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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パニック関連

ひろがる豊かな大自然

「ここまで来たか」

 斧を担いだ男はため息を吐く。

 その目の前には、生い茂る木々の姿があった。



 いつの頃からだろうか。

 木々が異様な繁殖を始めたのは。

 森は拡大を続け、人々の住処を襲っていった。



 地面から生える草木が道をおおう。

 草木が根を生やし、周辺にあるものの土台を崩す。

 道も家も倒され、そこに新たな草木が生えてくる。

 そうして村や町を緑で被っていく。

 失われた居住地の数は多い。



 そんな事が長く続いた。

 人々は己の生活圏を守るために、日々伐採を続けた。



 草木を切り倒し、火を付けていく。

 普通に草を刈り、木を切り倒すだけでは草木の繁殖に追いつかないのだ。

 むしろ、盛大な山火事でも起こした方が、よっぽど手入れが楽なほどだ。

 それでも木々は呆気なく生えてきて、再び人類の前にまで迫ってくる。



 今も斧を持つ男の前に、その際前線がやってきてる。

 盛大に燃やしてからまだ二ヶ月だというのに。

 見渡す限りの平原や山が燃えかすだらけになったというのに。



 ただ、それがいわゆる焼き畑農業のような結果になってるのも確かだ。

 草木を燃やして、それが栄養になって土を豊かにする。

 余計に繁殖しやすい状態を作っている。

 だから復活も早い。

 それは斧を持つ男も分かっていた。

 他の誰もが分かっていた。

 分かっていても、これより効果的な方法もない。



 仕方なく、今回も木々を燃やしていく。

 木々を切り倒し、薪にする材料を作る。

 それから火をおこしていく。



 火は倒した木々をもとに派手に燃えていく。

 田畑の近くまで迫ってきた森は、炎に包まれていく。

 それは山にまでひろがっていくだろう。

 だが、すぐにまた戻ってくる。

 その時はまた、面倒な作業を行わねばならない。



 生い茂る森。

 それは緑豊かな大自然とは言いがたい。

 何度も攻め込んでくる、巨木の悪魔でしかなかった。

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