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悪人は死ね

残り334日!32日目!

『死ぬ事は罪を償う事じゃない! その罪の重さを背負う事が償いなんだ! 死んで逃げようとするな!』


 と、画面の向こうで主人公のキャラが真剣な表情でそう叫び、これまでに大罪を犯した悪人に手を差し伸べ、奈落の底へ落ちようとしていたそいつの手を掴み引き上げた。


 引き上げられた悪人は主人公の言葉に改心したようで死ぬのをやめ償う為に生きる選択をするのだった。


「いや、死ねよ」


 ここまで思っていても口に出さなかった言葉が感動的なEDテーマが流れ出すとツッコミのようについ口から漏れ出てしまう。


 どんなに説得されようと、お前は死ぬべきだっただろと私は思う。


 見た事のある王道展開ではある、主人公によって改心した敵が味方となって一緒に戦ってくれるというこの展開。ただ私はあまりこの展開が好きではない。


 簡単な話どの面下げてんだと思ってしまう。


 盗みや詐欺などの軽犯罪ならまだ分かる。いやそれも許されるものではないのだろうが、このアニメに出てきた悪人は殺人を犯していた。


 生きる為に何人も殺していた。罪のある人もない人も。


 そんな奴どんな理由があったって改心したのであれば死ねと思う。それこそが償いだろと思う。確かにやむにやまれぬ事情があるように彼の生い立ちなどが話に出ていたが、だからなんだと思う。


 いっそ開き直って悪人を貫き通すのであるのならば別にいい。そいつはきっと天罰をくらう。王道な物語であれば主人公一向に見事に殺されてくれるはずである。


 ただ、コイツだ。反省しEDテーマ中もさも主人公の仲間ですよと言った顔で写り込むコイツが気に食わない。


 今後も中心キャラとしてこの作品の中でのさばり続けるのだろう。反省していますと言う顔をしながら、主人公に説得されたように罪を背負って生きていくのだろう。


 そんな事が許されていいのか。


 そもそも何故、主人公に説得されているのだろうと思う。まずお前が耳を傾けるべきは被害者の遺族であるべきで主人公の言葉ではないはずだ。


 憎んでいるはずだ。家族が殺され何も思わない訳がない。正義もないただ己が生きる為に必要だったから人を殺した彼に許される通りも生きていい通りもない。


 殺した分だけ死ね。他人の掛け替えのない命を奪ったなら自分の命を持って償え。


 今後主人公一向と一緒に善行を働く事で許されようとするのが気に入らない。どんなに良い事をしても、顔を見直す事で自分は許されてはいけない人間だと立ち返るのが気に入らない。俺は他人を不幸にしたから幸せになれないという不幸面が気に入らない。誰も見てない所で腹かっさばいで死ねばいい。


 死ぬ決意をしたあの時の思いは本物だったはずだ。人を殺した罪悪感で圧し潰されて絶望したその時こそがお前の人生で一番不幸せな時のはずだ。それをだ。


 主人公に言われるがまま罪を背負い生きる事を選択するなんて、死ぬほど感じた罪悪感の余韻に浸って生きているだけではないだろうか。どん底の絶望の中で暗い感情に浸りながら善行を一つ積む事に救われた気になるはずだ。


 それは幸せになろうとしているという事じゃないだろうか。罪を償う事為にする善行は間違いなく彼の心を軽くさせる。一つの善行が一つの罪を軽くしていく。


 もし一つの命を救う事が出来れば彼が犯した罪は一つ分軽くなるかと言えばそうじゃない。これは大抵の場合、罪を犯した本人も自覚しているはずだ。


 だからどれだけ善行を働こうと罪悪感は消える事がない。ただ、言いたいのは結局その罪悪感はあの死を決心した時の余韻なのだろうと。


 生ぬるい思いで生きるなら死ねと思う。本気で自分に絶望した状態で死んでおけと思う。


 殺された人の恐怖や絶望を抱いて死ね、同じ不幸を感じて死ね。


 死のうと思った時がお前の死ぬ時だ。誰にも遺族にも自分にも許されず死ぬべき。それが罪を償う事だと私は思う。


 EDテーマも終わり別の番組に切り変わったタイミングでテレビを消した。


 なんだか今見ていたアニメにも興味も失せてしまった。興覚めしてしまったと言っていい。


 あのキャラのせいで。


 私はスマホを手に取って少し調べ物をする。興味を失ったそのアニメのタイトルを打って検索エンジンにかけて、その悪人のキャラの結末をみた。


「ほら、幸せになってる」


 その悪人の最期は主人公を庇い感謝されながら死ぬという最高の見せ場であった。


 やっぱりお前はあの時に死ぬべきだろ思った。

今回は「余韻」「のさばる」「見直す」の三つの単語からお話を書きました!

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