料理勝負をすることになった悪役令嬢とヒロインは思った。この勝負は食材のレア度で決まると。味見役の王子は思った。料理って食材だけじゃないよ・・・
「エリザベス、君との婚約を解消したい。」
パーティ会場で、王子アルスの声が響き渡った。突然の王子の宣言にパーティ会場は騒然となった。
すると、その中から金髪ロール髪の女性が前に出てきた。王女の婚約者のエリザベス侯爵令嬢だ。
「な、なぜです。殿下」
「ごめん、エリザベス。僕は見つけたんだ。僕を本当に愛してくれる人を」と王子は頭を下げた。
また、王子アルスの横ピンク髪の女の子も頭を下げた。アン男爵令嬢だ。
「ごめんなさい、エリザベス様。私は婚約者がいることを知っていながら殿下を好きになってしまいました。でもエリザベス様の100倍くらい殿下を愛してしまったんです。」
バキッ!
という音がしたので、パーティの参加者たちが驚くと、エリザベスが手に持ったセンスを真っ二つに折ったところだった。
「ふふふ。あなたが私の100倍殿下を愛しているですって?私の方がずっと殿下を愛しているんですからね!」
「そんなことありません。私の方がずっと上で」
「いいえ、私の方が」
「私の方です」
と口論を始めた。
「静粛に」
カンカン
王がハンマーを叩くことがしたので、みな口を閉じた
皆が静かになったのを見て、王がいった。
「古来より我が国では、このような時に料理勝負で決めることになっておる。なぜならば、料理の最大のスパイスは愛じゃからじゃ!より美味しいものを作る=より相手のことを愛しているということじゃ。マイハニーのようにな!」
「あらやだ、ダーリンったら恥ずかしいわ」照れる王妃
話が進まなそうだったので、王子は王に言った。
「父上」
「公式の場では、国王陛下と呼びなさい」
「国王陛下、それでは、2人の愛を確認するために、料理勝負を開催させてください」
「うむ、やるが良い」
「はい」頷く王子
すると、いつの間にか手にマイクを持ったシルフハットの燕尾服をきた男が現れていった。
「それではここからは、司会のマイクが進行をさせて頂きます。まず、料理勝負のルールを説明します。勝負の日は7日後、この会場にて開催します。食材は自由。料理方法・調理場所も自由。7日後のこの場で料理が出せれば良いです。ただし、この勝負は料理に込める愛を確かめるものなので、自分以外の人が調理したものは無効となります。判定員は王子が務め、2人の料理を食べて、どちらが美味しかったのか答えて頂きます」
「わかったわ。望むところよ!」と両こぶしを合わせて気合いを示すエリザベス侯爵令嬢。侯爵家では文武両道をモットーにしているため、幼少期から鍛えていた。さらに、王子の婚約者になってから王妃教育のストレスが溜まりまくり、毎日ダンジョンに潜ってストレスを発散させていた。長期連休の時には、20日くらい平気で潜っていた。その結果、世界で5本の指に入るほどの実力者になっていた。
「私だって負けません」と両手をグーにして気合を入れるアン男爵令嬢。男爵領は貧しく、そして魔物の発生が多い領地だった。そのため、アン男爵令嬢も小さい頃から魔物退治を経験していた。さらに、男爵領が最近洪水に見舞われたこともあり、毎日ダンジョンに潜って、お金を稼いでいた。長期連休中も同様である。そして、同様に、世界で5本の指に入るほどの実力者になっていた。
エリザベスとアンは互いを見やって思った。
「「私にはわかる。料理レベルは私と同じ。つまり、勝負を決めるのは・・食材のレア度!!。絶対に相手より優れた食材を手に入れてみせる!」」
「それでは調理スタート」という司会の声に一目散に走り出すアンとエリザベス
アンは思った
「エリザベス様に勝つにはあれしかない。数多の世界を滅ぼしたという伝説のモンスター、リヴァイアサン」そして海に飛び込んだ。目指すは海の底にある海中神殿だ。そして、神殿を進みリヴァイアサンに対峙した。
リヴァイアサンは、一度動けば大津波で世界を海の底に沈めてしまうような。そんな化け物であったが、「ごめんなさい。でも倒させて頂きます」と言って、アンは戦いを始めたのだった。
エリザベスは思った。
「なんのこちらは、数多の世界を焼き尽くしたという伝説のモンスター、インフェルノドラゴンよ」
そう言って、世界最高峰1kmまである山を登り、インフェルノドラゴンに対峙した。インフェルノドラゴンは体内にマグマを内包しており、一度、空を飛んだら、世界中が火に包まれる。そんな化け物であったが、「私の愛を示すために死になさい」と言ってエリザベスは戦いを挑んだのであった。
そして、料理勝負当日。
「さてついにこの日が来ました。どんな料理が出てくるんでしょうか?楽しみですね。殿下」試食席の王子にマイクを向けて司会者のマイクが言った
「二人の女性からの手料理、魅力的すぎる自分が怖い」キラっとした星が広がるような雰囲気を出す王子
「おーっと、さすが殿下。王子様でなかったら殴られるようなセリフもさらっと言いました」
「うむ。もっと褒めても良いよ?」
「さて、殿下の発言が終わったところで、料理を出して頂きましょう。ご両名どうぞ」
そして、エリザベス侯爵令嬢とアン男爵令嬢が入場した。
「お、おい。あれを見ろ。アン男爵令嬢が引きずっているのは、伝説の化け物リヴァイアサン!?」
「こちらも見てみろ、エリザベス侯爵令嬢が引きずっているのは、伝説の化け物インフェルノドラゴン!?」
観客がざわめいた
「おーっと、驚きました。二人とも伝説級の化け物を持ってきました。どんな味がするのでしょう?」
司会のマイクも驚いた声を出した。
「やるわね。アン見直したわ」「エリザベス様も驚きました。」
「「でも勝つのわ私です(よ)」」
エリザベス侯爵令嬢とアン男爵令嬢がメンチを切っていた
「さあ、この食材をどのように調理するのか?お二人調理をお願いします」
「はああ・・・・」アンとエリザベスは気を高めると、調理を開始した。
「おおーーっと!アン選手、リヴァイアサンを一瞬でバラバラにすると豪快に鍋に入れた。そこに投入するのはこれまたS級アイテムマンドレイク、新月草、永久花、・・・これはS級アイテムの玉手箱だ。エリザベス選手も負けていない同様にインフェルノドラゴンを一瞬でバラバラにすると、同じくS級アイテム世界樹の雫、暗黒キノコ、火山草・・・を入れた。こちらもすごいぞ」
「なかなかやるわね」
「エリザベス様も」
「でも負けないわ」
「私だって負けません」
そして、料理が出来上がった。
「リヴァイアサン鍋です。私の愛情をたっぷり入れました」
「ドラゴン鍋よ。私の愛情をたっぷり入れたわ」
それぞの料理は紫の泡や緑の泡がプカプカ浮かぶなんとも形容しがたい姿をしていた
「「さあ殿下私の料理を食べてください」」
「ではまずアンの料理から頂こう」と言って恐る恐る紫色のスープを口にする王子
「うぎゃああああああ」食べた瞬間に、飛び跳ね床をゴロゴロ転がる王子
「ふふふ。私の料理の美味しさで殿下が飛び跳ねました」
「やるわね。アン」
「ゼエゼエ、いや、これは」王子が発言しようとした瞬間
「おーっとダメです殿下。味の感想は最後です」と司会のマイクに止められてしまったのだった。
「次はエリザネスの料理だな」と言ってさらに恐る恐る緑の泡が浮かぶスープを口にする王子
「うおおおおおお」食べた瞬間に、同じように飛び跳ね転がる王子
「ふふふ、私の料理でも飛び跳ねるくらい喜んで頂けましたわ」
「う、やりますね。エリザベス様」
ゲホゲホしていた殿下が立ち上がると、司会のマイクがいった
「さあ、殿下、裁定をお願いします。どちらの料理が美味しかったか言ってください」
チクチク・・・。あまりの緊張に、時計の音しか聞こえない時間がしばらく続いた後
王子は大きく息を吸うと、いった
「どちらも不味すぎ!!というか食べた瞬間に死ぬかと思った」
「そんな、殿下のためにこんなにレアな食材を入れたのに」
「私もです」と不満な二人
「でも見直したわ。あなたあれほどの素材を集めるなんてすごいわね」
「エリザベス様も」
そういって見つめ合う二人。
「目指すは打倒王子よ!」「はい」
「私と一緒にまだ見ぬ食材を探しに世界を回ってみない?」「私もそうしたいって思ってました」
「よし早速出発よ!」「レッツゴーです」
といって去っていく二人。
「えっと・・食材ではなくて、調理方法を・・・」去っていく二人に声をかけようとした王子だったが、もう二人は地平線の彼方に去って行ったのだった。
それから、二人は一緒に冒険しては、色々な食材を見つけ、それにより世界の美食が加速するのであった。
ちなみに王子は、定期的に二人の料理を食べさせられ、その度に苦しむことになるのだった。
「でもなんでそんな美味しくないのに食べるんです」と執事に聞かれた王子は
「いやあ・・まずいのだけど、二人が作ってくれると思うと嬉しくて。モテる男は辛いね」と照れるのだった。