7話:恒久
妖に奇妙なこと(月世云々のことである)を言われた夜。
「ちょいと、黎希。今日、奴等が動くよ~。潰してきて頂戴。場所は、ここ」
そう言って、地図を見せる深蘭。
「数は、二十から三十。まあ、あんたならどうにかなるっしょ。んじゃ、あとよろ~」
酒瓶を抱えながら、行ってしまった。まあ、いつものことだが、
「はぁ。しかたねぇ。……行くか」
深蘭の言ったとおりの場所に二十六人の《魔真衆》が現れた。奴等の特徴的なマーク入りの服ですぐに分かった。黒い服に、白い模様。それは、まるで三日月をあらわしている様であり、別のものを現している様でもある。別のものとは何か、と問われると困るが、よく分からないのだ。
さぁて、面倒事をとっとと片付けるか。
「消滅」
この前と同じように、その空間の空気を零にする。しかし、散った。同じ空間に留まらないよう、なるべくと広範囲へと広がったらしい。確かに、広範囲の空気を消滅させるわけにはいかない。どうするか。その時、
「恒久」
鈴の音のような声が、俺の耳元に届いた。そして、俺の中に、何か、力が湧き上がるのを感じた。これは……。
「恒久とは、永遠の力を授ける魔法則。今の貴方は、最強よ」
それは、頼もしい、美少女の声。
――さて、本気で潰すかね……
「抹消」
力が切れない状態の俺は、奴等の「力」を抹消した。これで、奴等は、体を動かせない。崩れ落ちる。これで一段落か。そう思い、天螺の方を向こうとした。
その時、感じた。異質な気配を……。その方向を向く。その時見えたのは、人影と、左手に渦巻く、黒い渦。心の奥深く、どこかで引っかかるそれは、《輪廻》……?
まあ、今は、奴等を取り押さえる方が先か。
結局、二十六人全員を縄で捕らえた。