるし、私の好きな人だって葵のこと好きな事多いし、ガサツだからって皆から適当な扱いされるし、料理美味しいし、私よりも幸せになりそうだし……」


 話すにつれて茜の語気が段々弱くなっていく。


「えぇ……そんなの自分を下げているようにしか聞こえないよ」


「それは私も同じ意見よ葵ちゃん。そこは双子なのかな。両極端な私達だから自分の持っていない所ばっかり見てお互いを羨ましくなっちゃうのかもね」


 漫画を読み終わったのか茜は本を閉じて立ち上がると葵の方へ行くと、まだたたんでいない洗濯物を手に持つ。


「手伝う、でも、あんまり上手く出来ないよ」


「大丈夫、私が教えるから」


「もう何度目か分からないけどね」


 苦笑いしながら茜は葵の教えられた通りに服をたたんでみる。


 しかし、何故かたたんでいくウチにグチャグチャになっていく服は見るも無残になっていく。


 濁音多めの呻き声を出して茜は悔しく俯く。


「なんでこうなるのよぉ……」


 グチャグチャになった洗濯物を見て葵は満足そうな笑顔を浮かべる。


「うーん今日の残りは私がやっておくよ茜ちゃん。また今度手伝って貰うね」


「もうやらない!」


 と、拗ねた茜は先程読んでいた漫画の続き本棚から手にして同じところに寝転がる。


 葵は拗ねて漫画を読み始めた茜を横目に全ての洗濯物をたたみ終えた葵は片付ける為に全て持ち上げる。


 片付ける為に部屋から出た葵の顔から笑顔が消えない。先程の呻く茜の姿を思い浮かべる。


 勉強もスポーツも音楽も何でもできる茜だが、家事をさせると何も出来ない不器用な少女であった。茜がその事を気にしているのを葵は知っていた。


 茜はそれが愉快でしかたなかった。


 学校では勝ち組である彼女の醜態を見るのがこの上なく好きだった。


 両極端な双子は性格までも両極端であった。

今回は「両極端」「またぐ」「濁音」の三つの単語からお話を書きました!

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