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竜と人の物語   作者: りんこ
3/5

隠者の竜3


暫く濡れた頭をそのままに、空を仰いでいたが。


ふと違和感に気づいた。


何だろう。


これでも一応は兵士だ。周囲の気配には敏感に出来ている。

その習性が、何か変だと訴える。


周りに神経を巡らせて、はっと理解した。


音が消えている。


さっきまで聞こえていた鳥の鳴き声や葉擦れの音まで消えている。

残るのは、川のせせらぎ。


兵士としてのものではなく、人間として、生き物としての本能が、この空間への警戒を自分に呼びかけていた。

この空気、この空間は、どこか違う。


俺が今まで知っているものとは、違う。


理由はわからない、だがそう理解していた。そしてその違和感に対して全身を緊張させて、構えていた。





・・・・・・ン


音が、聞こえた。


・・・・シン


音はこちらへ向かっている。同時に大地が、空気が震動し、それが大きくなってくる。



・・ズシン


音を出している『何か』が、ガサガサと木々を草を揺らしてそこまで来ている。


ズシン・・ッッ


そして男は動けなかった。

周囲の空間全てを揺らして現れたものに、目を奪われた。


ついさっき、自分が投げやりに呟いた言葉を覚えている。しかしそれがこんな風に現実になるとは

思ってもいない。


だが、どう見ても。


男の目の前に現れたものは、竜だった。


全身を鱗で覆われ、硬い牙や爪を持ち、翼がある。


そんな絵本に出てくる姿そのものの、竜が今、目の前で川の水を飲んでいるのだった。

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