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レン  作者: N
1/11

私は、昔から変わっていると言われて来た。

人付き合いが苦手で、ひとりを好み、空想好きで

自分の殻に閉じこもり、映画を観たり本を読んだりするのが好きだ。

アルバイトや派遣で生活費を捻出し、

正社員になろうと何度かトライしたが、

オフィス特有の、朝のピリピリとした空気、月末の殺気立った雰囲気、

昼の休憩室は死屍累々

机に伏せて寝ている社員。全員に余裕がなく、睡眠も足りずに疲れ切っている。

人が常に足りなくみな切羽詰まっているあれは地獄のように思えた。

そういう訳でどれも続かなかったのだ。

サボっている訳ではない。頑張ってはいるのだが私は社会不適合者なのだろう。


アルバイトと派遣社員生活を続け、

帰ったら音楽を聴きながら空想をする。

BTSのあの子が彼氏だったら…

私がチェロを弾けたら…

歌が上手だったら…

空想でなら、アメリカにもイギリスにも行けるのだ。ダンスだって上手に踊れる。

30歳にもなって、社会になじめず独りで空想に耽る。

他人から見れば、誰からも注目されず孤独で終わった人生なのだろうが、

私は静かな生活さえ出来ればそれで良いのだ。

そう言い聞かせて生きていた。


保険会社で派遣社員として働いていたある日のことだ。

契約者と揉めに揉めたのだ。

「電話対応が下手だ」「上席者を出せ」


私は今日も何か間違えたのだろうか。

帰りの電車の中でそんなことばかり考えた。

買い物に行く元気もない。

おまけに自信もない。

今日こそは洗濯をしなきゃいけないのに、今日もしないで力尽きるだろう。

月から金まで、情熱を少しも持てない仕事に疲れ切っていた。


私がレンという青年に会ったのは、そんな金曜日のことだった。

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