第20話 愚者と強者
近くの隣町ではゴブリンやオークにリザードマンにオーガがいた。
「直輝……モンスター沢山だねやっちゃう?」
「わたくしも戦いたいですねそろそろ……」
手裏剣君が唸るようにそう言う。
ラムルは戦闘狂になりかけている。
でもモンスターだけは悪いモンスターだけは殺してもいい対象だと思える。
世界は大変な状況になってしまった。
怨霊がは媚びるようにそれにともないアンデット系のモンスターも湧く。
ゾンビにワイトにグールにリッチナイト。
人々は逃げ惑うものがいる中、対抗する者たちもいた。
だが死と隣り合わせの状況でも愚者は存在する。
紐野肝太は巨漢の少年だ。
デブでブスでキモイ高校2年生のキモタだ。
キモタは気持ち悪いとクラスメイトに蔑まされて、生きてきた。
キモタはそんなときにモンスターがあふれる世界に放り込まれた。
何の力も無い。彼に罪はなかった。だがキモタはストレスで暴飲暴食になりデブデブに太ってしまった。
キモタは死にかかっていた。
ゴブリンに強襲されて血だらけだ。
必死に逃げ惑いながら世界を恨みつつどうして僕は襲われているんだとモンスターを恨む。
キモタは必死に逃げて逃げて鉄パイプを手に取った。
ゴブリンの顔面に鉄パイプをぶち当てた。
ゴブリンは死んだ。だが……ゴブリンの死は仲間を呼び寄せる。
ゴブリンを超強化したような最強の存在……ゴブリンキングがいた。
キモタは絶句した。あまりにも強そうなゴブリン。
王冠を被り、豪華な鎧と盾と戦斧を身に着けている。
あまりにも凶悪な存在が自分の目の前にいる。
お供のゴブリンアーチャー、ゴブリンファイター、ゴブリンナイト、ゴブリンウィザードにゴブリンソルジャーを連れている。
完全無欠の傭兵がそこにいた。
愚者であるキモタは愚かにも突っ込む。
自分なら勝てる。いざとなれば能力に目覚めて勝てるかも。チート能力に目覚めて最強になれば……
そんな妄想に憑りつかれていた。
しかしその愚者をゴブリンファイターが拳だけで吹き飛ばす。
「ぐはっ!?」
「ケケケケケケ」
キモタは終わったとこの瞬間に思った。だがその愚者を助けた存在がいた。
「あぶねえぞ力がない奴がゴブリンキングに手出そうとするなんてな」
「あんたは……?」
「マスクドシルバーだよこっちは相棒のラムルだ」
「やっほーい子豚ちゃん大丈夫?」
「誰が子豚だ僕にはキモタっていう名前があるんだ」
「肝の強い男になりなよ的な名前か……良い名前だなキモタ! これを飲め」
俺は覚醒ボールをキモタの口にぶちこむ。
そしてキモタは能力を得る。
「なんだこれは……【肉弾戦車】ってなんだこの能力?」
肉弾戦車は突進する場合体重を3倍にして自身の体重の負担を三分の一にして体当たりの攻撃力を大幅に増加させるというもの。
武器を持ってなくても使える能力としてはキモタにお似合いの能力だった。
試しにキモタはゴブリンファイターに肉弾戦車を発動しつつ突っ込む。
すると吹き飛ばしてしまった。
ゴブリンファイターは瀕死の重傷だ。
そのまま鉄パイプで撲殺する。
マスクドシルバーは破壊のボールを生み出して7発にして放った。
ゴブリンたちを全て倒してしまった。
ゴブリンキングは恨めしそうにマスクドシルバーを見つめる。
ゴブリンキングは崩壊の衝撃断を放つ。
マスクドシルバーは躱す。だがその強烈な技は家を両断した。
マスクドシルバーは手裏剣君を放つ。
手裏剣君は回転しつつ体当たりをゴブリンキングにぶち当てる。
抉るようにゴブリンキングは仰け反る。
さらにラムルは銃を向けるように人差し指から水の弾丸を放つ。
酸の弾丸を放ったラムルは得意げだ。
「さあ溶けるがいい緑鬼の王よ……ふっふっふ」
「ラムル……ほどほどにな」
「殲滅の時間だ!」
ラムルはなんでかかなりハイテンションだ。
どうしてこんな娘になった……戦闘狂過ぎる。
だがゴブリンキングはまだ悶えるように狂い立った。
【狂魔王化】の能力を発動させた。
ゴブリンキングは戦慄の波動を放った。
そのまま跳びかかって来た。戦斧を振りかぶって斬り殺そうとしてきた。
俺は腕を化け物の手通称【モンスターハンド】にする。
そのまま鋭利な爪を刀化してさらに鋭利にする。
そのままゴブリンキングを屠る。
さらにボムボールを放ち爆発させる。
サンダーボールで感電させる。
空間を切り取りゴブリンキングの贓物をはみ出すほどの切り込みを植え付ける。
時を止めた。そして破壊の砲撃を一気に放つ。
ゴブリンキングは肉塊と化した。
ドロップアイテムを確認したゴブリンキングを倒した瞬間そこにスキルスクロールが落ちていた。
スキル……つまり能力を獲得できる巻物だな。
俺はそれを読む。
【魔王】の能力を獲得した。
どうやら常時発動系の能力らしい。
自身の身体能力を10倍にすることができる。
魔力の回復スピードが10倍になる。
肉体の強度が遥かに上がる。
精神的強度が大幅に上がる。
無茶苦茶な能力のようだ。俺はキモタ君に別れを告げて他の街に行った。