19話:母の面影
俺は、感じた気配を辿っていた。学校は、サボりだ。致し方ない。それは、「零の魔法」使い特有のものなのだ。ありえない。俺以外の「零の魔法」使い。
だが、学校をサボることにはならなかった。あの気配は、間違いなくうちの学校に向かっていたのだ。学校に入るとすぐに、クラスわけの紙が張ってあった。これは……?なるほど、今日の事件による、臨時合併か。と言うことは、もう一人の零の魔法使いは、あの範囲に家があったのか?となると暴走で……?
うちのクラスに新しく追加されたのは、4人。名前は、天導琉李花、梓柊、町原忍、朱野宮麗華。麗華?どこかで聞いたことがあるような、そんな名前。どこで聞いたのだろうか。
そして、うちのクラスに追加された美少女方の最後の一人を見た瞬間、俺の脳裏に、昔の記憶が蘇った。
「もし、朱色の髪をした女の子に出会ったときは、聞いて見なさい?朱野宮さんですかって。絶対に、は~いそうですって答えてくれるから」
母はにこやかにそう言った。
そして、最後に入ってきた少女。その艶やかな朱色の髪と紅の瞳。それは、母である、四之宮椛、旧姓、朱野宮椛にそっくりだった。
「朱野宮、麗華……」
そう呟いたのと同時に、麗華も、呟いた。
「四之宮、黎希……」
間違いない。確信した。コイツが、もう一人の「零の魔法」使いだ。
~麗華~
私は、教室に入った瞬間、とある視線と気配を感じた。それは、その姿は、
――四之宮ヒノキ?
別の私が言った。
――違うわ。でも面影がある。まさか、椛様の……。彼が、何でこの世界に……?彼の名は、
彼の名は、そう、
「四之宮、黎希……」
そう呟いたとき、彼も
「朱野宮、麗華……」
私の名前を呟いたのだった。




