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セミリタイアのはずなのに! ~勇者パーティーを抜けた俺~  作者: 柚鼓ユズ


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16話 リッカ、ナギサを問い質す

「……お、時間だな。それじゃ今日はここまで」


 授業の終了を告げる鐘の音が鳴り、椅子から立ち上がり皆に言う。


「お疲れ様でした先輩。また明日もよろしくお願いします」


 マキラが荷物を鞄にしまいながら声をかけてくる。


「ちょっとマキラ!さっさと行くわよ。今日は私たちが掃除当番なんだから。ちゃちゃっと終わらせるわよ」


 既に廊下に出ているルジアにそう言われ、ぺこりとこちらに頭を下げて慌てて教室を駆け出して行くマキラ。他の面々も一言二言自分へ声をかけて次々に教室を後にする。あっという間に教室には自分とナギサの二人だけになった。


「さーてと、んじゃあたしも帰ろうかな。じゃ、また明日ねリカっち!」


 そう言って教室を出ようとするナギサを呼び止める。


「待ったナギサ。……少し付き合ってくれないか?お前と少し二人で話がしたい」


 そう言った自分に、ナギサが足を止めてこちらを振り返った。


「……あたしに?なになに?どしたのさリカっち」


 こちらに振り返ってからそう言ったナギサだったが、はっと気付いたようで急に真面目な顔でこちらを見て口を開く。


「そ、そういう事か……駄目だよリカっち。リカっちの気持ちは嬉しいけど、ルジっちやマキラっちに悪いもん。そりゃ、リカっちは歳の割にハイスペックだと思うし、服のセンスも悪くないと思うけど、友達が悲しむ事になるのはさ……」


 何やら盛大な誤解を始めたナギサに、慌てて否定する。


「違う違う!お前は話をすぐそっち側へ持っていこうとするな!」


「……え?違うの?だってさ、皆が帰って誰もいない二人きりの教室でいきなり呼び止めて『話がある』なんて言うシチュエーションなんて、もう先生から生徒への愛の告白ルートぐらいしかありえなくない?や、リカっちの事が嫌いとかじゃないよ?気持ちは嬉しいし。ただ、まだお互いのことを何も分からないうえに、友達がフラグを立てようとしている相手にそう言われてもあたしも急には答えが出せないっていうか……」


 ……どうにも話をそっち方面に結び付けようとするナギサに閉口するが、このままでは埒があかない。本題に入るためにどうにかここで軌道修正する必要がある。


「そういう話じゃない。……とにかく座ってくれ。そして、まずは俺の話を聞いてくれ」


 そう言ってひとまずナギサを椅子に座らせ、向かい側に自分も座ってから一呼吸置き、改めてナギサへ声をかける。


「よし、真面目な話をするぞ。単刀直入に聞く。……お前、昼に何があった?」


 そう尋ねた自分に、一瞬はっとした表情を浮かべたナギサであったが、すぐにいつもの調子で言葉を返してくる。


「……え?いきなり何なのさリカっち。あたしはいつものあたしだよ?いつも元気で変わらぬ可愛いナギサちゃんだよ?」


 あくまでとぼけるつもりのナギサに、このままでは埒が開かないと思い本題を切り出す事にする。


「ごまかすな。……見たんだよさっき。お前が校舎裏で話している姿をな。見かけたのは本当に偶然だったけどな。相手はよくは分からんが、確かどっかのクラスの講師だろ?あんな所でわざわざ人目を忍んで話すような会話だ。他の誰にも聞かれたくない話なんだろ?少なくともお前にはな」


 そう自分が言うとナギサが先程までとは違い、声のトーンを低くして言う。


「……そっか。見られてたんだね。リカっちも趣味が悪いなぁ。クラスの皆には勿論だけど、リカっちにだって知られたくなかったのに」


 それだけ言って俯いたナギサに慌てて声をかける。


「……途中からだったから、具体的な内容は聞いてねぇよ。ただ、あいつがお前に何かを要求しているのだけは分かった。まるで脅迫に近い感じでな。そして、お前がそれを簡単には拒絶出来ない何かしらの事情があるっていうのもな」


「…………」


 自分の言葉にも俯いたまま無言を貫くナギサ。それを無視して更に言葉を続ける。


「なぁナギサ。……余計なお世話かもしれないって事は重々承知している。今のお前の様子を見てりゃクラスの連中に聞かせたくない、知られたくない様な内容だって事もおおよそ察しが付く。だけどな、仮にも講師としては偶然とはいえ聞いちまったからにはこのまま無視は出来ない。……他言無用を誓うから、俺に話してくれないか?」


 俯いたままではあるが、小さくぽつりとナギサが声を漏らす。


「……本当に約束してくれる?ルジっちにもマキラっちにも、クラスの誰にも言わないって。……皆には絶対に知られたくないんだ。きっと、皆に迷惑かけちゃう事になるからさ」


 ナギサの言葉に力強く頷き、ナギサを真っ直ぐ見つめて言う。


「あぁ。誓って言わない。だから話を詳しく聞かせてくれ。たとえ解決出来なくとも何かお前の力になれる事があるかもしれないからな」


 そう自分が言うと、ほんの一瞬ではあるがやっとナギサがいつもの顔で笑った。


「……変なの。リカっちってこういう面倒ごととか凄く嫌いそうだし、むしろ関わり合いになるのは苦手そうなのに。……でも、ありがとね。じゃ、少し吐き出させて貰おうかな。こんな事、クラスの皆には話せないからさ」


 相変わらずの観察眼だな、と思っていると少し間を置いてからナギサが顔を上げて言葉を続けた。


「……私さ、脅されているんだ。あの講師に」


 ある程度予想は付いていたが、悲しげな顔ではっきりナギサがつぶやいた。


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