第五話 鶏と天上界
2/06追記。すみません。自分で読んでてどうにも面白くなさすぎるので、最初っから書き直しました。旧バージョンは一応カクヨムの方に残しておきます。登場人物はほとんど変わらないのですが、ユノがやって来る部分とかいろいろ内容変わります。明後日くらいまでに五六話まとめて内容入れ替える予定でしたが、予想外に書き進んだので入れ替え完了です。
今日は燃え尽きるので、多分明日の更新は有りません。
一部キャラの設定をいじったりするので、来週から二日に一度更新になる予定です。
「おいじゃ、ちょっとトイレ行ってくる」
そう言って、先輩が立ち上がった瞬間。
ぶわっと蒸し暑い魔力の風が俺たちの前の席、すなわちゴディタニナとユノの座っている席の方から吹いてきた。
「どうかしましたか?主神殿」
魔力には気づかない一般人の他の乗客もいるので声は荒げず、しかし急いで立ち上がった俺たち二人はそこで驚くべきものを目にした。
「あれ、鶏っすよね?」
「ああ、それも軍鶏だな」
「コケ~~」
そう、相変わらずの不愛想面で軍鶏を抱える異世界の主神殿とそれをヌボーッとした気の抜けた無表情で見つめる従者の姿である。
「……」
「……」
俺たち二人は一瞬、絵面のシュールさに噴き出しそうになった。
「……あの、主神殿?その鶏はどちらからお連れに?」
「突然現れた」
うん、それは見ればわかる。さっきまでいなかったもんな。
「主神殿、それはどういう意味で?」
「知らん」
らちが明かない回答を繰り返すゴディタニナ。
ああ、この爺なんでこんなに文字数少ねえんだよ!黎明期のAIか何かか!
そう思ったが必死にこらえる。
「(先輩、一応聞いときますが『突然人の膝の上に現れる鶏の妖怪』とかじゃないっすよね?アレ)」
「(とりあえず俺の知る限りはいねえな。鳥妖怪ってむっちゃデカいとか、燃えてるとか、子供攫うとかそういうのが大半だし。何より匂いが妖怪じゃない)」
物騒だな鳥妖怪。というか、
「(匂い?そう言えば狸ってイヌ科でしたね)」
「(そっちじゃなくて魔力の方の匂い。コイツの匂いはどっちかって言うと西洋の神とかの神気に近けえんだ。だからてっきり主神殿が連れてきたのかと思ったんだが……)」
「あのーお二人さん、お話し中すいませんがとりあえず御柱の膝の上のこの子、どうするか決めませんか?」
そうだった。ゴディタニナの様子が全く変わらないので気にしていなかったがよく考えれば異世界の神界トップの膝の上に鶏がいるんだよなあ……。
と、ヴヴヴ、と言うバイブ音が先輩の方から聞こえてきて
「すまんがちょっと外すぞ」
と携帯片手に言い残した彼は俺と主従をこの場に残して、車両端のトイレの方へと歩いて行った。
メールチェックかと思ったが、ただトイレ行っただけかもしれない。こっちに仕事押し付けて逃げたんだったらぶん殴るぞ。
まあ、ともかくここはひとまず一番偉い人にお伺いを立てるとするか。
「この鶏、不敬罪で処刑される流れだったりしますか?」
「そこまで狭量ではない」
だから文字数を増やせ!俺が聞きたいのは代案がないかってことなんだよ。そう思えど、俺の精神シールドは完璧なので届きはしない。いやまあ届いた場合俺の首がとばされれそうなんだけど、不敬罪で。
「じゃあとりあえず『クリエイト・メタル:モーフィング・ケージ』」
かつてどこぞの魔王の配下が使っていた『相手のまわりに檻を出現させる』と言う術(実際はただ檻の形をした鉄を出現させるだけ。しかも結構簡単に壊せた)を使って鶏を捕まえ、席の上にある棚にしまう。
ちなみに、鉄のケージってどうなのと思われるかもしれないが、俺が行った世界にはプラスチックやステンレスはなかったので俺はその二つとも生み出せないのだ……。
「おお。見事見事」
「相変わらずなんで唐突な上から目線はいるかな……」
一応パチパチと拍手をしてくれるユノ。膝の上にいくらか残った羽を払いもせずただじっと座ってるゴディタニナ。
沈黙。
沈黙。
空気が、重い。この爺さん、居るだけでこっちの胃にダメージを与えてくる。もしやこれがSAN値ダメージ!?貴様クトゥルー世界からやってきたのか!?
など、どうしようもない気分で一人脳内コントをしながらつっ立っていると、先輩が戻ってきて
「申し訳ありません」
急にゴディタニナに謝った。ちなみに角度は九十度である。いや、どうした急に。
「その鶏、どうやら天上界の方からの贈り物みたいです……」
天上界、すなわちキリスト教の神界である。いろいろ紛らわしいがうちの社では十字教のあの世は『天上界』、神道のあの世は『高天原』、仏教のあの世は『極楽』と呼んでいる。ギリシャとか北欧とかの神話はそれぞれ『ギリシャ天界』、『北欧天界』だ。エリュシオン?ヴァルハラ?めんどくさいからいいんだよ。向こうさんと話すときはちゃんと合わせるし。
まあ要するに、社内での呼び名兼この世界に詳しくない人間への専門用語の省略である。
ともあれ、先輩の話を統合すると『異世界からなんかすげー神が来たらしいぜ!』となった天上界の人たちが『いやでも、今極東の方身分高い天使いねーし』となって、『ならいっそ贈り物だけ送るか、後はジャパニーズが何とかしてくれるだろ』となったらしい。
むやみに天使をリストラするからだ、ざまあみろ。
ちなみにそれを電話で伝えた藍崎社長は車を放置した先輩と、鶏を送り付けてきた天上界に対し相当怒っていたそうだ。心なしか元宮先輩の顔が青い。
「ふむ、頂いて帰ろう」
ちなみにゴディタニナの返事はこの一言である。
事前連絡を寄越さずに贈り物する天上界もアレだが、コイツも礼くらい俺たちに言づてするなりなんなりするべきだろう。
まあ、仕事が増えるのは嫌なので俺は言わないが。
感想等もらえると嬉しいです。
2/06追記。すみません。自分で読んでてどうにも面白くなさすぎるので、最初っから書き直しました。旧バージョンは一応カクヨムの方に残しておきます。登場人物はほとんど変わらないのですが、ユノがやって来る部分とかいろいろ内容変わります。明後日くらいまでに五六話まとめて内容入れ替える予定でしたが、予想外に書き進んだので入れ替え完了です。
今日は燃え尽きるので、多分明日の更新は有りません。
一部キャラの設定をいじったりするので来週から二日に一度更新になる予定です。