遊園地のアトラクション
この遊園地には、とある噂がありました。
「この遊園地のアトラクションの何処かには、拷問部屋があるらしいです」
「うさんくせー。どーせ嘘だろ」
「ですね!」
そんな噂を笑っていた者たちが、遊園地にやってきました。
1人は屈強な大男、1人はなんというか、チンピラでした。
「やってきたぜ。胡散臭い噂を払拭してやろうぜ」
「おう!どうせただの見間違えか、幻覚を見たかのどちらかだろ」
「違いねえ!」
そう言ってゲラゲラ笑っていました。
「さてと、一通り遊園地を見て回るか」
「イエッサー!」
2人は周りました。
観覧車、ミラーハウス、ドリームキャッスルなどを見て回りました。
元々小さな遊園地ですから、回るのにそう時間はかかりませんでした。
異変は、ドリームキャッスルに立ち入った際に起こりました。
ドリームキャッスルは、主に若い女や、子供に人気のアトラクションでした。
かわいらしい座席に座ると、座席が自動的に動きキャッスル内を回るというものです。
キャッスル内には、ファンタジーエリア、ホラーエリア、和エリアがあります。
ぶっちゃけ和エリアだけ場違い感がすごいですけど、気にしたら負けです。ええ。
ファンタジー、ホラーでビビっている中でいきなりほのぼのとした場所になります。
案の定男達もあんぐり口を開けて、驚いていました。
「なんでこんなほのぼのとした場所なんだよ!普通はもっと怖がらせるパターンだろ!なんだよこのレトロなエリア!」
「……きっと製作者の遊び心なんっすよ」
そう言って、無理やり自分を納得させました。
……チンピラくん結構良識人です。
周りの人も、現実逃避をやめて和エリアをみます。
黒電話にブラウン管テレビ、畳に行燈、時代が様々で趣が感じられます。
そんなことは御構いなしに、男は回りをキョロキョロしています。
「なにしてるんですか?」
「決まっているだろう。拷問部屋を探すんだ。こういうところに隠し部屋とかはあると漫画でみたぞ」
アホだろこいつ、と思いましたが口には出しませんでした。
チンピラくんは、良い感じに良識人なのです。
「そんな所にあるわけないじゃないですか。もっとほら、さっきのホラーエリアとかにむしろありそうですよ」
「いや!俺の直感が告げている!拷問部屋は、このアトラクションのこのエリアにあると!」
チンピラくんは思いました。
(なんでこの人スポ根漫画みたいなこと言ってんだ)と。
というかだんだんキャラが可笑しくなってます。
そんなことをしている間に、和エリアの時間が終わりました。
アトラクションから出た2人は、考えていました。
(なんであのアトラクションが人気なんだろう……。理解できない)
2人して声を掛けずに全く同じことを考えていました。
暫く呆然とした後、男は口を開きました。
「……よし。そろそろ帰るか」
「はい。帰りましょう。どっと疲れました」
そう言って、2人はそれぞれの帰路につきました。




