17話:始まり
私は、目が醒めて、驚いた。そこに広がる光景に……。
――ここは、どこかしら……?
殺風景な白いセカイ。何もない。本当に何もない。寂しいセカイ。そこに、何かが、生まれだす。陸、海、空。鮮やかな色々。これは、
「これは、セカイの誕生」
――誰!?
私は振り向いた。声の主は、――私?
「始めまして?ううん。私と貴方は同じ」
――貴方が、私?
「そう、貴方と同じ《始まりの魔法》使い」
――始まりの魔法?
御伽噺のようなにわかに信じがたい話。魔法なんてものが、この世にあるなんて……
「魔法はある。それは、貴方の体が、血が、よく知っているはずよ……」
――血?
「貴方は、朱色の血族……」
――朱色?
確かに、苗字に朱の字が入っている。
「異常な回復の力こそ、貴方の《始まり》を示しているの」
――回復力?
確かに、医者からありえないと言われるほどの回復力は持っている。けれど、それは……
「さあ、今こそ、目醒めなさい」
「朱野宮、麗華!」
自身の声、もう一人の私の声によって、意識が覚醒した。
「今のは……」
私、朱野宮麗華は、もしかしたら、ライトノベルの主人公見たく、とんでもない力を手にした……ううん、覚醒させたのかもしれません……。
「始まりの魔法使い」
――そして――の魔法使いでもあるわ……
心の奥で、もう一人の自分が呟いた気がした。




