遊園地の再来
男は、帰宅した後、チンピラくんにメールを送っていました。
おう!あの遊園地の噂を確かめに行くぞ!
明後日の0時に遊園地前に集合な!
なんて自分勝手で、相手のことを考えていないメールでしょうか。
ほら、チンピラくんも困っています。
メールを受け取ったチンピラくんは、こいつウザっ、といいそうな顔をして、携帯とにらめっこしていました。
暫くの間にらめっこした後、ため息をついて返信しました。
わかりました。明後日の0時ですね?
なにか持っていく物はありますか?
ぶっちゃけ本音は、行きたくないのでしょう。
凄い嫌そうな顔をしながらメールを打っていました。
送ったらすぐに返事が返ってきました。
そうか!行けるか!(*^_^*)
そうだな。縄とスコップを持ってきてくれ。
頼んだぞ。
チンピラくんは、なんでこの大男がこんな可愛い顔文字なんだよ、と少しビビりました。
お返しに、こう返信しました。
はいー!持って行きますー!(●´ω`●)
送った後にすごく後悔しましたが、もう時すでに遅し。
羞恥心に悶えながら、その日をむかえました。
チンピラくんが10分ほど前に着くと、もう既に男がいました。
「よっ!来たか!遅かったな!」
この人いつから居たんだよ……と思いましたが、聞いて機嫌を損ねてしまうと、殴られるので黙っていました。
そして、男が疑っていたドリームキャッスルにやって来ました。
防犯システムなんてありません。
すんなり入っていきました。
ファンタジーエリアを捜索します。
お菓子の家、おどろおどろしい雰囲気が漂う家、中世風の町を捜索します。
勿論張りぼてです。
ですが、一部は本物でした。
扉を開けると、小さな部屋があります。
部屋だけで何もないですけど。
「ビビって損しました」
思わず言ってしまいました。
「なんだお前びびってんのか」
男はチンピラくんをバカにします。
チンピラくんは苦笑して、頷きました。
「だって、拷問部屋ですよ。正直聞いた時はビビっていましたし」
「俺には笑って話していたじゃないか」
男の額に青筋が浮かびます。
あっ、ヤバいと思った時には遅かったのです。
チンピラくんは殴られていました。
顔、腹、脚、手、身体中を傷つけられました。
チンピラくんは、心の底から男の舎弟だったわけではありません。
チンピラくんは元々、この辺りの不良のヘッドでした。
それが、急に現れた男達にコテンパンに叩きのめされ、喧嘩の自信を喪失してしまいました。
不良グループのメンバーも、散り散りになりました。
ですが、チンピラくんは残りました。
グループのヘッドとしての責任を取るために。
喧嘩の自信を喪失しても、自分の中での矜持はありました。
ヘッドとして、最後まで不良でいると決めていました。
だから彼は男の舎弟となりました。




