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零式  作者: HAL
初戦前
6/11

話し合い

 説明が終えた後、俺達東日本の面々は今後の事について話し合いをすることになった。勿論、この戦いに関することに伊達と片桐は一切の干渉はしないらしく、彼等は俺達の話しを聞こうとはぜず、どこかに行ってしまった。

 まず、俺達は軽い自己紹介をする。自己紹介の中、有名どころがちらほら聞きとれた。自己紹介の後、拠点となる学校を探検することにした。


 「使える物なんて冷蔵庫ぐらいしかなかったな」


 中には、調理場、教室などがあり、特に変わった所がなかった。

 俺達は探検を終えた後、教室に集まった。今後どうするのかという話し合いをもう一度行う事にした。

 食糧はどうするのか、戦略は、など様々な案が出たがまとまらなかった。


 「リーダーが必要ちゃうか?」


 そんなまとまらない状況に、葛西は提案をする。


 「リーダーなんて誰がやるんだ?」


 葛西の提案に一人の男が尋ねた。


 「決まっとるがな。強い奴や」

 「なら、今から強い奴を決める為に、今から闘いをはじめようっていうのか?それともお前達みたいな異能力者がなるのか?」


 その言葉に、やる気を示す者や、脅える奴も出てきた。

 まあ、元々県の不参加が認められないこの闘い、俺みたいに来たくなかった奴もいるという事だ。


 「違う、違う、今俺等でやり合っても疲弊するだけや。強いっていうんは色んな強いがあるやろ」

 「回りくどいぞ、単刀直入にいえ」

 「いわば権力って奴や。今、東日本(この中)で権力があるのは何処や?」

 「鬼頭家、北条家、今川家、津軽家、南部家、斎藤家が主な名家だな。その中から決めるのか?」


 東日本の経済を支える東京の鬼頭家、千葉の北条家、愛知の今川家からなる御三家と言われる名家。

 北方領土を護る東日本の軍事を司る青森の津軽家、岩手の南部家から連なる東の二将。

 そして、唯一の中立県であった俺達の県、岐阜県の斎藤家が挙げられた。

 

 「そうや、この六人で闘って強い奴を決めて、勝った奴がリーダーでええんちゃうか?」

 

 葛西の発案は的を得ていた。自ら闘わなくてリーダーを決められる。その妙案に皆は同意した。


 「待て、勝手に決めるな」


 六人を除けば。


 「俺達青森県は独自で動く。なんで弱い奴等を守らなくてはならないんだ。」


 筋肉隆々の男が男である、津軽 信勝が口を開いた。


 「同感だ。南部家も拒否する」


 青森同様、長身の男、南部 忠勝も後に続いた。


 「これはリーダーを決める場だぞ。独自で動くのならば、とっととこの場から消えろ」

 「お、おい、輝」


 偉そうな二人の態度に、輝が急に二人に噛みついた。その言葉に、津軽は怒りを露わにする。


 「何だと、誰に物を言っている・・・殺すぞ、岐阜の女」

 「まあ、待て、津軽。よかろう、元々、この戦いなど俺達は独自で動く気であったからな。あとは勝手に決めてくれ」

 「そうだな、おい、行くぞ」


 そう言い残し、津軽と南部は仲間を引き連れて、この場から去っていった。


 「あ、あの、いいんですか?」


 内気そうな女の子、千葉の北条 紅葉もみじがおどおどしながら話しに入る。


 「構わん。ああいう自分の実力が強いと思って、偉そうな奴は私は嫌いだ」

 「でも、だいじょうぶですか?やっぱり仲良くした方がいいとおもうんですが・・・」

 「その点は、私も同感だ」


 今まで静かにこの状況を見ていた鬼頭が話しに入ってきた。


 「やっぱり、この状況ではみんなで助け合わなければ西日本に勝てないと思うんだ。だからこそ、ケンカは良くないと思う」

 「そうだよね、やっぱり仲良くしなきゃね」

 「悪いが、俺の話しを聞いてくれないか?」


 ふたりのやり取りの中、愛知県の今川 武蔵が皆に提案を出そうとしていた。


 「助け合うというのは俺も賛成だ。だがな、ここにいる鬼頭家とは一緒に助け合うというのは俺は反対だ」

 「何で私と組むのが嫌なんですか?」


 この今川家と鬼頭家、東日本の財政界で一,二位を争う間柄であり、常にトップを張る鬼頭家に今川家はライバル視していた。

 だからそれが原因で、仲良くしたくないと思っていた。

 

 「皆も聞いているとは思うが、こいつはさっき挨拶を交わした時、なんていったか覚えているか?あのテロリスト、真田 新造を尊敬していると言ったんだぞ。そんな危ない奴とは組めないって言っているんだ」


 その言葉に鬼頭が皆に挨拶周りをしていたことを思い出す。

 あの時、皆一様に挨拶を終えた時、怪訝そうな顔をしていた。そして今も、あの時話していたであろう真田 新造を尊敬しているという話しを思い出したのか、今もしかめっ面になり出した。


 「それが何が悪いんですか?私は只、尊敬していると言っただけです」

 

 しかし、鬼頭だけこの問題に間違っていないと信じている。


 「だから尊敬している者が問題があると言っているんだ。お前が赦しても世界が赦さないといっているんだ。お前が将来、この国を担う立場になったら、間違いなくお前の対抗勢力はこの事を叩いてくる。そんな奴と仲良くしている者にまで被害が出ると言っているんだ」


 今川は、将来の政界の事を考え、鬼頭 美姫の力をこの場で削ろうとしている気がした。それだけこの今川家は、政界トップの地位を奪おうとしているのか。

 しかし、鬼頭も頑固なのか、その言葉を聞いてもかたくなな態度をとっている。


 「私は、自分の目で見て、耳で聞いて、心で感じて真田 新造を尊敬しています。それが世間が間違っているという理由で自分の意志を変えることは絶対にしない」


 その言葉に今川は鼻で笑う。


 「ならば、その世間がどう思っているのか聞くとしよう。」


 その直後、愛知県の代表が立ち上がり、この場を離れだす。

 そして、離れていく今川はこの場にいる皆に問いただす。


 「お前ら、こんな奴と一緒にいても、未来はないぞ。俺と一緒に来る奴はちゃんと面倒を見てやる。きたいやつだけ俺達と来い」


 その言葉に、皆一様に今川の後についていく。

 着いて行く奴は、今の状況よりも将来の事を考えたのだろう。


 「皆さん、待ってください!」


 必死に引き留めようとしている鬼頭の言葉に、皆話しを聞かず、今川の後に続き離れていく。

 そして、この場に残ったのは、俺、輝、鬼頭、葛西、そして、北条がここに残っていた。


 「お前等はどうするんだ?」

 

 俺は残った奴らに聞いてみる。


 「俺はお笑いの街、大阪生まれやからな。やっぱおもろい方に着くわ」


 葛西は相変わらずの調子だった。いったい、何を考えているのか分からなかった。


 「私は美姫ちゃんの友達だから一緒に頑張る」

 

 北条は、心配そうに鬼頭の方を見ながら言った。

 鬼頭は離れている奴等をずっと見つめている。

 

 「鬼頭と友達だったのか?」

 「うん、北条家と鬼頭家は千葉と東京で近くて、よく会ったことがあったの。だから今回も久し振りにあえて良かった。自分に正直で変わってなくてホッとした」

 「でもいいのか?他の奴に疎まれるかもしれないぞ」

 「うん、大丈夫。私は美姫ちゃんが大好きだから」


 この北条も鬼頭同様、意志が強い奴だと感じてしまう。


 「俺達はどうする?」


 そして最後に輝にどうするか聞いてみる。

  

 「どいつもこいつも気に食わんが、この中で一番マシな奴は鬼頭家だから取りあえずは美姫に着いておこう。それにあいつは私の友達だからな」

 「そうか、俺はお前に従っている身だからな。着いて行くよ」


 そんな事を言ったが、内心は心配になっていた。

 東日本はこうして四つのグループが分裂し、この先、どうなることになるかわからくなっていた。

 

 

 

 

  


 

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