表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
叛乱のコロシガミ  作者: 戯富賭
明鏡止水-Day a break-
5/16

Day:Ⅴ

新たな能力者とその力の名


化け物と怪物は何も変わらない

その日、武内(たけうち) 鷹人(たかひと)を除いた力を持った人間と出会い、早々と命を狙われる。



「じゃあな」



突然現れた青年の合図とともに空中でバラバラに撒かれたナイフたちは意思を持つかのように、刃先を向けて俺の方へ飛んでくる!



「くっそ!」



向かってくるナイフの速さより早く動き出して屋上から飛び降りる!


別の力の所有者。

ナイフ自体は特別ってわけじゃなさそうだ。

けど、ナイフが空中で思考通りに動いてきやがった。

一方向にしか攻撃できない俺に対して、全方向から攻撃できる彼とは差がありすぎる!


見つからないとは限らないので隠れることはなく、森林地帯に入ることに。

そこならナイフを自由自在に扱うのにも木々が邪魔をして制限がかかる。



「ちっ……面倒だなぁ」



走り抜ける俺を捉え、ナイフの青年が投げたナイフの上に乗り追い掛ける!

重さに関係無くナイフ自体に力が働いているのか?!

あっという間に距離を縮められ、目の前に彼が!

しかし、既に森林地帯。

全方位からの攻撃は不可能だろう。



「逃げ足が早いな、君」


「そういう力なんでね」


「あれー?やっぱ君、違うな。

死神じゃない?」



死神?俺がか?

何を馬鹿げたことを抜かしているのだろうか?

どう見たって自分自身と同じ人間だというのに。



「何で俺があんな化け物と一緒にされなくちゃならねぇんだ?」


「鼻がいいから、見た目で判断しない」


「ならその鼻がおかしいだろ」


「今まで失敗がない。

だから、今回は……幻でも見てるんだろうな」



上着を脱ぐと服に隠されていたナイフを全て抜く!

その数、三十以上!

木々があるとはいえ、俺の視野を考慮すれば当たらないわけがない。

その自信満々の嗅覚も含めて、だ。



「血を喰らい、刃を好む。


血肉強欲(シャーク)!」



空中に浮かぶ大量のナイフは一本一本先ほど同様に向かってくるが、次のは違う!

地面に刺さっても、血肉を求めてまた這い上がる!



「これじゃあ、切りが無い……!」


「それ、一本のナイフというよりは一匹の肉食獣と考えた方がいいよ!

君の血肉だけを求めて食らいついてくるから」



必死になって一本一本かわしていこうとするも、数にはどうしても勝てない。

木々に隠れようとしたときにナイフが肩に掠り、血が垂れる!

そのナイフは血に群がるかのように他のナイフが集まると、血は吸い取られている……。


生き物かよ、あれ……。

そろそろ逃げ回るのに体力を使い消耗戦になってきた。

俺の攻撃は近距離に対して、相手は多種多様。

しかも、ナイフを操る力のみではなくナイフを獣として生かしている。

なら、そのナイフ自体の標的を変えるしかない。

向かってくるナイフをあえて無視し、傷つこうがなんだろうが関係なく突っ込む!


操る本人に向かって、ただ走る。



「なんだよ、止めんのか?」


「くっ、こんなアッサリ見破られるなんてね……」



攻撃せずに、攻撃した。

ナイフは獣と化しているなら、それを行使した本人すら操りきれなかったのは何故?

その疑問が浮かんだのは、全てのナイフを使用したこと。

決して考えなかったことではなかったが、可能性は可能性。

もし、あいつを無視して俺に向かうようなことがあれば立ち向かうだけのこと。

結果オーライだけどな。


追ってくる生きたナイフは本人の力によって全て止められた。

自分の力で自分自身を殺さないために。



「血肉強欲を使わなくても、君を刺そうと思えば刺せるよ!」



止められ地面に落ちたナイフを俺へと投げ込むも所詮、人の手で投げられたナイフ。

かわしながら距離を詰めて目の前までやってきた。



「ここまで来たら、俺の射程距離だ!」



拳が一発、入る距離!

この隙を逃すことなく、力の入った一発を青年の身体にめり込ませる!

一瞬にして、彼の顔色は変わり上半身を抑えて倒れこむ。



「なんで、僕が……コロシガミの僕が。

死神の、コロシガミなんて……ありえない……」



最後の言葉と共に気を失った青年。


コロシガミ。


そう名乗っていた。

力の所有者のことをコロシガミというのか?

まだまだ謎だらけだが、手掛かりは徐々に掴めている気がする。

しかし、同時に自分自身の謎が深まるばかり。



「俺が、死神……」



そんな馬鹿げた話はない。

こいつの勘違いだ。

百歩譲っても、人間ではなくコロシガミという存在になったことぐらいは認める。

俺が何故、死神なんかと間違われる?


苛立ちが積もるばかりだが、死神たちは消滅し敵対視した彼を気絶させ目的を達成した。

旧校舎側に戻れば、そこには先ほどと同じ空間の穴があった。

迷うことなく、その穴に入って現実に戻ると。

既に夕方となり放課後を迎える。



「今日はさっさと帰ろう……」



傷ついた身体も治療したいので、ジャージで傷を覆い隠して安達たちに会うことなく、下校。


家に戻り、家族が戻る前に救急箱を開いた。

包帯を取り出し、傷口に消毒液を垂らす。



「いっーーーー!」



やっぱ、痛ぇ……!

どうやら深くまで抉られたようだ。

簡単には出血が止まらず、血塗れ覚悟で包帯キツく縛る。

はじめは肩から縛り、次に足を縛ろうとしたときだった。



「何、やってるの……?」



まさかの母親の早い帰宅。

予想外で理由という理由がすぐに思いつかない。

適当な理由をつければいいのだが、こんなにもグルグル巻きにしていると変なことでは、すぐに勘付かれてしまう……。

ま、まずは何でもいい、話題を振っていこう!

頭に浮かんだことを口にしようとしたときだった。



「何をやったかまでは聞かないわ。

憂は昔からヤンチャだったから無茶は承知の上だけども、私の息子よ。

あなた自身が傷つくことで心配している人がいることを忘れないで」



思わず、包帯から手を離してしまった。


一筋の涙。


期待されていた分、重みを感じていた。

けど、それも自分自身を責める枷でしかなくて。

誰も期待してはいるが、責めることはなかった。

それって、俺のことを心配してるからって分かってたよ。



「たまに、涙腺が緩いところもそっくりね」


「誰にだよ……」


「私たちによ」



母さんは落とした包帯を拾い上げ、俺の傷口に巻いてくれる。

消毒もして巻いていたので激痛ではあったが、家族の温かさを知った。


この家族のために、泣ける人間であってよかった。


昔よりも家族の対話が増えた。

残酷な現実を受け切れなかった俺が得た新たな幸せ。

もう、壊したくはない。


人間でなくなったことを今だけは良かったと思いたい。

たとえ、人間ではなくコロシガミと呼ばれようとも。

守れる力を持ち続ける限り、それを使い続ける。



『フェイズⅣ、終了』


『しかし、同調は今のところ見当たらないみたいですね』


『気が早いよ、まだまだこれからさ』



今回は苦手意識が強い戦闘ものでした。

おかげで前よりだいぶ短いです。

目標の100が達成です!

次なる目標も考えねば……。


予定ではここまでで第一章は約半分です。

正直短い気もしますが、次の章の方がだいぶ長くなると思います。

今後のことも兼ねて、次々と予告もしていくつもりです!

これからもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ