表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
叛乱のコロシガミ  作者: 戯富賭
明鏡止水-Day a break-
4/16

Day:Ⅳ

更なる噂、次なる試練


まだ納得などしていない

あれから時間は経っていない。


行方不明の鷹人(たかひと)は生きていた。

しかし、今の鷹人の口から言われてしまった。

昔の鷹人はいない、と。



「ちょっと待てよ?!!」



宣言をして鷹人はその場から姿を眩ました。

追いかけようとするも、もう遅い。

本来倒すはずの死神もあいつが片付けたため、元の出入口から現実に戻る。


こっちの時間は既に夕方。

これ以上、鷹人の家にいるだけ迷惑なので安達(あだち)橋本(はしもと)と合流して帰ることにした。



「お茶、美味しかったです」


「ケーキも!また来ていいかな?」


「失礼だぞ、安達。

玉城(たまき)さん、いろいろとありがとうございます」


「また来てください、お待ちしております」



仕える者と同性代の子が訪問したことに玉城さんは嬉しそうだった。

だけど、別世界で鷹人と会ったことは話せなかった。

今のあいつの身に何かが起こってしまったのか、理由を知るまでは黙っておこう。


帰り道。

家の用事とかで別になった橋本と別れ、安達と共に歩いていたとき。



「で、収穫はあった?」



何でもお見通しかよ。

顔を書いてあるのか不安になってくるが、仕方なく正直に話し始める。



「何もなかった。ただ……」


「ただ?」


「昔は昔で、今は今ってことだけだ」



自分で言って後悔する、 それはいつものことだ。

本音でもないことをサラッと言って失敗ばっかするんだ。


家に帰れば……また思い返すのか。

自室に戻って、五人衆の写真を見つめた。


鷹人だけなのか……?


未練がましいのは分かってはいるが、五人衆一人一人に電話をかけてみる。

しかし、出ることはない。

どの電話番号も現在使用されていない。

誰も連絡すら取る気はないと実感した。



「もう戻れないんだよな……」



昔のままではいられない。

五人衆も元に戻ることはない。

そして、俺自身も。

この胸に刻まれた力の象徴と死神を倒す使命。

普通に過ごすために、後悔しないように。



「えー!あの豪邸って荒木くんの知り合いなの?!!

いいなー私も行けばよかった」


「しょうがないじゃん、北穂(きたほ)さんは委員会あったんだろ?」


「ここ最近は忙しいみたいだしねー。

学校祭近いし、仕方ないよ!

あ、ケーキは柚の分まで食べたからね」


「きーーーっ!安達 メグーーー!」


「わぁっ!」



鷹人の家に寄ったことを話している三人を見れば、平凡に思える。

俺に着いていくと言ったときは色々と気まずさがあったが、あれも俺のためだったと思いたい。

こうして、救われている俺がいる。

今は、この場所なんだ。



「た、助けて、荒木ーーー!」


「そいつを捕まえて!荒木くん!」


「人気者だね、荒木」



人の気も知れず、勝手に入ってくる。

昔のお前らみたいだよ、五人衆。

さよなら、旧友。



「そういえば……死神と例の男の子、知っている?」



おい……安達。

思い返さないように区切りをつけたところだというのに。

何故、その噂をまた持ってくる?

お前はほんと、馬鹿なのか、なぁ?!



「知っているよ、出会ったら殺されちゃうって例の噂。

それに加えて、まだあるけどね」


「まだ、ある?」



噂はそれだけだったはずなのに。

橋本の付け足しに反応してしまう。

これ以上、何があるんだ?



「その青年以外にも殺す力を持つ集団があるって噂。

どんな力かは分からないけど、ヤクザとかギャングみたいな?」


「なにそれ、橋本くんにしてはあやふやね」


「お堅い北穂さんにはご不満みたいだね。

でも所詮、噂だから。

真実は自分の目で見ないと分からないよ」



集団……。

つまり、俺や鷹人みたいに力を持った奴らがある。

どういった目的で集まっているのかは分からないが共有目的ではないのは間違いない。

俺だけのような孤立していたり、鷹人のような誰とも組む気はなさそうなやつもいる。

そんな奴らが互いの利益のために死神を殺すとは到底考えられない。

集団といってもいくつか分離していそうだな。



「あれ、煙……?」



校舎から上がる黒い煙。

俺らがいる新校舎側ではなく、科学教室や多目的教室ばかりが集まる旧校舎側。

窓からはっきり見えている。

煙が出ている場所は科学教室!


また、死神か……?!



「ちょっと、荒木くん?!!」


「どこに行く気だよ!」


「…………」



次の授業の予鈴は鳴ったが関係ない。

別世界に行ってしまえば、こっちの時間は関係なくなる。

今だけは廊下を走って、旧校舎へ。


科学教室は燃えている。

火の粉が巻き上がる中で科学教室の扉を開けると、やはり別世界への入り口。

いつも通りに入れば、空間は一度閉じる。


別世界の科学教室。


もう既に死神がいた。



『こ、ろ、す?』


『こ、ろ、そ』


『こ、ろ、せ』



前回同様に複数、しかも俺を待っていたかのように警戒しながら歩み寄ってくる。



「今回は冷静か?」



あの力が死神たちに感づかれている。

食うだけためにいた弱者の人間ではない。

逆に食らう力を持つ強者の人間だと。


一定の距離になった途端。

その場にいた三体の死神は息を揃えて同時に襲いかかってくる!


恐れず、冷静に。

それが俺の心情、スタイルだ。


ほんの少しだけ、たったの三年間。

部活動にいて教訓になった。

空手部。

そこが中学三年間にてやり続けてきたこと。

初めは部活動の勧誘から始まり、やりたいこともなかったからと続けてきた。

怪我をするまでは。

全中にも出るほどの実力派になるまで努力を重ねてきたのに、たった一つのイージーミスで打ち砕かれる。


こんなことで役立つとは、思わなかったけど。


まずは一体に絞って、この前に見た急所である鉱石に正拳突き!

軽く振っただけでこんなにも固そうな鉱石を粉々にし、一体が消滅。

消滅した仲間の姿を見ても怯えることなく、もう一体が背後から襲いかかってくるも。

その牙や爪が届くことはない。



「怖気づくのは無し」



後方へ放たれた肘打ち。

それがちょうど二体目の鉱石に当たり、二体目も消滅!

残った最後の死神。

これで倒せば終わる。

ただ、この死神だけは優秀だった。


逃走。


科学教室の壁をたやすく壊し穴を開けて逃げて行く。



「マジかよ……!」



死神は獣のような化け物。

ただ死を誘うためだけに存在する。

だから、本能だけで動いているとばかり思っていた。

それが逃げるという理性ある行動。

厄介だ……。


逃走した死神を追い掛けるも、先に逃げたためどこへ逃走したのか分からない。

とりあえず、死角がない屋上へと登る。



「こ、これって……」



街全体を見たのは、初めてだった。

今までは一定の場所だけだったから。

だから、こんなにも街中でウロウロとしている死神たちの姿を見た。

その中に猛スピードで走り抜ける死神が!



「あれか!」



あの死神を倒せば、元に戻る!

それを信じて追い掛けようと走ろうとしたが、地面に突き刺さるナイフに狭まれる。



「ちょいとタンマ」



ちゃんとした日本語。

死神では発することはない。

この場に別の人間がいると頭で理解する何秒だったろうか。

その間に街中でウロウロしていた死神たちに、逃走していた死神すら地面に突き刺さるナイフと同系統の刃物で鉱石を突き刺さして消滅させた!



「だ、誰だ?!!」


「ん?人か、お前……まぁ、初ケースだけど、関係ねえや」



その言葉が聞こえる方向は、背後にあるフェンスの上。

立つのもやっとの驚異なバランス力で立っている同じ世代の青年!

低身長で長いマフラー、右手の甲には俺と同じような印がある。

その手にはさっきのナイフが何個もあるが、空中へ放り投げる!

これが俺と同じ力を持つ強者なら……!



「じゃあな」





三話目の終わりのあとの始まり方|( ̄3 ̄)|

なかなか強引に切られましたね、荒木くん。


三話目投稿時にはもう四話目は大体完成してましたが、来週は個人的に忙しいから同時進行でした。

忙しいといっても次話投稿はいつも通りです。


お察しの通りですが、次は苦手な戦闘から始まるので文字数が少なくなりそう……orz


もう少しで100いきそう、ワクワク……!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ