内部分裂 弐
この島に来て一週間が過ぎたが、西日本と東日本との戦闘が今だ始まらないでいた。
闘わないと言っても問題が二つあった。
三つの派閥の信頼関係。
あの話し合いの後、何度か鬼頭が話し合いの場をもう一度作ろうとしたが、他の派閥の奴等は聞く耳をもたないでいた。
それどころか、他の派閥の代表みたいな感じになっていた南部、津軽、今川も鬼頭に嫌悪感を抱いている風にも見られていた。
しかし、現在、最大の問題は他にあった。
「金が足りないな」
国から毎月、支給される金は一人頭十万円。俺、輝、葛西、鬼頭、北条の金を合わせても五十万円の支給額だった。
勿論、娯楽施設にも、無駄な浪費をしていないのに、既に残り二十万円ぐらいになっていた。
「ここの島の金銭感覚おかしいですね」
とにかく物価が高すぎた。
俺たちが買ったのは、米、調味料、そして少量の野菜に肉ぐらいだった。
それなのにまだ次の支給日まで残り二十日。
どう考えても足りない金額だ。
「節約が大事だな」
「そうですね、今後の事も考え、食事もなるべく量も減らしましょう」
輝と鬼頭は美優案とばかりに提案を入れている。
「お前等なんか私達が飯を作っている体で話しているが、違うだろ?」
「何が違うんです?」
「何が違うんだ?」
輝と鬼頭はとぼけた顔になる。
「じゃあ、今誰が飯を作りに行っているんだ?」
「女性代表の紅葉です」
「女性代表の北条だ」
二人は堂々と胸を張りながら言ってきた。
「一緒になって偉そうに言うな」
しかし、この二人最初は仲が悪かったが今では妙に仲が良くなっているな。
「しかし、北条一人にして大丈夫なのか?」
「大丈夫やろ?学校と宿泊場所は誰からの攻撃はされへんねんから」
そう言えばルールの一つに片桐が言っていたな。
当然、向こう側にも攻め込めないという事だった。
「しかし、北条ちゃん遅いな。どうしたんやろか?」
「何でもここじゃ調理器具が揃ってないから宿泊場所で作るって言ってました」
「でも、夕食を作ると言っても7時になるぞ。あいつ二時に作るとか言ってなかったか?」
輝のその言葉に俺達は、長い時間姿を現さない北条を心配になっていた。