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人形(ドール)たちの成長記録(クロニクルレコード)  作者: 渡口七海
第4章 ドール紹介編 虹色オーバーライツ!
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第5節 全員集合……? その5

「さってと、レコ、最後は俺だ」


そう言って入ってきたのはハカセである。ハカセはドールでは無いはず。けど、取りを飾るには確かにいい人選かもしれない。


「でも、まずはレコの紹介からだな。お前もドールなんだから」


「あ、そういえば私の紹介はしてないですね」


「レコード、通称レコ。というか、レコードと呼んでるやつは俺の知る限りではいない。灰色髪で能力はほかの物の記録や記憶を自分にコピーして保存する」


「はい、その通りです」


「まぁ、その設定を作ったのは俺なんだけどな」


「え?」


ハカセはゆっくりと私の方へ歩いてくる。確かにハカセはドールを作っている張本人。能力の操作なんて簡単に出来る……の、だろうか。


「レコ、この前倒れた時、何を見たんだ?」


「……何を、言って……るん、ですか」


「いいから答えろ。何か見たんだろ?」


「私、は……」


言葉につまる。確かに何かを見た、しかし、私はそれが何か……いや、その人影が誰なのかは全く覚えていない。 ぼんやり、見覚えがあるな、みたいな感覚がある程度だった。


ドールとしての記憶の中でそんな感覚は覚えたことがなかったけど……なぜなら、私は見たものは完全に記録してしまうのだから。


「……」


「ん、答えられないんだな。ならそれはそれでいいさ」


「え?」


いきなりそんなことを言われ、私はキョトンとしてしまう。


「記憶が戻ったかと思ったんだが、そんなことは無かったみたいだしな。まぁ、ドール全員見ても何もおかしな反応してなかったし、とりあえずはそのままでも平気だろう」


「どういうこと?」


「まぁ、そのうち話すさ。レコがちゃんと思い出したら、な」


ハカセはそう言って私の頭を撫でる。 16歳の天才、世間からはどんな評価を受けているんだろうか。やはり、悪魔の科学者とかなんとか呼ばれているんだろうか。


ハカセについて私は知らないことばかりだ。何も知らないし、ハカセも何も教えてくれない。ハカセの名前だって知らないし、ハカセの昔のことも知らない。


なんでドールを生み出したのか、それすら、私は知らないのだった。


「ま、経過は良好ってことだな、とりあえず俺は書類仕事に戻るわ、あとはよろしく頼む」


ハカセはそう言いながら部屋を出ていった。ぽつんと部屋に残された私はなんとも言えない寂しさを抱えてしまうのだった。


しばらく立ちつくしていたが、そんなことをしていても仕方ないので、とりあえず自分の部屋へと向かった。


「どうしたの、そんな悩ましい顔して」


「ん……? あ、リスト」


「んに、さっきぶり。何か悩み?」


「あ、いや……その、私ってハカセのこと何も知らないなって」


私は先程のことをリストに説明する。するとリストは真顔になり、その後呆れたような顔になった。


「はぁ…… ハカセはちょっと配慮が足りないと思うん。仕方ないから、リストがちょっと説明するね」


「え? あ、うん……」


「レコはね、元々人間なんだよ」


「うん……うん!?」


「んと、ドールの一部はそういう事例もあるってのは知ってるでしょ?」


「それは、まぁ、知ってるけど」


なんせ私が説明したのだから、知らないはずもない。まぁ、思春期までの少女への移植例がほとんどないと聞いていたのでそこの説明は省いていたのだが……


「けどね、ドールズ細胞が馴染んだ時に人間だった時の記憶が消えてるみたいなん。だから、それを思い出して欲しいんじゃないかな、ハカセは」


「あぁ、なるほどね……」


ようやく合点が言った。あの時見たのは人間だった時の記憶の一部なんだ。 けど、ドールズ細胞とその記憶は相性が悪いのか、私は気絶してしまったと、そういう事だろう。ハカセもなんとなくそれを察して記憶の戻り具合を確認したと……うん、回りくどいなぁ!


「これでちょっとはスッキリした?」


「うん、リスト、ありがと」


「まぁ、これ、ハカセには口止めされてたけど」


「それ話してよかったの!?」


「どうせ遅かれ早かれ知ることになることだから、いいんですし。んじゃ、リストはお昼寝するから、またね」


リストはそう言って去っていった。予想外の方向からのアプローチだったが、なんとなく悩みは解決した。


私は元人間、か…… じゃあ、ハカセは私の……なんなんだろう。


そんな疑問が私の中に残ったのだった。

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