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番外編 元魔王の子育て

 ダムは我の教育について不満があるようである。我とダムの間には、すでに3人の子がいるが、特に長女に対して「困ったものですね」と言うのだ。我が食卓の準備に取りかかったとき、長女が駆け寄ってきた。


「おかあさま、われもてつだう」


 自分のことを“われ”と言う。大体5歳の子は“わたし”とか“あたし”とかで話すのに対して、我が子は少し変わっているかもしれぬ。


 ダムは、まるで、我がちいさくなった姿を見ているようだと言う。というなら、我も“我”というのはおかしいのか?


 だが、ひとつ引っかかるのは困ったとつぶやきながらも、ダムは怒っていない。むしろ、にやけているではないか。まだ幼い子を腕に抱きながら、頬がとろけそうである。我は手をとめて、ダムの顔をのぞきこんだ。


「ダム、我にはわからぬ。お前はなぜ、にやけながら困るのか?」


「そ、それは困りますよ」


「なぜ、困る?」


「あなたに似て、可愛すぎるから……です」


 ダムは真っ赤になり、口元を手で隠した。長女も我にならって父親の顔をのぞきこむ。


「あー、おとうさま、おかおがまっかー!」


 やめなさいとダムは叱るが、父親の威厳を発揮できていない。ふたりのやりとりを見つめながら、ダムが困ってにやけた理由を我にも理解できる気がする。こんなにもしあわせすぎて困ってしまうのだ。


おわり

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