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レン  作者: N
3/11

早稲月

2杯目のビールを飲むころ、雨が物凄い勢いで降ってきた。

台風…

月曜日になると、水災の事案が死ぬほど上がってきているのだろうな。

月曜日の職場はみなカリカリしていた。

土日の間、自動車の被害が多いから、

戦地に赴くかのような緊張感で社員は仕事に取り掛からなくてはいけない。

そう考えると土日を思いっきり楽しめないのだ。

今の私にはどの曜日も苦しみの曜日のように思えた。


今度は私が訊いた。

「蓮さんは、なぜ蓮さんというのですか?」

「父と母がよく美術館デートをしていて、モネの睡蓮を見て、僕の名前を蓮にしようと思い付いたらしいです。」

「へぇ…、モネの睡蓮私も好き。ご両親仲が良いんですね。」

と私が言うと、

レンは少し小さな声で、

「いえ、もういないのですけど」と言った。

レンが一瞬寂しそうな顔をしたように見えた。


レンの耳の中には何かが入っているように見えた。

イヤホン…?にしては小さすぎる。


「あの、希さんさえ良ければなんですけど…」

「これからも会ってくれませんか。いろいろと知りたいことがあります。」

ハイテンションな英語の飛び交う店内で、レンはそう一気に言った。


そうして、私はレンと連絡先を交換し、店を出た。

靴の中までびしょ濡れだったが、私はそれどころではなかった。

柔らかな前髪にやや太めな眉、

ぽってりとした花のような唇から零れる、今どきの若者らしからぬ上品で優しい言葉遣い

なぜ私なんかに?


私のクソのような人生はその日から変化していったのだ。


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