第1節 全ての始まり
最終章開幕。連続投稿でごめんね。 今回はモノローグ多め。てか、ほぼモノローグ
向かい合う私とハカセ。クロニには席を外してもらって今は二人っきりだ。
真剣な表情のハカセ。その顔から伺い知れるのは悲痛なまでのハカセの願いだろうか。
内容までは、さすがに分からないけど。
「さて……何から話すべきかねぇ。 色々話さないといけないことは多いんだが」
「最初から、全部話してもらえると嬉しいんだけど……」
「まぁ、そうなるよな……ちょっと長い話になるからまったり聞いてくれ」
ハカセはぽりぽりと頭をかくとはぁ……と大層渋い顔をしながら語り始めた。
記録的に語り部を俺に変えた方が楽だということで、ここからはハカセこと……博田士が引き継ぐ。まぁ、今まで通りハカセって呼んでくれて構わないんだけど。
まぁ、それはさておき。しっかりみんなの知りたがってることを語らないとな。
全ての始まりは忘れもしない10年前に起きた交通事故だった。
修学旅行生の乗ったバスを襲った不幸な事故。乗客は全員意識不明。外傷は多かれ少なかれあったものの、全て完治した。死亡者はゼロ。
その事故に妹は巻き込まれたのだ。修学旅行生という在り来りな理由で。
医療技術の発達の先にあったのは死人を減らすことにも繋がってるわけで、まぁ、交通事故程度で人は簡単に死なない。
外傷を治す技術はあった。しかしながら、現代の医療技術を持ってしても意識不明という部分はどうにもならないらしい。
植物状態となった乗客たちは二度と目覚めないかもしれない。
その事実を聞いた時に、俺は稲妻に撃たれたような衝撃を受けてふらついた。
俺の大切な、大切な妹が二度と……目覚めないかもしれない。
その事実だけでどうしようもなく絶望した。
医療技術がさらに発達すれば目覚める方法が確立されるかもしれない、そんな一縷の望みにかけて待つ……そんな状況に歯噛みする毎日。
目覚めない妹、それを傍目に見ながらものうのうと生きている俺。
そんな状況は俺の精神をゴリゴリと蝕んでいった。
当時、高校生だった俺はそんな状況を看過できなかった。いや、できなかったと言うより、しようにもそんなことをしてる自分が許せなかった。
今の自分に出来ることなんてない、それは事実だったが、だとしても、何かをしないと心が壊れてしまいそうだった。
いや、実際にはもう壊れてしまっていたのかもしれない。
だからこそ、俺は一心不乱に勉強をした。
残念ながら、それしか道がなかった。ツテもなく、ごく普通の家庭で育ってきた俺は医療に対しての知識もない。
無い袖は振れないのだから、袖を作るしかない。だからこそ、俺は必死で勉強した。
全く知らない知識を、今まで必要としてこなかった技術を、これでもかと言うくらい、それこそ血反吐を吐くほどの努力を以て習得しようとした。
全ては妹を目覚めさせるため……もう一度お兄ちゃんと呼んでもらうため。
それを考えたら、休むなんて選択肢は存在しなかった。
そして俺はその努力が実を結び、研究者への道を進むことになった。
それは今から5年前のこと。
まだまだ無名の新人研究者、ハカセの誕生であった。
※何故かレコがめちゃめちゃ他人行儀になってたので修正しました




