18話:共鳴
何かを感じた。何かって何と問われれば、分からないとしかいえない。でも、何かの魔法を感知したのではない。何か、俺と同じ何かが、動いた気がしたのだ。それは、
俺の魔法は、零にする力だ。これは、特異な力で、同じ力を持つものはいない。天螺の無窮の魔法も特異な力ではあるが、アイツの家族も同じ力を持つはずだ。しかし、俺の家族の魔法は、俺の魔法とは違った。父の魔法は夜の魔法。母の魔法は夜明けの魔法。どちらも零の魔法ではない。そのことから言って、特異中の特異な魔法であることは、間違いないのだ。だから、俺と同じ何かを感知したといっても、それが、零の魔法ではないはずなのだ。
それでも、あの、全てが無に消える感覚は、零の魔法……。
「朝のニュースをお伝えします。本日、未明。――県――市で一部地域がなくなるという異常現象が起きました。原因は不明で、爆発なども起きておらず、まったくの異常時でした。ですが、死亡者、負傷者は居らず……」
俺は、そのニュースを見た瞬間に、思った。
「これって、零の魔法!」
俺の呟き、にしては大きい呟きに反応したのは、天螺と深蘭……つーか、まあ、家にいるのこの二人だけだから当然なんだが。
「零の魔法ですって?貴方、昨日、あんなことやったの?それとも寝ぼけて……」
「あ~、あたしの冷気みたいな?」
「違ぇよ!」
そう、寝ぼけて云々でできることではない。これは、絶対、俺以外の「零の魔法」使いによるものだ。ありえないことだが、
~麗華~
悪寒、いえ、虫の知らせ?私は何かを感じた。初めての暴走状態になって、私の住む町ごと消滅させてしまった、その時。私の「零の魔法」と共鳴するかの様に、どこかで「零の魔法」の力を感じたのだ。
「今のは、」
――それは、ありえないわ。なぜなら、零の魔法は、麗華一人のモノなのだから。
もう一人の私、別の私が言った。彼女は、別の、因果の垣根を越えた、異世界の人間だという。そして、世界に唯一の「零の魔法」使いだったらしいのだ。にわかには信じがたい。
――私と麗華しか使えないのよ……。あるいは、椛様の血縁なら、考えられなくもないでしょうけど、
椛様?
――朱野宮椛、私の叔母でしょう?貴方の叔母でもあるのよ
確かに、そんな名前の叔母が居たらしいけれど……
――あの人は、凄い人だったの。朝の魔法。婚約してからは、夜明けの魔法を使っていた。
「夜明けの魔法」?
――そう、婚約者は、「夜の魔法」使い。そして、朝の魔法と夜の魔法が交わり生まれたのが、「夜明けの魔法」。でも、椛様には、もう一つ力があった。「始まりの消去者」なんて呼ばれたくらいには、な
「始まりの消去者」。もしかして、私は、その力を……?
――隔世遺伝。十何代か前の祖先に「零」と「無窮」を生み出したものが居たそうだ。
そして、私は、零を継いだ。
私は、始まりの魔法使いにして、「零の魔法」使い。




