働く
私の名前は、亜華葉。1人の少年に恋をして、人間になった。
その少年の名は、「冬夜」。その少年のお店でお手伝いをさせてもらっている。この話を読むと言うならば、前の短編小説から読むといいだろう。さあ、話の始まりだ。
私は、今働いている。少年の、否 冬夜のお店のお手伝いだ。
「亜華葉!こっちお願い!」
冬夜の兄弟、名は「春太」が私を呼ぶ。
「はーい!」
私は返事をして、こっちという方向に向かう。
「なんでしょう?」
私は聞く。春太は、
「ここに、ビール2杯、お茶1杯よろしく」
早口でそう言う。私は、頑張って聞き取り、「はい!」と言って、取りに行く。ビール2杯……お茶1杯……よし!お盆にのせて、持っていく。
「えっと……ビール2杯とお茶1杯です。あの……どっ、どうぞ…」
私はそう言って、ビールとお茶を置く。そして、逃げるように、早歩きで、厨房に戻った。
これで分かったという人はすごいなと思う。亜華葉は人と接するのか苦手だ。アゲハ蝶だから……というのもあるのかな?人と接するということがなかったため、苦手ということだろうか?だから、あれでも精一杯だ。
「よし!もうすぐ店閉めるか!人も来なくなったし」
春太が言う。人間は、不思議だ。店に来てまで、ご飯を食べるのか。
店が閉じると、私はご飯を食べさせてもらう。
食べ終わると、「ご馳走様でした」
私はそう言って、家に帰ろうとすると、冬夜と春太の母親が呼び止めた。「今日は泊まっていかないかい?迷惑ならいいんだが」
1度言っておく。私に家はない。というか、ある筈がない。元がアゲハ蝶だから。だから、もちろん。泊まらせてもらう。
「あっ、あの……おっ、お願いします……」
小さな声で私は言った。
「ええ、嬉しいよ」
と冬夜と春太の母親(おばちゃんと呼ぶらしい)は笑顔で言った。そして、この日はふかふかの布団でぐっすり寝れた。