勘違い
ある青年がいた。少し陰気なことを除けば何ともないただの平凡な青年である。
青年は道端に座り込んでいた。考え事でもしていたのだろう。
その青年にどこからか猫が近くに寄ってきた。目は青く艶やかな毛をした黒猫である。
その猫は青年の足元に寄ってきた。
青年は猫好きであったがその時までに猫を撫でられる機会もなく、出来たことと言えば眺めることだけだった。そんな青年が自分の好きなだけ猫を撫でることが出来る機会を得たのだ。
青年はその猫を撫でた。初めて猫を撫でた高揚感を抑えられない青年であったが、猫もまた撫でられることを悪いと思っている様子もなくじっとしている。青年は魅了された。
次の日、青年は餌を持って同じ場所でその猫が来るのを待った。しかしどれだけ待ってもその猫は来なかった。