第4節 紫藍少女はゲームに白熱する
とりあえずリストサイファ編ラストとなります。次は…………また次回をお楽しみに
クイズゲームは順調に進んで行った。リストは多方面への知識に強いと言っても文学少女であるサイファも割と様々な知識に明るい。
お互い、1歩も譲らず正解をしていくが、点数は正解した時間も関係しているため、ゲームに慣れているリストに徐々に軍配が上がっていた。
物凄い連続正解のせいか、少しずつではあるがギャラリーが2人の後ろにできていた。
「なんか、人集まってきてるわね……」
「まぁ、このくらいならリストも平気かなー」
画面からは目を離さずに会話をする2人。周りからは髪の色などからドールじゃね?などの声があがっていた。
ドールに対する偏見はあっても知識等の部分に関しては自分の努力による部分が大きいため、クイズの実力に関しては本物だとゲームを見物する人達は感じていた。
そもそもこんなニッチな場所に集まる人達だ。ゲーム好きでゲームに対する知識は人よりもあるので次第に2人の姿を見学する人達は増えていった。
「わー、増えたね…… けど、やっぱり、そこまで人はいないん」
「平日のこんな時間にここに来るのって相当暇な人だと思うわ、それかホントのゲーム好きだけよ」
そんな会話をしている中でサイファが痛恨のミスをしてしまった。1問の不正解がどうにも取り返せない点差を2人に作ってしまった。
「くっ これは、ここまで……かしら?」
「んー、諦めたらそこで試合終了なんですし」
「古い名作の名台詞ね、まぁ、最後まで分からない、ものね!」
ギャラリーからもリリィを応援する声が多数あがっていた。サイファは最初はそれが自分を応援するものだと気づかなかったが、よく考えたらそんなプレイヤーネームにしてたなと思い出し、その声援を力に変え、正解の速度を上げる。
そんな中でリストも不正解を出してしまった。
「んむ、ポカミスした」
「これでほぼ並んだわね」
ギャラリーからの歓声もどんどんと大きくなっていき、そのまま最終問題へと突入した。
「最終問題は早押しだからこれ取った方の勝ち」
「へぇ……引き分けみたいなのはないのね」
勝敗がはっきり分かりやすいな、とサイファは感じながら画面へと集中する。
ゴクリとギャラリーが固唾を飲んで見守る中、問題が表示され始めた。
そして…………
「ん、いい勝負だったん」
「そうね、また勝負しましょ?」
結果として勝負はリストの勝ちだった。経験者であるリストはある程度問題の傾向も予想出来たのでサイファよりも有利な条件だった。
それでも接戦を繰り広げてギリギリのところで負けたのだ。
ギャラリーからは2人を讃える拍手が起きていた。
この日から、ゲームセンターにドールの2人組の噂がたち始めた。
紫と藍の少女が様々なゲームでたまに対戦しているらしい。 超絶技巧で白熱するため、是非一見した方がいい、そんな噂だ。
2人はこれを機にたまにゲームセンターに顔を出すようになり、1人で行くこともあるようになる。
ゲームセンターに来る人たちと仲良くなり、ゲームセンターのイメージキャラ的な存在として扱われていくのはまた別の話。