神の教えを人が守れるわけもない
「殺してはならない」
全人類の頭に響いた声。
それは人にするべき事を強要した。
発言主は他にも様々な制約をかけていった。
その言葉に誰もが服従させられた。
それもやむなしではある。
相手は神なのだから。
神。
唯一絶対の存在。
そんなものが人類の前にあらわれた。
あらわれて、全てを統べていった。
それを唯一の神を崇める者達は歓喜で受け入れた。
しかし、すぐに後悔していく事となった。
神が下した制約を知って。
殺してはならない。
だから、何も食べられなくなった。
動物はもとより、植物まで。
肉が食えないのはやむなしとしてだ。
野菜も食べられなくなった。
植物とて生きてるからだ。
動く事も出来なくなった。
歩く事も禁止になった。
土を踏めば草も踏む事になる。
それは生命を傷つける行為だからだと。
その為、神も天使も宙に浮いている。
何かを踏む事は無い。
だが、人間にできる事ではなかった。
それでも働かなければならない。
生きていくために必用なものを作るために。
だが、こんな状態では何かを作り出す事もできない。
何も食べられず、移動すらもできないのだから。
誰もが飢え死にしていった。
何も口にすることなく、動くこともままならずに。
統べては神の示した道のせいだった。
「ふざけんな」
怨嗟の声が、気持ちがたかまっていった。
神に。
神の意志を実行する天使に。
そんなものを呼び込んだ聖職者達に。
これらによって悲惨な世界になったのだ。
怒りと恨みが向くのも当然だった。
「所詮、神は人ではない」
誰かが最後の力を振り絞ってネットに書き込む。
誰が見てるのかは分からないが、せめて誰かに伝えたかった。
「人でないものが、人としての生きる道・生き方など分かるわけがない」
その通りだった。
神は人ではない。
神の使いである天使も人ではない。
そもそも生命体なのかもわからない。
そんな者達がやってる事を、人が行えるわけがない。
単純なところで、食事を必用とするかどうか。
神と天使は何も食べなくても生きていける。
だから肉や野菜を食う必用がない。
そう言ってよければ、他の何かの命を貪る必用がない。
だが、人は違う。
人は命を貪らねば生きていけないのだ。
生命の尊重を理由に絶食を強いられれば死ぬしかない。
そんな人間に、生命の大切さを説いて絶食を強いるのが神と天使である。
たとえそれがより上位の、高度な存在だったとしてもだ。
その考えや教えなど守れるわけがない。
守れば死ぬしかないのだから。
神の教え。
それは人では無い者達の考えだ。
人に合ったものではない。
人に背いたものだ。
そんなものを守れば、破滅に向かう事になる。
今、人類はまさに滅亡しようとしていた。
崇めていた神によって。
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