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パニック関連

神の教えを人が守れるわけもない

作者: よぎそーと
掲載日:2022/09/24

「殺してはならない」

 全人類の頭に響いた声。

 それは人にするべき事を強要した。



 発言主は他にも様々な制約をかけていった。

 その言葉に誰もが服従させられた。

 それもやむなしではある。

 相手は神なのだから。



 神。

 唯一絶対の存在。

 そんなものが人類の前にあらわれた。

 あらわれて、全てを統べていった。

 それを唯一の神を崇める者達は歓喜で受け入れた。



 しかし、すぐに後悔していく事となった。

 神が下した制約を知って。



 殺してはならない。

 だから、何も食べられなくなった。

 動物はもとより、植物まで。

 肉が食えないのはやむなしとしてだ。

 野菜も食べられなくなった。

 植物とて生きてるからだ。



 動く事も出来なくなった。

 歩く事も禁止になった。

 土を踏めば草も踏む事になる。

 それは生命を傷つける行為だからだと。

 その為、神も天使も宙に浮いている。

 何かを踏む事は無い。

 だが、人間にできる事ではなかった。



 それでも働かなければならない。

 生きていくために必用なものを作るために。

 だが、こんな状態では何かを作り出す事もできない。

 何も食べられず、移動すらもできないのだから。



 誰もが飢え死にしていった。

 何も口にすることなく、動くこともままならずに。

 統べては神の示した道のせいだった。



「ふざけんな」

 怨嗟の声が、気持ちがたかまっていった。

 神に。

 神の意志を実行する天使に。

 そんなものを呼び込んだ聖職者達に。

 これらによって悲惨な世界になったのだ。

 怒りと恨みが向くのも当然だった。



「所詮、神は人ではない」

 誰かが最後の力を振り絞ってネットに書き込む。

 誰が見てるのかは分からないが、せめて誰かに伝えたかった。

「人でないものが、人としての生きる道・生き方など分かるわけがない」

 その通りだった。



 神は人ではない。

 神の使いである天使も人ではない。

 そもそも生命体なのかもわからない。

 そんな者達がやってる事を、人が行えるわけがない。



 単純なところで、食事を必用とするかどうか。

 神と天使は何も食べなくても生きていける。

 だから肉や野菜を食う必用がない。

 そう言ってよければ、他の何かの命を貪る必用がない。



 だが、人は違う。

 人は命を貪らねば生きていけないのだ。

 生命の尊重を理由に絶食を強いられれば死ぬしかない。

 そんな人間に、生命の大切さを説いて絶食を強いるのが神と天使である。



 たとえそれがより上位の、高度な存在だったとしてもだ。

 その考えや教えなど守れるわけがない。

 守れば死ぬしかないのだから。



 神の教え。

 それは人では無い者達の考えだ。

 人に合ったものではない。

 人に背いたものだ。

 そんなものを守れば、破滅に向かう事になる。



 今、人類はまさに滅亡しようとしていた。

 崇めていた神によって。

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