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魔物専門掃除屋『D & C』の日常  作者: クロード
『You Only Live Once/It's AMAZING "BLUFF" SHOW!!』
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その5

Side リューナク & ソフィア

 掃除屋『D & C』は魔物関連の建造物の撤去を生業としているが、時には依頼物が建造物ではない事もある。その1つが今回の依頼でもある魔物の死骸の掃除だ。


 冒険者ギルドは魔物の討伐を依頼するが、討伐された死骸の処理は冒険者達に任せている。大概は装備や金策の為に骨1本残らず回収される物だが、例外がないわけではない。


 例えば、魔物と冒険者が差し違えた場合。

 例えば、遠距離で魔物を倒した際に取りに行くのが面倒な場合。

 例えば、大量発生したせいで素材が出回り買取拒否をされる場合。


 今回の依頼は1番下のパターンだ。近場の村に大量発生した魔物の死骸の片付け。そして、これは掃除屋にとっては最悪のパターンでもある。

 単純に量が多く手間がかかり、何処も買い取ってくれないので全て処分しなければならないので費用が嵩む上に、何より報酬が安い。ギリ赤字。

 故に断りたいが、次の仕事に繋がるかもしれないのでそれも出来ない。


 しかも、今日はシオンとクリスは珍しく同時に入った別の現場に行っているため、この最悪のパターンの依頼をリューナクとソフィアで遂行しなければならなかった。


「あらまあ、たーくさんねぇ」


「……本当に、沢山ね」


 ソフィアの言う通り、2人の眼前には大人の頭部ほどのサイズをした何種類もの虫型の魔物の死骸が夥しい数、地面を埋め尽くしている。

 虫嫌いの者が見れば発狂間違いなしの絵面だが、その事を2人は気にする様子もない。せいぜいリューナクが面倒そうに溜息を吐いているくらい。


 それもそのはず、掃除屋の中でも彼女達は虫平気系女子なのだ。素手でもいける。

 ちなみに、ここに居ないシオンは手袋越しならいける。しかし、クリスは無理。彼女がこんな光景見たら発狂するだろう。


「それじゃあ、今日もはじめよぉー」


「……えぇ、仕事の時間ね」


 箒を片手に2人の本日の仕事が始まった。始まったのだが……


「よいっしょ」


「分別も必要ね。羽は可燃物、身体は不燃物よ。後、足も折っておかないと袋突き破っちゃうかしらね」


 量が多いだけで、すでに死んでいる魔物の片付け。やはり絵面が地味。


 ソフィアに魔術で巻き上げて貰えば派手だし、何より多少は楽なのだが、それは出来ない。羽や体液があちこちに飛び散るから止めてくれとの直々の頼みなのだから。


 死体を集め、羽をちぎり、足を折って、ゴミ袋に放り込む。

 この作業を2人で黙々と続ける。地味だ。


「羽は可燃物……身体は不燃物……カードは……あら?」


 その最中、死骸に混じってリューナクは1枚のカードを見つけた。片面は白紙、もう片面はトランプの裏面のような模様が描かれた妙なカード。


「ボスちゃーん。ちょっといーい?」


 それを不思議そうに眺めていたリューナクの側に、ソフィアが駆け寄ってきた。彼女の手にはリューナクと同じ妙なカードが。


「そっちにもあったのね。その変なカード」


「おやまぁ、ボスちゃんの方にも?」


 少し妙に思ったが、ソフィア曰く「魔力を感じない」らしいので可燃物に分類して作業を続行する。たかだか2枚程度、気にする程でも無いだろう。

 たが、それだけでは終わらず作業の合間合間に同じカードが続々出てきた。その数、なんと52枚。


「何か変ね。ソフィア、一度休憩も兼ねて作戦会議にしましょうか」


「そうねぇ」


 2人は近場の大衆食堂に場所を移す。流石にあの虫だらけの場所での休憩は流石に心が休まらない。


「まず、これは何なのかしらね?」


「こっちの面は絵札……えーっと、確かとらんぷ? それの裏側に似とる気がするねぇ」


「言われてみればそうね。でも、なんで片方白紙なのかしら?」


 その疑問の答えは出る事なく、ただ時間が過ぎていく。気付けば席に着いた時に注文した飲み物もいつのまにか飲み切っていたが、それて状況の進展は無い。


「……まぁ、悩んでいても進まないしそろそろ「おやおや、麗しいお姉さん方。辛気臭い顔をしているね、どうしたんだい」


 そろそろ、ここを後にして作業を再開しようとした辺りで1人の男が話しかけてきた。

 声こそ普通の好青年のようだが、問題はその出立。

 シルクハット。怪しげな仮面。真っ黒な燕尾服。胸元で光る宝石のようなブローチ。裏地は赤い、黒いマント。


「いいえ、何でもないわ。さ、行きましょうソフィア」


 正に『怪しい』が服を着て歩いてるような彼に構う事無く、それどころか視線すら合わせずにリューナクは、そそくさとソフィアの手を引きさっさと仕事に戻ろうとする。


「53枚!」


 だが、彼はそんな2人の様子にも周りの視線が刺さる事すら構う事なく叫ぶ。


「ぼ、ボスちゃん!」


「何、どうした……ッ!? あのカード!」


 その手には先ほどまで掃除屋を悩ませていたあのカード。しかし、違いがあるとするならば白紙だった他の物と違い『JOKER』の文字と道化師が書かれていた。


「そう! トランプは本来53枚あるのさ!」


 彼がトランプを投げ、指を弾くと床に落ちたカードが煙を放つ。


「イッツ・ア・ショータイム!!」


 その叫びと共に、煙の向こうからあの虫の魔物が4匹大きな羽音を立てて現れた。

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