間幕 記録少女は騙せない
間幕はレコ、クロニ、ハカセの編集風景的な話です。
「こ、こんな感じで……どう、かな?」
「んー、まぁ……いい感じじゃないか? 大分、レコらしさって言うのはないけど」
「それは、間幕とかで、出るからいいかなって……あとから見やすい方が、記録としては正解だし」
機器を操作しながら編集作業をする私、レコをハカセは優しく撫でる。
「お前は常識人的でほんとに安心するよ…… どうしてこうもドールどもは変なやつばっかりなのか。クロニとか」
「む。それは……聞き捨てならない。クロニはすっごい普通。超常識人的」
「お前は変なやつ筆頭だからな、むしろお前が普通なら世の中の大半の犯罪者は普通のカテゴリに入る」
「は、ハカセ……あんまりクロニを虐めるのは、よくないよ?」
「クロニはだらけ過ぎなんだ。自分の好きなことにしか本気出さないし」
「あしたからほんきだす」
「明日やろうは馬鹿野郎って言葉知ってるか?」
クロニとハカセはいつもこんな感じです。喧嘩してると言うよりはクロニをもっと頑張らせようと奮闘してるのがハカセ、という感じ……かな
「それにしても……あの日、中々帰ってこなかったと思ったらゲームセンターに行ってたのか。懐かしいな、俺も今度行くか」
「うん、ハカセ、今度っていつの話してる?」
「お、おう?」
「向こう数ヶ月は仕事溜まりまくってるからね……? 私も、サポートはするけど基本はハカセしか出来ない事だから……」
「レコ…………うん、仕事忘れるためにこの記録始めたのにその話するのは本末転倒ってやつだ!」
「だろうと思った……」
やけに熱心にいきなり記録をつけるなどと言い出したので、何事かと思ったらやはり裏があった。
「けど、実際、世間一般が抱いているドールに対する不信感を拭いたいのは事実だ。これじゃ、ドールに仕事が回ってこないからお金が入ってこない」
「いや、ハカセ、多方面から引っ張りだこだから結構な報酬額貰ってるよね……?」
「研究施設の維持管理は割とお金がかかるんだよ。いや、まぁ……軍事利用以外でのドールの使用は要請あればってことで政府からは補助金も出てるけどさ、あれじゃ足りない。何度言っても聞き入れて貰えないから一向に増えないんだよな、これが」
「へぇ……? じゃあ、後でうちの金銭帳簿つけてるボードに聞いてもいいよね、収入支出の現状」
「すみませんでした……」
結局サボりたいだけなんだな……とジト目でハカセを一瞥して私は編集作業に戻ります。