内部分裂
この闘いが始まって一日が過ぎ、規則の一つである午前9時に全員集まった。その場所には、片桐と伊達もそこにはいた。
昨日の話し合いもあってこの場の空気が重く、現在、東日本の中で三つの派閥が出来上がっていた。
「これより脱落者を発表する」
片桐が口を開くと、皆は聞き入る。
しかし、前日は初日もあってか飯の準備もなされていて外に出た奴はいない。
なので、脱落者などいるはずもなかった。
「東側0名。西側58人」
その言葉に辺りがざわめき出す。
一体西側に何があったと言うのか?
「ではこれにて解散。明日も同じ9時に集まれ」
その直後、伊達と片桐はここから離れていく。
この集まりが終わり、三つのグループがそれぞれ話し合いをしていた。
「一体何があったのでしょう?」
「何だか、恐い・・・」
鬼頭と北条が不安そうな顔になっている。
「葛西、お前元は大阪の人間だろ?なんでこうなったかわかるか?」
俺は葛西に尋ねると、葛西はいつものへらへらした表情などしておらず、真面目な顔になっていた。
「粛清や」
「粛清?」
その言葉を聞き返すと、葛西はコクりと首を縦に頷く。
「西日本も一枚岩じゃないってことや。俺達同様、いろんな派閥が出来上がったみたいやな。」
「その派閥で闘いあったというのか?」
「ああ、そうや。いわばこれは戦争みたいなものや。戦争とは隊同士連携しあって敵に闘うものやろ。奴等は隊同士の中でも反抗勢力を粛清したんやろ」
「そんなの、おかしいです!」
葛西の言葉に鬼頭は急に立ち上がり、声を荒げ怒りを露わにする。
「仲間同士で、ちょっと意見が合わないだけで傷つけるなんてそんなのおかしいです。人なんだから会話で解決するべきです」
その言葉に今度は葛西が笑顔になり出す。
「何がおかしいんです?」
「いや、やっぱ鬼頭ちゃんはおもろいなと思ってな。昨日の話し合いで俺等は仲良くなったか?なってないやろ。昨日の話し合いで自分の思いをもって話した奴らは、絶対なる自分の意志を持っている。それが他人に諭されることなんて心を変える奴なんていない。鬼頭ちゃんもそうやろ?」
「当たり前です。他人の言葉で自分の意志を変えたら、昨日までの私の存在を否定してしまう」
「そういう事や、だから粛清する。それが下剋上を繰り広げている西日本の意志って奴や」
納得がいっていない顔になる鬼頭に北条が心配そうな顔をしている。
しかし、俺は葛西の言葉に正論だと感じてしまう。
だからこそ、鬼頭が信奉している真田 新造は民を傷つけまいという弱い意志を持ったからこそ、凶弾に倒れたのだ。
そんな弱い意志なんて絶対に持たないぞ。
俺は心に誓う。