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人形(ドール)たちの成長記録(クロニクルレコード)  作者: 渡口七海
第6章 グラフシグナル編 黄銀ファンタジックドリーム
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第3節 図式少女は登壇する

まーたあいだあいたやーつ

「ヒーローショー?」


唐突にマネージャーに呼び出されたグラフは訝しげな表情でマネージャーに聞き返した。


「そうですね、今度開園されるテーマパークで、開演記念イベントのひとつとして、正義の少女グラフのショーをやりたいと、スポンサーの方から……」


「ふぅん…… 舞台の方にはAR装置は完備されてるの?」


あの特撮の売りはAR装置を全面に押し出した直撮りなので、AR装置なしでは正直迫力が足りない。しかも、グラフの攻撃に耐えられる人がドール以外に存在しない……というか、ドールでも耐えられるか分からない。


なので、グラフが全力で演技するにはAR装置は不可欠なのだ。


「そこは安心してください、なんなら最新機種を完全装備らしいです」


「そ、なら受けるわ。シグにも話は通してるの?」


「いえ、それが、何故か連絡がつかなくて…… 」


「えぇ……そこはしっかりしなさいよ、マネージャー……」


「今日中にはお話は聞いてもらうつもりです」


真面目さが服を着て歩いてるようなマネージャーだから、融通が効く方ではない。グラフははぁ……と溜息をつきつつ立ち上がった。


「今日はそれだけなら帰るわよ、シグにはあたしから話通しとくから、SADでイベント会場の情報とか、日程とかその他諸々、送っといてちょうだい」


「あっ は、はい、了解です。お疲れ様でした」


「はい、お疲れ様」


ペコペコと頭を下げるマネージャーをそのまま置いて、グラフは帰路へと着くのだった。



帰ってきたグラフは自分の部屋へと直行する。


「……帰ったか、盟友」


そしてそんなグラフをシグが出迎えた。まだ昼過ぎだと言うのに何故か部屋の電気が消えていて、カーテンが締め切られている。


グラフはとりあえず、電気をつけてシグに詰寄る。


「あんたね、マネの連絡くらい取りなさいよ」


「嫌よ、日中に外に出ると身体が灰になってしまうもの」


「いや、外に出ろって言ってるんじゃないわよ、連絡くらい取りなさいって言ってるの」


「……あの眷属、私は苦手なのよ」


「だからって無視しない。仕事の打ち合わせとかあるんだから。今日もそうだったし」


「……次の標的(ターゲット)は?」


「ヒーローショーよ」


帰っている途中にマネージャーから届いていたデータを表示させる。


さっきグラフが受けた説明が事細かに書かれている文章データと、会場の画像データ、配置されてる設備やらなんやら、色々な物が展開されていく。


「ふ、屋外ステージか、心が踊る」


「あんた、日に当たると灰になるんじゃないの?」


「……我は偉大なる吸血鬼の祖。その程度で灰にはならない」


「…………そう」


設定が若干適当になっているシグを冷ややかな目で見つつ、企画書などに目を通していく。


割といつもの特撮の撮影とやることは変わらない、リテイクがないだけだ。


ということは、かなり練習して身体に動きなんかを叩き込まなければいけない。


グラフは気合いを入れ直すのだった。


そして準備の期間は一瞬で過ぎ去っていき…………ヒーローショーの当日になった。


「…………ふぅ」


「緊張しているの?」


「まぁ、それなりにね。撮影スタッフとは違う、生のお客さんに目の前で見られるってかなりドキドキするわ」


「……ふ、そんな緊張もグラフにとっては刺激だろう」


「んー、実際そうかもね。というか、シグの方こそ大丈夫? 足、かなり震えてるけど」


「だ、大丈夫に決まっているだろう」


そう言ったシグの足はかなりガクガク震えていた。


「そ。 とりあえず深呼吸を何回か繰り返しておきなさいよ、うん」


「言われるまでもない」


「……じゃ、あたしは先に出るわ。今日は頑張りましょ」


「あぁ……」


グラフはきっと顔を引き締めるとそのまま舞台へと出ていった。

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